スマートフォンの着信画面に表示された「03-××××-0110」という電話番号。調べてみると、下4ケタの「0110」は実在する警察署の番号でした。ところが、これ詐欺の電話かもしれません。不審な電話が全国で相次いでいます。
【写真を見る】「いざとなったらパニックに」…詐欺の手口や、残された着信履歴の画面
逮捕状や警察手帳を見せ…急増する「警察官かたる詐欺」
南波雅俊キャスター:
「警察官をかたる特殊詐欺」が最近増加しています。
【去年 警察官をかたる特殊詐欺(警視庁)】
・806件
・被害額はあわせて約69.6億円
→オレオレ詐欺全体(約108億円)の約64%を占める
巧妙な詐欺の手口はどのようなものなのでしょうか。
(1)電話で「あなたの口座が犯罪に使われている」「逮捕される可能性がある」などと脅し
(2)SNS・ビデオ通話に誘導
→偽の「逮捕状」や「警察手帳」を見せ、信じ込ませる
(3)「口座を調査する」などと言い、金を振り込むように指示
というのが手口の流れだそうです。
逮捕状を見せられても疑うのではないかと思うかもしれませんが、自分の名前が書かれていると「もしかしたら本物なのではないか」と信じてしまうケースもあるそうです。
ホラン千秋キャスター:
“警察からの電話”として受けたらパニックにもなるでしょうし、番号を調べても「公式」となると、どこを疑えば良いのか…難しいですね。
元埼玉県警 捜査一課 佐々木成三さん:
特殊詐欺の怖い点は、犯罪の手口がどんどん巧妙化していくということです。
手口の中で、警察官だと信じ込ませるところから、被害者をどんどん罠にはめていきます。
手帳や逮捕状、偽装表示で実際にある電話番号を見せるなど、手口の巧妙化が特殊詐欺の被害額が増えている原因だと思います。
実在する警察署の番号から…
井上貴博キャスター:
警察からの番号だと疑いようがないので、(電話を)取るのは仕方ないように思います。
(電話を)取った後、おそらく犯行グループは電話を切らずに一連で口座振り込みまで持っていきたいでしょうから、そこで「録音していいですか」「一旦切っていいですか」と、立ち止まることしか(対策が)ないのではないでしょうか。
元競泳日本代表 松田丈志さん:
私は、身に覚えのない番号からの電話は基本的に出ません。その後、調べるようにしているので、警察の番号だったら「かけ直さないといけないのかな」という気持ちになると思います。
そもそも、警察署から個人に直接電話をすることはあるのですか。
元埼玉県警 捜査一課 佐々木成三さん:
残念ながらあります。実際、至急に警察から電話をかけたり、アポを取るための電話が警察からかかってくることもあると思います。
今は、こうした手口があると知っていただいて、警察からの電話さえも疑わなければいけない時代に入ったと感じています。
南波雅俊キャスター:
こうした特殊詐欺の場合、これまでは「国際電話」で、電話番号に加えて国番号が書かれていたため「怪しい」と思える部分がありました。しかし、新たな手口では実在の警察署の番号でかかってくるということです。
新宿警察署への相談件数は、▼多い日で200件以上、▼1週間で約660件の相談が寄せられているということです。
警視庁は、番号偽装の手口が明らかになっておらず、解析を急いでいるということですが、佐々木さんはIP電話を利用したスプーフィング(なりすまし)ではないかとみているといいます。
海外のインターネット会社では、契約者が登録した別の電話番号を相手に表示できるサービスがあるそうです。
「相手が本物の警察官でも…」電話切って警察署に相談を
南波雅俊キャスター:
どのように対策をすれば良いのでしょうか。
●番号表示を信じすぎない
→相手の身元を証明するものではない
●相手の名前・所属先・電話番号(内線)を確認
→電話を切って警察署に相談
元埼玉県警 捜査一課 佐々木成三さん:
「電話を切ることが失礼なのでは」と思う人も多いようですが、(相手が)本物の警察官だとしても(電話を)切ってかけ直す、実在の警察官なのか確認するというルーティンが、偽装表示の電話番号を使った詐欺の対策になると思います。
私は本当の警察官でも疑っていい時代だと思っています。
井上貴博キャスター:
海外を拠点にした犯罪グループも増えている中で、今、警察がやっていることはどのようなことがありますか。
元埼玉県警 捜査一課 佐々木成三さん:
もちろん警察は検挙にも力を入れていますが、検挙だけでは犯罪を減らすことはできません。
こういった犯罪手口があるということを多くの人に知ってもらう防犯活動にも、力を入れていると思います。ぜひ皆さんにこうした手口があるということを知ってもらいたいです。
==========
<プロフィール>
佐々木成三さん
埼玉県警本部捜査第一課に10年間在籍
現役時代はサイバー捜査の導入に着手
松田丈志さん
元競泳日本代表 五輪4大会出場 4個のメダル獲得
JOC理事 宮崎県出身 3児の父
・スマホのバッテリーを長持ちさせるコツは?意外と知らない“スマホ充電の落とし穴”を専門家が解説【ひるおび】
・「パクされて自撮りを…」少年が初めて明かした「子どもキャンプの性被害」 審議進む日本版DBS “性暴力は許さない”姿勢や対策“見える化”し共有を【news23】
・【検証】「布団の上に毛布」が暖かい説 毛布は布団の「上」か「下」か 毛布の正しい使い方【Nスタ解説】