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日本の南極観測の歴史はここから始まった!南極観測船「宗谷」が第一次観測隊として出航、南極までの長い航海を辿る【TBSアーカイブ秘録】

国内
2025-11-08 06:00

今から69年前の1956年11月8日(木)。日本の初代南極観測船「宗谷」が第一次観測隊として東京・中央区の晴海ふ頭を出航しました。この日を機に日本の南極観測事業は幕を開け、69年経った現在でも国家事業として続けられています。(アーカイブマネジメント部 小熊 優)


【写真を見る】食堂で談笑している隊員たち。飲んでいるものはお酒でしょうか。喫煙率の高さが「昭和」を物語ります。


14000kmの挑戦。「宗谷」が目指した氷の大陸

初代南極観測船「宗谷」が目指した先は日本から14000kmも離れた広大な氷の大陸でした。
日本を南下してシンガポールとケープタウンを経由し、さらに南に航路を進めて南極大陸から4km離れた東オングル島を目指しました。


数千人が駆け付けた!期待と希望を乗せた出航式

1956年11月8日。東京・中央区の晴海ふ頭では、第1次南極観測船「宗谷」の出航式が盛大に開かれました。


式には当時の清瀬 文部大臣が出席して「人類が知らない地球に関する研究をしてきてほしい」と激励の挨拶を送り、永田 南極観測隊隊長も「日本国民の後援の上に日本を出発できることは幸せ者である」と応えました。


出港式には多くの人が駆け付け、たくさんの声援が送られました。大歓声の中、人々の期待を背負った「宗谷」は午前11時に静かに岸壁を離れました。


宗谷が目指す先は南極・東オングル島。
東オングル島は南極観測基地(後の昭和基地)の予定地であり、到着予定は1月。現地にとって真夏とはいえ、白夜の中の極寒の地です。


タロとジロの姿も…総勢130人とカラフト犬たちの船出

「宗谷」には53人の観測隊員(隊長:永田武)と77人の宗谷乗組員(船長:松本満次)が乗船し、22頭のカラフト犬、1匹のネコ、2羽のカナリアも同行していました。


TBSのアーカイブ映像には船の甲板で鎖に繋がれたカラフト犬が映っていました。
この中には後に有名となる「タロ」と「ジロ」も乗っています。


今回の南極観測は、国内初ということもあり、「宗谷」1隻では不安が残りました。
そのため、東京水産大学が保有する海洋調査船「海鷹丸(うみたかまる)」を改造し、随伴船として同行させました。「海鷹丸」には、52名の乗組員と27名の実習生が乗船していました。


閉鎖空間の航海を支えた南極新聞と食堂での団らん

日本を出航した「宗谷」ですが、南極まではとても長い道のりになります。
操舵室では双眼鏡で外の様子を観察している隊員に加え、舵輪(ハンドルのようなもの)を回して操縦している姿もありました。


そして、毎日発行される「南極新聞」が印刷され、刷り立ての新聞は各部屋に配達されていました。


この南極新聞には、航海中や南極での調査内容が事細かに記録され、隊員たちにとっての広報やコミュニケーションツールの役割を担っていました。


一方、食堂では隊員たちが談笑している和やかな雰囲気の映像も残されていました。
長い航海での閉鎖空間の中、このような隊員同士の食事も楽しみの一つだったのでしょう。


南下の試練!「宗谷」を襲ったふたつの台風

順調に航路を南下していった「宗谷」は11月15日、フィリピン西方洋上で台風19号、20号の2つの台風に同時に遭遇しました。
この時、宗谷船体の傾きは38度まで達して激しい荒波を乗り越えて進む事態となりました。


束の間の休息...隊員たちを癒やした寄港地の時間

長い航海の中では、各地を寄港することが隊員たちにとっては数少ないリラックスできる時間でした。シンガポールに寄港した際には現地の政府関係者を船内に招き入れて懇親会を開き、市内を観光している姿も残っていました。


赤道通過の儀礼「赤道祭り」開催!

「宗谷」は11月29日にマラッカ海峡を抜けてインド洋に入り、12月1日午後8時に赤道を通過しました。船が赤道を通過する際には、安全を祈願する「赤道祭」と称したお祭りをすることが船乗りの世界では慣習ですが、「宗谷」でも夜通しお祭りが繰り広げられていました。


南極大陸目前!ペンギンとの触れ合い

ケープタウンをさらに数週間かけて南下したところで、「宗谷」の視界には氷塊が見え始め、いよいよ南極大陸が近づいてきました。


隊員たちの視線の先には氷塊にたたずむ複数のペンギンの姿がありました。
氷塊に移動した隊員たちは、少しずつペンギンに近づいていき捕まえようとしています。


実際にこのペンギンを船上に連れてきている様子が映っていました。抱きかかえたペンギンをカメラに向けて笑顔を見せている姿が印象的です。


ついに氷海に突入!南極大陸 東オングル島に上陸!

途中台風に見舞われるなどのアクシデントを経験しながらも航路を進んできた「宗谷」ですが、日本を離れておよそ70日間が経過した1月16日、ついに南極大陸周辺の氷海に突入しました。


氷海では目の前に広がる流氷をかき分けながら前に進み、時には硬く大きな氷塊が航路を塞いでいましたがダイナマイトで爆破して道を切り開いていきました。


「宗谷」は24日、これ以上前進することは不可能と考え、南緯69度東経39度の地点に接岸。
29日に東オングル島に上陸を果たし、昭和基地の建設に取り掛かりました。


昭和基地建設は2月1日からの約2週間で4棟が建てられました。基地には11名の隊員が残り、「宗谷」は南極を後にしました。


南極観測船の役目を終えた現在の「宗谷」

第1次南極観測を終えた「宗谷」は1957年4月23日の夜、168日間の長い航海を終え、東京湾羽田沖に帰還しました。


その後も「宗谷」の南極観測は続きましたが、1961年(昭和36年)の第6次南極観測(翌年4月、東京・日の出桟橋 帰還)を最後に観測船としての役割を終えました。


現在では東京・江東区のふ頭で、係留展示され、実際に乗船して船内見学することもできます。


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