「感染性胃腸炎」の患者が、この時期としては過去10年で最多となっています。ノロウイルス以外の患者も増えていて注意が必要です。
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感染性胃腸炎 この時期過去10年で最多に
井上貴博キャスター:
全国の感染性胃腸炎の患者数(1医療機関当たり)は、9.83人(2月24日~3月2日)となり、過去10年で最多となっています。
※国立感染症研究所より
感染性胃腸炎とは、主にウイルスなどの微生物を原因とする胃腸炎の総称で、ノロウイルス、サポウイルス、アストロウイルスなども含まれます。
ノロウイルスとサポウイルスは発見された場所に名前が由来しています。アメリカ・ノーウォークで見つかったのが「ノロウイルス」。日本の札幌で見つかったのが「サポウイルス」です。
アストロウイルスは構造が星形に見えることから、アストロウイルスと命名されているようです。
いずれも、主な症状は吐き気・腹痛・下痢・発熱。
感染経路は、▼ウイルスに汚染された飲食物を口から入れる、▼ふん便や嘔吐物などを介して人から人への感染です。
感染性胃腸炎 かかりやすい年齢は?潜伏期間は?回復までは?
井上キャスター:
かかりやすい年齢などについて、北里大学医学部 藤倉雄二主任教授に聞きました。
【ノロウイルス】
●かかりやすい年齢:乳幼児から高齢者 幅広い年齢層
●潜伏期間:1日~2日
●回復まで:0日~5日
【サポウイルス】
●かかりやすい年齢:ほとんどが15歳以下
●潜伏期間:1日~2日
●回復まで:0日~5日
【アストロウイルス】
●かかりやすい年齢:主に乳幼児(5歳以下)
●潜伏期間:1日~4日
●回復まで:3日程度
今、大流行の理由は「寒暖差が大きく、免疫が落ちている人が多い」
井上キャスター:
なぜ、今年は特に流行しているのでしょうか?
藤倉主任教授によると「今年は寒暖差が大きく、免疫が落ちている人が多い。さらに、インバウンドの増加により、訪日外国人観光客が感染力の強いウイルスを持ち込んでいる可能性もある」ということです。
ホラン千秋キャスター:
かかりやすい年代があるのはどうしてですか?
北里大学医学部 藤倉雄二主任教授:
基本的にどの年齢層でもかかり得るのですが、衛生的な行動ができず、しかも集団生活をする小学校や幼稚園、高齢者施設で流行しやすいという特徴だと思います。
ノロウイルスは圧倒的に感染力が強いので、特に高齢者施設ではより危ないということになります。
ホランキャスター:
感染性胃腸炎をきっかけに、さらに大きな病にかかってしまうこともありますか?
北里大学医学部 藤倉雄二主任教授:
胃腸炎で一番怖いのは脱水になることです。
高齢者の場合、おう吐したものが肺に入って、誤嚥性肺炎になるというパターンも多いと思います。
ホランキャスター:
小さなお子さんがいる家庭では心配ですね。
元競泳日本代表 松田丈志さん:
家族のビッグイベントを控えてる時は、祈るような気持ちで幼稚園や小学校に送り出しています。
子ども同士でもたくさんの触れ合いがあると思うので「またウイルスをもらってきたらどうしよう」という気持ちにはなります。
井上キャスター:
ウイルスは変異すると聞きますが、ノロウイルスも変異しているのですか。
北里大学医学部 藤倉雄二主任教授:
世界的に流行してるのは同じような型ではありますが、少しずつノロウイルス自体も変わっています。
今までと違う型のものが入ってくると流行しやすいということになるので、コロナとよく似てると思います。
有効な抗ウイルス薬はなし 予防には「マスク」「手洗い」
井上キャスター:
有効な抗ウイルス剤がないというのが厄介です。
整腸剤・吐き気止め・解熱剤などを活用する、症状に応じた対症療法が中心となります。
下痢止めは、ウイルスを体の外に出すことが妨げられるため、極力使用しないほうがいいということです。
予防するには、▼マスクが有効で、▼石鹸による手洗いも大切だということです。
マスクをする意味は、どう考えれば良いのでしょうか?
北里大学医学部 藤倉雄二主任教授:
一つは、手についたウイルスを口元に運び、口から取り込まないようにするという点。
そして、感染性胃腸炎にかかっている家族がいると、吐いたもの・下痢の処理をすることもあると思いますが、その際に飛沫が飛んでウイルスが入るのを防ぐという意味でもマスクは重要です。
子どもや高齢者は脱水症状の危険も 積極的に病院へ
ホランキャスター:
どのくらいの症状で「病院に行く」判断をすれば良いのでしょうか。
北里大学医学部 藤倉雄二主任教授:
症状は人それぞれで、強く出る人も大したことない人もいます。つらいなという下痢の時には、診断をつけるという意味でも、受診して良いと思います。
特に、子どもや高齢者は脱水症状になりやすい場合があるので、積極的に病院に行った方がいいと思います。
元競泳日本代表 松田さん:
去年2月ごろ、家族全員がノロウイルスにかかりました。
4歳の息子が、急にご飯が食べられなくなって、かかりつけの小児科に行ったら「ノロウイルス」でした。
(病名がわかると)対応の仕方がわかるので、体調が悪いと思ったら診断してもらうのが良いと思います。
井上キャスター:
手をいかに清潔にするか、(ウイルスを)口に入れないかということが大事ですね。
北里大学医学部 藤倉雄二主任教授:
「気になる時はすぐに手を洗う」ですね。外から持ち込むことも多いので、こまめな手洗いは非常に大事だと思います。
流水と石けんでしっかり洗って、物理的に洗い流すことが何よりも重要です。
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<プロフィール>
藤倉雄二さん
北里大学 医学部 主任教授
専門は呼吸器感染症 日本感染症学会・専門医
松田丈志さん
元競泳日本代表 五輪4大会出場 4個のメダル獲得
JOC理事 宮崎県出身 3児の父
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