日々の寒暖差で体調を崩す人も多いこの時期に気をつけたい「はしか」。感染力が強く、患者が増加傾向にあるようです。3月に入って感染が相次いでいます。渡航歴のない人が発症するケースもあるようです。
【写真で見る】はしかのワクチンが不足しているクリニックの現状
増加傾向にある「はしか」 同じ空間にいるだけで感染する可能性も
高柳光希キャスター:
患者が増加傾向にある「はしか」についてお伝えをしていきます。
2024年1年間では、45人の感染者がいました。そして、3か月足らずの2025年3月12日時点で、既に2024年の半数近くの22人の感染者が出ています。中でも3月3日から9日までの1週間は12人とかなり多くなっています。
3月に入ってから、東京、千葉、埼玉、大阪などで感染者が出ているのですが、渡航歴のない人が発症するケースもあるということです。
はしかはかなり感染力が強く、その感染経路には飛沫感染や接触感染があります。また、空気感染するというのも特徴の一つです。
空気感染とは、感染者がいると同じ空間にいるだけで感染する可能性があるということです。例えば、映画館で感染者と同じ空間で映画を見たり、電車で同じ車両に乗るだけで感染してしまうリスクがあります。
はしかの主な症状:咳、鼻水、目の充血、39度以上の高熱、全身に発疹
潜伏期間:10~12日程度
他人に感染させる期間:発症が出る1日前から発疹出現後4~5日
学校保健安全法では、解熱してから3日まで登校禁止となっています。合併症として肺炎や脳炎もあり、1000人に1人が死亡しています。
ホラン千秋キャスター:
はしかには流行りやすい時期というのはあるのでしょうか。
国際医療福祉大学 感染症学講座主任教授 松本哲哉さん:
「特にこの時期」というものはありません。基本的に「日本には感染者はいない」ということになっています。そのため、海外から持ち込まれたものが発端となって広がっていくというパターンが多いと思います。
ホランキャスター:
渡航歴がない方でも発症するケースが増えているということが少し心配ですね。
松本哲哉さん:
市中にある程度感染してる人がいて、見つからない状態で他の人に広げていく可能性があるということです。
井上貴博キャスター:
はしかはワクチン接種をしていることが重要だと言われています。母子手帳を確認したり、血液検査をすることで、抗体価があればだいぶ安心していいと思います。はしかがコロナ禍以降、日本だけではなく、ヨーロッパやアメリカでも増えてきていると聞きますが、どのような要因があるのでしょうか。
松本哲哉さん:
アフリカや中南米、アジアでも一定数の感染者がいる国があります。きちんとワクチンを打てていないので、人の行き来があるとどうしても広がっていきます。
歴史・時代小説家 今村翔吾さん:
ワクチンを打った人でも感染することはあるのでしょうか。
松本哲哉さん:
基本的に、2回ワクチンを打てば発症しないので、感染する可能性はないです。しかし、1回だけワクチンを打った人は、免疫が不十分な可能性があるため、症状もでて、他の人にうつす可能性もあります。
ワクチンが足りず…接種待ちの人も
高柳キャスター:
はしかは、ワクチンを2回接種することで免疫を獲得することができます。ただ現在、はしかワクチンが足りていない状況が続いています。
いとう王子神谷内科外科クリニックでは、40人がワクチンの接種を待っているそうです。接種が必要な2歳未満が接種できない状況が続いており、注文した数の入荷もできていないということです。
接種の回数は、世代によって変わります。あくまで目安ですが、23歳以下では2回、23歳~51歳では1回打っている方が多いということです。51歳以上の方は未接種の可能性もあるということです。
ホランキャスター:
年代によってワクチン接種をしたかどうかの確認ができたら、目安になりますが、分からない方もいるのでしょうか。
松本哲哉さん:
いると思います。母子手帳に記録があれば大丈夫ですが、母子手帳が無いと覚えてなかったりするため、親に聞くか、抗体価を測らないと分からないでしょう。抗体価を測るには、血液検査ですぐにできます。
井上キャスター:
年代によってワクチンの値段は変わるのでしょうか。
松本哲哉さん:
値段は同じです。ただ、自治体の補償によって生まれる違いはあると思います。
ホランキャスター:
感染が心配だからワクチン打っておこうというよりも、ワクチンが足りないところがあるので一度調べてみたほうがいいのでしょうか。
松本哲哉さん:
抗体があるかどうかが分からなくても、打っても大丈夫です。しかし、ワクチンが足りないので、必要な人に分け与える分をちゃんと確保するために、抗体があるかの検査をすることも一つの手だと思います。
井上キャスター:
製薬会社としても、今まではしかはほぼなかったものなので、ワクチンを製造しない。今年多いから、製造量を増やしたとしても、翌年以降あまってしまうかもしれない。需要と供給のバランスも難しいと思いした。
今村翔吾さん:
これだけインバウンドなどがあると、今後、感染者数が減るよりも増える数字に備えた方がいいのかな、と感じます。
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<プロフィール>
松本哲哉さん
国際医療福祉大学 感染症学講座 主任教授
専門は感染症学など
日本化学療養法学会理事長
今村翔吾さん
「塞王の楯」で第166回直木賞受賞
歴史・時代小説家
30歳までダンス講師
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