今月20日投開票の参議院選挙がきょう、公示されました。事実上の“政権選択選挙”とも位置づけられる選挙戦初日に各党党首は何を訴えたのでしょうか。
【写真で見る】参院選スタート!10党の党首「最初の訴え」は?
東京で6党が第一声 被災地などでも
井上貴博キャスター:
参議院議員選挙が公示となりましたが、“第一声の場所”に着目しました。
取材して思ったのは、熱中症対策は取られていると思いますが、これだけの危険な暑さで、誰かが倒れてからでは遅いのではないかとも思いました。
【各党 第一声の場所】
東京
・共産
・国民
・れいわ
・参政
・社民
・保守
大阪
・維新
神戸
・自民
・公明
宮崎・国富町
・立憲
そんな“第一声の場所”で最も多かったのは東京で、6党が行いました。大阪を選んだのは維新です。神戸を選んだのが自民と公明で、これは震災の被災地が念頭にあると思われます。
立憲は宮崎を選びました。“コメ”を重要視した戦略だとみられます。
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
一番大きな「選挙区」の東京は、7議席を争います。なので、いろんな党にチャンスがあって、各党がここに集中していると考えられます。
参院選の「比例区」は全国なので、一番人口の多い東京から始めたのだと思います。
また、維新は吉村代表の地元・大阪で固めるということだとみられます。
それから神戸に、自民と公明が行っていますが、今年は阪神淡路大震災から30年という意味合いと、大阪で万博をやっていて、公示日の7月3日はジャパンデーです。石破総裁はその視察もあるので、神戸を選んだのだと思います。
そして、宮崎を選んだのは立憲です。宮崎はコメどころで、野田代表は物価高対策の中でも“コメの問題”を強く訴えたいのだと思います。ただ値段を下げればいいわけではなく、農家を大事にしないといけないという思いがあるようです。
また、今回、1人しか当選しない「1人区」は、32の選挙区です。
その選挙区は地方の小さい県などに多いので、農業従事者も多いです。そのため、全国の一人区に向けて、野田代表はメッセージを送りたいという意図だと思います。
TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
補足すると、例えば自民は複数区の兵庫県は絶対取りこぼせないと。さらに、森山幹事長は3日に千葉で演説しますが、千葉も複数区です。そのため、複数区を固める“守りの選挙”を行っています。
一方、立憲は1人区を取りたいと。九州は福岡以外はすべて1人区です。通常、福岡や九州は自民が強いと言われていましたが、今回は大接戦の選挙区も多いので、九州のテコ入れからスタートしたということですね。
各党の第一声 何を語った?
井上キャスター:
やはり「第一声」の場所をどこにするのかということだけで、これだけ見えてくるものがありますが、そこで何を語ったのでしょうか。
【参院選第一声 各党の重点項目は】
▼自民、物価高12%、景気16%、社会保障12%、少子化・子育て17%、外交・安全7%、その他37%
▼公明、物価高38%、景気20%、社会保障18%、政治とカネ5%、その他18%
▼立憲、物価高81%、その他19%
▼維新、社会保障56%、外国人規制18%、その他26%
▼共産、物価高29%、景気14%、社会保障25%、外交・安全保障27%、外国人6%
▼国民、物価高9%、景気36%、その他55%
▼れいわ、物価高48%、景気24%、外国人規制9%、その他20%
▼参政、物価高23%、景気21%、少子化・子育て15%、外交・安全5%、外国人規制12%、その他23%
▼社民、物価高16%、景気2%、社会保障12%、外交・安全保障15%、その他56%
▼保守、物価高34%、景気10%、社会保障11%、外国人規制23%、その他21%
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
これは、各党の党首が、第一声でどんなテーマを語ったかを、時間を割り振ってみました。重なって主張しているようなテーマもあるので、大体の傾向と思ってください。
やはり「物価高」「景気」など、経済対策が基本的には多く主張されているテーマではありました。
そんな中で目立つのは、自民の石破総裁で、「その他」の割合が多いですが、ここで言っていたのは、防災対策でした。3日に被災地に行ったということもあって、その辺りを強調していました。
維新の吉村代表は、社会保障とありますが、「いわゆる社会保険料がとにかく高すぎる」と主張していて、物価や減税を超えて、社会保険料についての改革を、とにかく押そうとしています。
立憲の野田代表は、物価高の中ではコメについてとにかく語っていました。
さらに見ていくと、もう一つ新しいテーマとなってきているのが、外国人の規制の問題です。
今、日本で暮らしている外国人が過剰に優遇されているのではという指摘があります。一方で、あまり強く言っていくと、外国人を排斥していくような、社会としてギスギスして問題が起きるのではというような指摘もあります。
この後の選挙戦は13日あるので、大きなテーマの一つになってくる可能性がありそうです。
TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
おそらく石破総裁たちは、「外交・安全保障は自民党がずっと継続的にやってきたので、政権の継続性が大事」みたいなことをアピールすると思います。
各党の党首の反応を聞くと、最近は減税や給付だけでは有権者には届かないので、必ず財源をどうするかをセットで説明することにしていると言っていました。
おそらく有権者も、財源についてはかなり敏感になっていると思います。どこから出すのか、単なるバラマキではないということの説明に腐心しています。
出水キャスター:
有権者の皆さんも非常に冷静だなと思いました。
街頭演説を複数行きましたが、やはり1党だけの話を聞くのではなく、何か所も行くという声も聞かれました。
井上キャスター:
やはり、それだけ見比べないとわからないし、聞き比べないとわからないですよね。
あと党首もいいですが、党首以外はどういうことを話しているのか、そこでの温度差などから、見えてくるものもある気がします。
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
党としては、公約というものを各党出していますが、各候補者や応援に来る人によっては、どこに重点を置くのか、少し違うこともありますし、考え方も少し違ったりもするんですよね。
じっくりと見ていかないといけません。
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<プロフィール>
岩田夏弥
TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年
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