最新の情勢では、参政党の勢いが浮き彫りとなっていますが、カギとなっているのは争点として急浮上している「外国人をめぐる政策」です。
参政党8→10の選挙区で優勢・接戦に SNSでも参政党の投稿数が伸びる
出水麻衣キャスター:
SNSでも「参政党」が注目されているというデータがあります。
Quid Monitor調べ/TDSE株式会社提供による、Xで各政党名やその略称の投稿数の推移を見ると、都議選が告示された6月13日の後から徐々に数字が増え、参院選の公示前(6月末)にぐっと数字が伸び、現在では自民党を追い抜いているような状況になっています。
参政党の情勢は今、どうなっているのでしょうか。
TBS報道局 選挙本部 本杉美樹 デスク:
まず7月7日、序盤の参政党の選挙区の情勢は、東京で「優勢」となっている他、茨城、埼玉、千葉、神奈川、愛知、大阪、福岡の7つで「接戦」となっており、合わせて8の選挙区で接戦以上となっていました。
これが1週間経ち7月14日には、北海道、兵庫が「接戦」に加わり、現在では10の選挙区が接戦以上という情勢になっています。
接戦の選挙区のうち、僅差ではありますが半分ほどの選挙区でわずかに上にきていると我々は見ています。半数ほどだと、これから伸びてくればひっくり返し、さらに議席を伸ばす可能性もあります。もちろん、逆のパターンもあり得ると我々は考えています。
選挙区の「接戦区」の情勢は、無党派層の取り込み、いわば“風”で決まる部分も大きいので、この最後の1週間で大きく変わりうるかなと考えています。
注目の“外国人政策” 「関心がある」と答えた25%の投票先は参政党
出水キャスター:
今回の参院選の争点の一つに浮上しているのが、外国人を巡る政策です。TBSとJX通信が共同で行ったインターネット調査の結果を見ていきます。
今回の参院選の争点について聞きました。「物価高への対策」が上位に来ていますが、6番目に「外国人に関する政策」がきていて、21.15%の方が関心があると答えています。
この「外国人政策に関心がある」と答えた方の投票先を見てみると、「参政党」と答えた方が25%にも上りました。
今回の参院選の特徴は、いろいろな党が「外国人を巡る政策」を公約に書き、そこに注目が集まっているところです。
<外国人をめぐる政策 各党の公約>
▼自民 外免切り替えなど厳格化
▼公明 ルールに基づき厳格な対応
▼立憲 外国人一般労働者の雇用制度を整備
▼社民 多文化共生の社会をめざす
▼維新 外国人政策を国家が一元管理
▼参政 日本人ファースト 「外国人総合政策庁」設置
▼れいわ 外国から低賃金の労働力確保に反対
▼共産 外国人労働者の権利保障
▼国民 外国人土地取得規制法の制定など
▼保守 管理ビザの厳格化など
外国人をめぐる政策の各党の公約を見てみますと、立憲民主党、共産党、社民党などは、外国人との「共生」に力点を置いてアピールをしていますが、一方の自民党、日本維新の会、国民民主党などは規制について「見直す必要がある」という点に力点を置いています。
ただ、規制か共生かというのはどちらか一方を選ぶような対立するテーマではなく、今の規制が適切なのか考えることで、より共生しやすい社会をつくれるのではないかと説明する党も多くなっています。
井上貴博キャスター:
最初、参政党は単純に保守の受け皿だと解釈していたのですが、取材を進めたり、政策細かく見たりすると、リベラルな部分もあり、実際にリベラルの票もどんどん取っている。無党派層も取り込んでいる。構造を単純化することの危うさを個人的に感じたのですが、どうご覧になっていますか。
JX通信社 代表取締役 米重克洋さん:
おっしゃる通りで、いわゆる右か左かというフレームではなかなか捉えきれないような支持の集め方をしているのが参政党の特徴です。
実際、選挙区ごとの情勢を見ていくと、元々自民党に行っているような保守的な無党派層を第1に取っていくことは間違いありません。しかし同時に、例えば国民民主党支持層や、れいわ新選組の支持層も参政党の候補にかなり投票する意向を持っているということがわかっています。
こういったことから、例えば参政党の政策は文化的にはちょっと右寄りだけれども、経済的には左寄りに定義されるような政策も結構あります。そういったところにイデオロギーを問わずに惹かれていく有権者は一定数いて、今の自民党はやっぱり物価高でダメ、投票できない。一方で、立憲民主党も元々民主党のイメージがあるので、なかなか投票しにくいといった中で、第三極的な選択肢として有力視されている部分があるのではないかなと思います。
井上キャスター:
だからこそ、今回は特に我々の報じ方の難しさをすごく感じます。
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
参政党の神谷代表は、やっぱりわざと強い言葉を言っているということもありますね。「日本人ファースト」という強い言葉で、一方でそれを聞いたら傷つく人もいるかもしれません。「差別だ」と批判する人もいるかもしれない。「どうですか」と聞くと、「自分はそんなつもりじゃない」という説明もする。
いろんな強い言葉が出てきていますが、裏にあることがどういうことなのか、まだ時間もありますので、しっかりいろいろ見ていきたいところは残っていると思います。
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<プロフィール>
米重克洋
JX通信社 代表取締役
全国の報道機関にニュース速報や世論調査を提供
選挙分析も手がける
本杉美樹
TBS報道局 選挙本部デスク
情勢分析のブレーン
岩田夏弥
TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当
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