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全米ドラフト2位指名の里綾実「MVPを獲る気持ちで」女子野球界レジェンドがアメリカ挑戦 イチロー氏の言葉に「勇気をもらいました」

スポーツ
2026-07-31 19:04

8月に開幕する女子プロ野球リーグ「WPBL(Women’s Professional Baseball League)」に向けて、ロサンゼルス・クイーンズからドラフト1位指名(全体2位)を受けた里綾実投手(36、埼玉西武ライオンズ・レディース)がアメリカへ渡った。新たな挑戦を前に里は「チャンピオンになること。勝利に一番貢献して、MVPを獲る気持ちでいきます」と意気込みを語った。


今回発足するWPBLは、1943年から1954年まで存在した全米女子プロ野球リーグ(AAGPBL) 以来、72年ぶりとなるアメリカの女子プロ野球リーグで、ボストン、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコの4球団で構成される。昨年11月のドラフトではライオンズ・レディースのチームメイトである米谷奈月(24)もニューヨーク・ハイツから指名を受け、同チームから2人がアメリカ挑戦への切符を掴んだ。


この挑戦を通して里が吸収したいと考えているのは、野球の技術だけではない。スポーツをエンターテインメントとして発信し、選手一人ひとりの価値を高める「ブランディング」の考え方だ。


「アメリカはスポーツビジネスやブランディングが本当に進んでいて、ファンを楽しませる文化があります。その考え方を日本へ持ち帰ることができれば、女子野球だけでなく、日本のスポーツ界全体にも良い影響を与えられると思っています。選手自身が自分の価値を見つけ、それを発信していくことが大切だと感じています」


続けて里は「私の姿を見て、『次は自分もアメリカに挑戦したい』と思う選手が増えれば、日本でも女子プロ野球の可能性がさらに広がっていくかもしれません。そんな流れをつくるきっかけになれたら嬉しいです」と女子野球界全体の発展にも期待を寄せる。


新天地で誓う“次世代に繋がる挑戦”

里はライオンズ・レディースが創設された当時から、投手としてチームに所属し、女子野球界を切り開いてきた。鹿児島・奄美市出身、神村学園高校(鹿児島)から尚美学園大学(埼玉)へ進み、その後はレイア(京都)や愛知ディオーネといった女子プロ野球の世界で活躍。日本代表としてもワールドカップに出場し、3大会連続(第6回~8回)でMVPを獲得するなど、日本の大会7連覇に貢献してきた。


アメリカへ渡る前には、大学時代の恩師である尚美学園大・新谷博監督(62)のもとを訪ね、アドバイスを求めた。新谷監督から贈られた言葉は、「シーズンをベストな状態でやり切ること」。その言葉を胸に、新天地でのシーズンに挑む。


目標として掲げるのは、防御率3.0以下。試合数が限られる中でも、最高で1.0台を目指し、一試合一試合を大切に積み重ねていくことだ。一方で、里が見据えるのは数字だけではない。「アメリカでの経験が、他の選手たちにとって刺激になれば嬉しいです」。個人の結果だけでなく、次世代への思いも話した。


里は今回のアメリカ挑戦を「野球を始めたときに、想像もつかなかった未来」と振り返る。「好きなことを一生懸命続けてきたからこそ、今回のようなチャンスが巡ってきたのだと思います。野球に限らず、苦しいことがあっても諦めず、本気で向き合い続ければ、必ず何かしら道は開ける。その経験は、きっと次の挑戦に繋がると信じています」と自身の経験を踏まえ、夢を追い続けることの大切さを力強く語った。


世界最高峰の舞台への挑戦には、自身の夢を叶えるだけでなく、女子野球の未来を切り拓き、次の世代へ夢を繋いでいきたいという強い思いが込められていた。


「身体が動く限り続けたい」イチロー氏の言葉に感銘

里自身も願う“次世代へ夢を繋ぐ”という思いは、女子野球を取り巻く環境の変化にも表れている。女子高校野球は今年の夏の選手権で、史上最多70チームが出場。決勝は男子と同じ阪神甲子園球場で行われる。また今年9月には6年目を迎える“高校野球女子選抜vsイチロー選抜 KOBE CHIBEN”が東京ドームで行われるなど、女子野球への注目は高まっている。


「チームメイトには、イチローさんと対戦した経験のある選手もいます。その選手たちと接する中で、野球に対する高い志を持っていることを感じますし、そういった選手たちにイチローさんが大きな刺激を与えていることは本当に素晴らしいことだと思います」


昨年、自身が“高校野球女子選抜 vs イチロー選抜 KOBE CHIBEN”の始球式を務めた際には、イチロー氏に挨拶する機会があったという。「私のことを知ってくださっていて、敬意を持って接していただけたことに本当に感激しました」と当時の心境を明かした里。


心に残っているのは試合後のインタビューでのイチロー氏の言葉だ。観戦に訪れたファンの前で、「『女子選手が一生懸命プレーしている姿を見て、応援したい』と言ってくださったことが本当に嬉しかったです。そして、ご自身が続けている女子高校野球選手との試合も『身体が動く限り続けたい』と話されていて、その言葉にもすごく勇気をもらいました」。


世界最高峰の舞台へ挑む今、新たな目標も胸に描いている。「今できることを一つひとつ積み重ね、いつかKOBE CHIBENでイチローさんと共に女子野球選手たちとプレーできたら光栄です。イチローさんのように野球への情熱を持ち続け、次の世代に夢や可能性を届けられる存在であり続けてたいと思っています」。72年ぶりに誕生するアメリカ女子プロ野球リーグ。新たな歴史が刻まれるその挑戦は、自身の夢だけでなく、日本の女子野球の未来にも繋がっていく。
 


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