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蚊に刺されても痛くないのはなぜ?「蚊」に学ぶテクノロジー「“痛くない”注射」や「気流感知ドローン」も【ひるおび】

国内
2025-08-15 16:01

夏の厄介者…「蚊」
その小さな体には未来へのヒントが。
「“痛くない”注射針」や、災害時にも役立つ「気流感知ドローン」など、蚊の生態から学ぶ最新テクノロジーをご紹介します。


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蚊に刺されても痛くないのはなぜ?

関西大学システム理工学部のロボット・マイクロシステム研究室では、蚊の生態を模倣して痛みの少ない注射針を作っています。


そもそも、蚊に刺されたときに痛みを感じないのはなぜなのでしょうか?
人間の皮膚の表面には、約0.1ミリ間隔で、痛みを感じる「痛点」があります。
蚊の針の太さはわずか0.05ミリと細く、痛点をさけることができるため、痛みを感じにくいのです。
しかし、細い針を実用化するには問題が・・・


関西大学システム理工学部 青柳誠司教授
「細くすれば痛くなくなるんですけれども、折れ曲がってしまって刺さらない。でも、蚊は柔軟で細い針を、刺し方の工夫をして入れているんですね。」


【蚊の刺し方の工夫〈1〉ギザギザの針】
蚊の針を分解してみると複数のパーツからできていて、そのうち2本の先端がギザギザの形になっています。
針を刺すときの様子を見てみると、2本のギザギザの針を交互に上下させながら、真ん中にある血を吸うための針を刺し進めています。
ギザギザになっていることで皮膚との接触面積を減らし摩擦を少なくするだけでなく、切り裂く力を増やすことができます。
進めるときはナイフのように切り裂き、引っ張るときは足場にして、真ん中の針を進めやすくしているのです。


研究室では、先端がギザギザで、パーツが左右に分かれている針を作製。
そのまま皮膚に刺すと大きくたわんでしまいますが、交互に振動させるとたわみが少なくなることが分かっています。
このたわみの少なさが痛みの軽減につながります。


【蚊の刺し方の工夫〈2〉回転】
さらに、蚊は皮膚を刺すとき、針を左右に回転させながら刺し進めます。
工具のキリのように回転させることで静止抵抗力が減り、刺さりやすくなるのです。


こちらも作製した針で実験してみると、そのまま刺したときに比べ、回転させた方が皮膚のたわみが減り、スムーズに刺すことができました。


現在、青柳教授は0.08ミリの極細の針を開発中です。
実用化されれば、乳幼児や子ども、糖尿病患者、ペット、美容での注射など幅広い分野での活用が期待されます。


青柳誠司教授は、
「細くて柔軟な“痛くない”注射針が実用化して世の中の人に渡れば助かる人がたくさんいる」と話しています。


こうした生き物の構造や機能などの生態を模倣することで新しい技術や商品開発のアイデアにすることは「生物模写(バイオミミクリー)」と呼ばれています。


ヤマザキ動物看護大学 長島孝行教授:
蚊って人間の敵みたいに言われるんですけども、一方ではこういうところを学んでものづくりをするのが流行っていて、今最先端なんですね。生物系や工学系の研究者がみんなでやってるんです。
環境に負荷のないものを作ろうとしているわけですね。


蚊の羽ばたき研究でドローン開発

千葉大学大学院工学研究院の中田敏是准教授は、昆虫や鳥などの「飛ぶ生き物」がどう飛んでいるかなどを研究しています。


中田敏是准教授による蚊の羽ばたきをシミュレーションした映像では、羽ばたきで発生した気流が床にあたっているのが分かります。
蚊は体長の10倍先の気流を感じ取ることができ、人間に置き換えると、マンションの3、4階にあたるといいます。


恵俊彰:
蚊は羽を動かすことで気流を感じてどこに何があるかを感じているってことなんですね。


ヤマザキ動物看護大学 長島孝行教授:
イルカのソナーによく似ているわけです。


この「蚊の気流感知」は、既にドローンに応用されています。
中田敏是准教授によると、「ドローンにプログラムすることで、床を検知することは可能」だといいます。


将来的な展望はー


▼災害救助ドローンなどの飛行の安定化
⇒飛行中に発生する気流の変化から瓦礫などの障害物の距離を感知し、衝突しないように自動で制御する


▼水道管などのインフラ整備
⇒亀裂や障害物などによる気流の変化を感知して知らせる


▼蚊を寄せ付けない「空気の壁」
⇒蚊が飛びにくい気流などで殺さない虫除けも


ヤマザキ動物看護大学 長島孝行教授:
僕が言いたいのは「生物ってすごいよ」ってことです。
実はすごい部分がいっぱいあって、それを僕らが真似することによって、次世代型の環境にいい新しいものづくりが絶対生まれるはずなんですよね。


(ひるおび 2025年8月12日放送より)


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