参院選敗北の総括をめぐり「解党的な出直しに取り組む」とした自民党。今後、焦点となるのは執行部の進退です。“石破おろし”の動きに総理はどう対峙していくのでしょうか。(9月2日16時20分頃放送)
【画像を見る】「地位に恋々とするものでは全くございません」両院議員総会での石破総理の発言
石破総理「しかるべきときに決断する」いつ、何についてか明記せず
高柳光希キャスター:
9月2日、自民党は参院選を総括した「報告書」を取りまとめました。
報告書には「物価高対策」や「政治とカネ」など“自民党離れ”を招いた9つの要因が示されていました。さらに、参院選の敗北を受けて「解党的出直しに取り組む」ことなども明記されていましたが、注目されていた“総理ら執行部への責任”については踏み込んだ記載はありませんでした。
こうした中、石破総理は両院議員総会の冒頭で、こう発言しました。
石破茂総理
「至らなかったこと、それは全て私の責任であります。地位に恋々とするものでは全くございません。自由民主党として道筋を示す。それが私の責任であり、責任から逃れることなくしかるべきときにきちんとした決断をすることが、私が果たすべき責務である」
この発言には、どのような意図を感じますか。
TBS報道局 政治部 岩田夏弥 部長:
「責任」という言葉が複数回出てきています。
1つ目の「それは全て私の責任であります」は“選挙に負けたこと”についての責任です。
2つ目の「道筋を示す。それが私の責任」は、物価高対策や防災対策、あるいはコメ問題や農業政策、そのあたりに道筋を示すことの責任です。
自分はあくまでも、地位にしがみついているわけではなく、しかるべきときに決断すると示しています。しかし、「しかるべきとき」とはいつのことなのかはっきり示していません。それから「きちんとした決断」も、何に関する決断なのかもまだはっきりしていません。
総会が終わった後、石破総理は記者団の取材に応じる見通しです。ここでおそらく質問がでますので、どう答えるかは注目ですね。
両院議員総会終了 総裁選の前倒しへ動きが活発化する見通し
高柳キャスター:
自民党の議員たちはどのように受け止めているのでしょうか。自民党本部から島本記者に伝えてもらいます。
TBS報道局 政治部 島本雄太 記者:
両院議員総会の終了を受け、総裁選前倒しに向けた手続きがスタートしました。参院選敗北の総括を受け、石破総理は「私の責任だ」と陳謝しました。
石破総理(自民・両院議員総会 午後1時半ごろ)
「多くの同志を失ったこと。選挙は、最終的に当然のことでありますが、総裁たる私の責任であります。そのことから逃れることは決してできません」
TBS報道局 政治部 島本記者:
石破総理は“物価高対策などの政策課題に道筋をつけることが責任”と強調した上で、自らの進退について「しがみつくつもりは全くない。しかるべきときにきちんとした決断をする」と述べました。
党内ではこの後、総裁選の前倒しに向けて、動きが活発化する見通しです。
党の選挙管理委員会から意思確認に必要な署名が配布されるほか、提出後の取り消しは不可など、詳細なルールが周知されます。党の中堅、若手議員らが国会内で会合を予定しているほか、前倒しに賛成する議員らも集まる見通しです。
井上貴博キャスター:
振り返ると参議院議員選挙が終わり約1か月半、自民党内の権力争いやお家騒動の議論で終始していて、こういう状況こそ自民党の自民党たる所以というか、こういう古い政治を変えてほしいと個人的には感じます。
タレント・子育てインフルエンサー 木下ゆーきさん:
国民のことを思って政治を進めてもらいたいのに、自分の椅子のためのことしかやっていないように見えて、なんかがっかりです。ただ「それが自民党だよな」ぐらいの感覚にすらもうなっていますよね。
出水麻衣キャスター:
選挙で自民党に投票した人も、他に入れた人も、今の政治のあり方は決して望んだことではないので、様々な思いがこみ上げてくる、この1か月半だったのではないかと思います。
井上キャスター:
議員側からすると「トップを誰にするかによって野党とも話ができない」という話になりますが、“我々の感覚と、自民党など国会の感覚がこれだけ離れているんだ”ということを感じてしまいます。
TBS報道局 政治部 岩田夏弥 部長:
そういう批判が起きてしまうのは当然です。特に、自民党の皆さんはしっかり聞かないといけないですよね。石破さんはとにかく「責任を果たす」と言い続けていますが、自民党の総裁選を求める人たちからすれば、議論が進まないというところです。
総会が終わりましたが、その中で森山幹事長の進退について、責任を明らかにすると話されていたので、カメラがない中で何か話されているはずです。森山幹事長が何と発言されたのかが、この後報じられると思います。
解散総選挙をちらつかせて、前倒し派を牽制か?
高柳キャスター:
国民からも党内からも注目が集まる“石破総理の進退”ですが、今後待ち受けているのは「9月8日の総裁選実施の意思確認」です。
衆参両院の国会議員295人と都道府県連の代表者47人の計342人、この過半数である172人以上の要求で、総裁選の前倒しが実施をされます。
それに向け、党内での多数派工作が本格化していくことも考えられますが、石破おろしの動きに、総理はどう対峙していくのでしょうか。
TBS報道局 政治部 岩田夏弥 部長:
石破総理は周囲に対して「民意と党内の意見に乖離があるなら解散総選挙も選択肢」という趣旨の話をしているそうです。
民意というのは、最近だと各メディアの世論調査で内閣支持率はじわじわ上昇しています。一方、石破おろしの動きというのは自民党の中で起きている。その辺りを踏まえて、もし乖離があるのであれば、解散も選択肢として考えています。
石破総理としては、とにかく「今やるべきことを自分はやっている」と。それに対して、「おかしい」という意見があまりにも出てくるとしたら、そこは少し考えなければいけないということを匂わせています。
高柳キャスター:
この“解散総選挙”をちらつかせること自体が、総裁選前倒しを求める派閥の牽制の意味合いもあるということなのでしょうか。
TBS報道局 政治部 岩田夏弥 部長:
そうですね。当然、石破総理は公認権を持っています。前倒し派は、もし解散総選挙になったとき、自民党の公認が出ないのではないかということも考えられます。
また最近では、郵政民営化に反対する人を公認せず解散した“郵政解散”をした小泉元総理とも会食しています。その対応についても話題に上がったようなので、こういった動きからすると、解散総選挙をちらつかせることは、前倒し派を牽制する動きともとれるわけです。
出水キャスター:
牽制とみられる動きは今どの程度、実行力があるのでしょうか。
TBS報道局 政治部 岩田夏弥 部長:
表でも言ってませんし、何となく匂わせているだけです。ただ一方で、こういった動き自体に別の影響がでてくると思います。
前倒し賛成の声 “辞職ドミノ”の可能性も…
高柳キャスター:
副大臣や政務官など、政務三役の約10人が前倒しに賛成をしているという状況です。
神田潤一 法務大臣政務官(8月28日)
「政務官を辞任しても総裁選を前倒し、自民党をリスタート」
小林史明 環境副大臣(8月29日)
「必要があるのなら、副大臣を辞して手続きを行いたい」
斎藤洋明 財務副大臣(8月31日)
「任命権者より副大臣の辞任を求められれば辞任する」
このような方たちが、必要ならばポストを辞職して、前倒しの手続きに賛成する意向も示しています。
こうなると、“辞職ドミノ”が起こり政権運営がより一層厳しくなるのではないでしょうか。
TBS報道局 政治部 岩田夏弥 部長:
石破総理側が党内に圧力をかけるような、反感を買うようなことをしても、反発する動きもさらに広がるリスクがあります。
本当に政務三役の辞任が相次ぐならば、政権にとってはダメージですから、この瞬間から総裁選前倒しのための署名に向けて、本当に激しい動きになっていくでしょう。
井上キャスター:
今の話だと、自民党内の味方同士で斬り合っている。組織としてのダメージ、地盤沈下を自分たちで招いているのではないかと思います。
タレント・子育てインフルエンサー 木下さん:
そう見られてることに気づかないのかなというところが、世間とずれてると思いますね。
井上キャスター:
皆さん気づいてはいらっしゃるんですよね。
TBS報道局 政治部長 岩田さん:
それぞれ気づいていながら、それぞれが「自分が正しいと思うことをすべきだ」ということを話しているのでしょうが、その動き全体を有権者から見ると「何をやっているのだろう」と思う人が広がっているのではないでしょうか。
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<プロフィール>
岩田夏弥
TBS報道局 政治部長
元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当
木下ゆーきさん
タレント・子育てのインフルエンサー 3児の父
子育てモノマネ動画が人気 絵本「はぶらしロケット」出版
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