
連日報道されるクマの被害。2025年の新語・流行語大賞にも「緊急銃猟」「クマ被害」がノミネートされるなど、例年を大きく上回るクマの出没件数となりました。森の異変と地球温暖化の関係について調べてみました。(アーカイブマネジメント部 萩原喬子)
【写真を見る】ブナの木が行うマスティングって何?温暖化との意外な関係【気象予報士・森朗のお天気タイムマシン】
異常なペースで増加するクマの被害
今年のクマによる人身被害は、過去に例を見ないペースで増加しており、死者数は10月末時点で去年の4倍、人身被害者数も過去最多を記録した2023年と同水準となっています。出没件数は2万792件で、過去一番多かった2023年度を大きく上回るペースとなっています。
深刻な「エサ不足」がクマを人里へ
クマが人里に下りてくる主な原因の一つは「森のエサ不足」です。
エサ不足の要因(1)エサを奪い合う「ライバルの増加」
クマと同じように森に生息し、同じようにエサを食べるシカの推定個体数は約246万頭(中央値)です。ヒグマは約1万2000頭、ツキノワグマは約4万2000頭以上といわれているので、シカの個体数の多さがわかります。
エサ不足の要因(2)「ブナの大凶作」
ライバルが増える中、エサ不足のもう一つの大きな要因はドングリ(特にブナの実)の不足です。林野庁によると東北5県ではブナの開花状況が軒並み「大凶作」となっていました。
ブナの生存戦略「マスティング」と温暖化
ブナの「大凶作」は数年間実をつけない「凶作」(一般的に5~7年)で動物の個体数を抑え、蓄えたエネルギーで突然大量に実をつける「豊作」を迎えるという、ブナ独自の生存戦略「マスティング」によるものです。
しかし近年、この安定した豊凶周期に大きな乱れが生じ、周期の短縮化が報告されている地域があります。
気象予報士 森 朗氏:
東北地方のブナは、開花前年の夏が高温になる(平均より高い)と、翌年の開花量が増える傾向があり、日本の平均気温の上昇が結実周期を短くしていると考えられます。
豊凶の周期が短くなると一時的にブナの実が増え、結果的にクマの個体数増加の一因となります。このまま温暖化が進めば、ブナの豊凶予測が難しくなり、結果としてクマの行動予測も困難になってしまうのです。
クマ対策で出来ることは?
文部科学省がクマはペットボトルのパコパコ音を嫌うため、子どもの登下校時の対策として空のペットボトルを持たせることを推奨しました。
まだまだキノコ狩りや紅葉狩りで山などに入るシーズンが続きます。クマとの遭遇に十分ご注意下さい。
・「インフルにかかる人・かからない人の違いは?」「医師はどう予防?」インフルエンザの疑問を専門家に聞く【ひるおび】
・「彼女から告白を受けていた」26年前の未解決事件、逮捕された安福久美子容疑者は被害者の“夫の同級生” まさかの人物に夫は…「事件の前年OB会で…」【news23】
・【全文公開】“ラブホテル密会” 小川晶・前橋市長の謝罪会見【後編】「どちらからホテルに誘うことが多かった?」記者と小川晶市長の一問一答(9月24日夜)
