ある民間の人が政治家のお金の出入りを可視化するサイトをつくりました。政治と一見、関係ないように見える夜のお店での支出も分かるように。制作したワケを聞きました。
「政治資金収支報告書データベース」 無料で公開
国会の会期末まであと10日あまりとなる中、10日、立憲民主党の野田代表が怒りをにじませたのが...
立憲民主党 野田佳彦 代表
「もう時間切れだと思いますので、だとすると、きちっと今出ている法案を採決して、それぞれの党がどういう対応を取ったかを見ていただくことが大事だと思います」
政治とカネの問題をめぐり、立憲民主党などが改革を求める「企業・団体献金」の扱い。野党5党派が禁止を訴えているのに対し、自民党が公開の強化を主張するなど、今国会中に結論は出そうにありません。
こうした中、「政治資金収支報告書データベース」というサイトが無料で公開されました。
データベース化で新たな事実も…
喜入友浩キャスター
「国会議員がどの企業や政治団体から献金を集め、それをどのように使っているのか、それがデータベースで検索できるといいます」
例えば、「石破総理」で検索してみると、収入総額5376万円と出てきました。さらに、その内訳も出てくるようになっています。
喜入キャスター
「収入・支出についてキーワード検索をすることもでき、『ゴルフ』と検索してみるとゴルフ場などの支出先、金額、日付、誰が使ったかまでかなり具体的に記されています。そうしたものが一覧でずらっと並んでいます」
さらに、「club」と検索して出てきた12万円の支出。この店舗を調べてみると、「三ツ星級キャバクラ」という文言が。こんなことまで、このデータベースではすぐに分かるのです。
開発したのは会社経営をしつつ、東京大学大学院に在籍する政策推進機構の西田尚史さん。西田さんは、今の政治資金収支報告書は、一般の人が簡単に調べられる仕組みになっていないと指摘します。
政策推進機構 西田尚史 代表理事
「石破茂さんの場合は、政治団体を4つ届け出をされていて、それぞれ3つの箇所から集めてきて見ないといけない」
「かなりの労力・手間が減ったと認識している」
現在は、紙の報告書をPDF化しているだけで検索に対応していない収支報告書。西田さんは、公開されている2364の政治団体の2023年度分の内容をデータベース化し、政治家ごとの収支をまとめたり、検索できるようにしたりしたのです。
これにより、献金を受けた政治家側だけでなく、企業・団体側が、誰にいくら献金をしたかなども一目でわかるようになりました。さらに、新たな事実も見えてきました。
政策推進機構 西田 代表理事
「これ自体が悪い・良いはないんですけど、企業献金については、97%が今回データベース化した(50億円分の)中で、自民党の政党本部や政党支部に流れている。そこは偏りとしてはすごく興味深いなと」
西田さんは、こうしたデータを元に企業・団体献金などの議論をすべきだと主張します。
政策推進機構 西田 代表理事
「必ずしも政治資金の議論においては、政治資金収支報告書自体が分析可能な形になっていなかったので、データや根拠みたいなのが(国会で)示せていなかったところが正直あって」
「やっぱりこういうデータベースがあったほうが議論が進むんだろうなとは思っている」
政治家の“お金の出入り”を可視化 寿司・キャバクラも…
藤森祥平キャスター:
政治資金収支報告書データベースは、誰でも検索すれば見られます。画期的なのは、好きなワードを打っていくとヒットします。例えば「すし」と検索するだけでいろいろ出てきます。
プチ鹿島さん:
検索すると「野次馬が過ぎるんじゃないか」という声もあるかもしれませんが、政治家は自分から「なりたい」と言って公人になった人たちなので、説明できないお金があってはいけないと思います。だから民意の力でどんどん緊張させるというのは大事だと思います。
藤森キャスター:
企業団体献金のあり方などの判断材料にもなりそうです。
プチ鹿島さん:
自分の好きな政治家や気になる政治家についても、これで調べれば、その人の個人の献金が出てくるわけですよね。企業がどういう政策に反応しているかも調べられます。希望的観測ではないですが、「しがらみがなくてちゃんと応援しているんだ」となれば、もっと政治を語れる風土ができてくる可能性もあると思います。
藤森キャスター:
開発者の西田さんは、「不正を暴くためのデータベースではなく、政治家がどこからお金を貰い、どう使ったかを簡単に見れる感覚を持ってほしい」と話しています。
政治資金に詳しい日本大学の岩井奉信名誉教授は「収支報告書が手軽に見られると、政治家側も監視されているという気になり、金の使い方も変わる」と指摘しています。
なぜ国のデータベース化遅い?本音は「収支報告をなるべく見せたくない」?
小川彩佳キャスター:
国側が透明化していくという動きよりも、先に民間で行われたということになります。
プチ鹿島さん:
何で民間が先なんだという突っ込みもあると思います。ただ、考えようによっては政治家側がやらないのであれば、民間側が知を結集して、野次馬も含めてガラス張りにしていくというのは、政治家側からすれば想定外だと思います。良いことなんじゃないでしょうか。
藤森キャスター:
政治家側は、政治資金収支報告書について、2027年までにオンライン提出の義務化を目指し、2028年4月までに検索可能にする技術を作り上げるとしていました。
プチ鹿島さん:
一方で、西田さんはエンジニアと2人で4〜5か月で、お仕事をやりながらできたわけです。
小川キャスター:
裏金事件のときも、当時の岸田総理が確定申告を呼びかけて反発を受けましたが、国民のお金の流れをトレースする動きについては非常に抜かりなく進めていくのに、ご自身のお金についてはずいぶんのんびりしているなと感じますね。
プチ鹿島さん:
代理人であるわけだから、率先してガラス張りになってほしいと思います。やりたくない理由や、後ろにずらしたい理由が見えてきてしまいますね。
藤森キャスター:
岩井名誉教授も、「政治家には『収支報告をなるべく見せたくない』という本音もあるのでは」と話しています。
プチ鹿島さん:
他の政治団体とかもあるわけですし、民間でどんどんつくっていけば良いと思います。
小川キャスター:
そして選挙を前に政治家や候補者の皆さんから発信されたことを受動的に受けるだけではなく、こうしたサイトを用いて、能動的に見つけていくことも大事ですね。
プチ鹿島さん:
ズブズブの関係ではなく、本当に企業から応援されているのが分かれば、政治家の株も上がるかもしれません。一番は団体献金がなければいいんですが、もしあるとすればですね。
藤森キャスター:
コメに関してはスピード感を持って進めていますが、こっちにもスピード感をお願いしたいですね。
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<プロフィール>
プチ鹿島さん
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アメリカや韓国など各地の選挙を取材
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