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番付崩壊…期待の“大豊時代”が一転、不振の両横綱へ横審苦言呈す「残念至極だ」両雄には9月場所に期待

スポーツ
2025-08-11 12:12

先月の大相撲名古屋場所は、新横綱・大の里と今年初場所後に昇進した豊昇龍で、約4年ぶりに東西に横綱が座った。2人を軸にした優勝争いが期待されたが、終わってみれば賜杯を抱いたのは東の幕尻から3番目、前頭15枚目の琴勝峰(13勝2敗)だった。終盤戦は平幕力士ばかりが優勝戦線を引っ張り、番付は崩壊した。


「平幕力士の大暴れ」を誘発したのは豊昇龍だろう。場所前から左足親指を痛めていたというが、初日こそ小結・高安を破ったものの、その後は良いところなく平幕に3連敗。5日目から早々と休場した。


2日目の対戦相手、若元春は三役の常連で地力はある。それでも、安易に張り差しに行ったのが敗因に見えた。相手に得意の左差しを許し、巻き替えを狙ったところを基本通りに一気に出られ、土俵下まで寄り倒された。


3日目は入幕から2場所連続11勝している新鋭・安青錦との取組。初対戦の相手に、今度は低く食いつかれた。すると、苛立ちを隠せない。力の差を見せつけようと上から頭を押さえた強引な上手投げに体を密着される。レスリング出身者にすかさず片足タックルのように足を取られて、渡し込みでひっくり返された。勢いに乗った安青錦は最終的に千秋楽まで優勝を争った。


4日目はもっと完敗だ。4連敗中の阿炎の強烈な両手突きを受け、そのままのけ反ってずるずる後退。土俵際で俵に片足を乗せて必死に相手の手を手繰った。一度は軍配をもらったが、物言いが付き、かかとが先に土俵を割っていたため、差し違えで敗れた。


いずれも立ち合いにきちんと踏み込んで「流れ」を作っていれば、展開は変わっていたと思う。「強い横綱」を見せようとする余り、自らのスタイルを崩してしまったように思えてならない。


5日目、不戦勝で豊昇龍戦の勝ち名乗りを受けたのは王鵬だった。もしも、そこで横綱が出場して敗れるような事態になれば、4日連続の金星配給となり、1931年の宮城山以来、94年ぶりの屈辱になるところだった。


金星配給は、新横綱で10日目から休場した春場所は3個。千秋楽に大の里の全勝優勝を阻止して12勝した夏場所も2個。名古屋場所と合わせると、計3場所で早くも8個になる。昇進を決めた初場所も連続優勝ではなく、平幕に3敗してからの12勝での優勝だった。その場所での照ノ富士(現伊勢ケ浜親方)の引退があったとは言え、甘い昇進で慎重論が根強かったのが改めて頷ける結果と言って良いだろう。


一方の3連覇、新横綱で歴代10人目の優勝を狙った大の里も序盤こそ好調に見えた。しかし、4日目に平幕の王鵬に敗れると、その後は豊昇龍がいなくなり、一人横綱になった重圧からなのか、昭和以降の新横綱としてはワースト記録となる4個の金星を配給してしまった。


敗因は、これまで指摘され続けてきた引き技の悪癖が全く改善されていないことだ。王鵬戦は攻め込みながら得意の右が差せないと、このところ地力を付けてきた相手を引いて、呼び込んでしまった。中日8日目の伯桜鵬戦は踏み込めずに、そのままいきなり引いて懐に入られ、一気に押し出された。この辺りから気力も、リズムもおかしくなった。


10日の玉鷲戦では押し相撲を左四つに組み止めて右上手で攻め込みはした。だが、俵に詰まったところで逆転の突き落としを食い、土俵下まで転げ落ちた。40歳8カ月の相手に、昭和以降の入幕者で最年長の金星獲得を許した。


極めつけは13日目の琴勝峰戦だ。勝てば、優勝争い首位を引きずり降ろすチャンスだったが、動きに切れがない。立ち合い踏み込めず、右を差したので寄って出たが、25歳に上手を取られて振り回されると残り腰もなく、あっけなく俵を踏み越し、土俵下まで投げ飛ばされた。この時点で優勝は絶望的になった。


これにはさすがの八角理事長(元横綱北勝海)も「集中力がない。相撲がバラバラになってきた。体が動けていない」と失望感いっぱいで苦言を呈した。


実は同じ平幕の12日目、一山本戦も物言いが付き、「同体、取り直し」の末に何とか勝ち星を拾っていた。1回目の勝負では軍配は一山本にあがり、明らかに分が悪かった。攻めきれず、強引に頭を押さえて引きに行った。そのまま付いてこられ、相手も腹ばいに落ちたが、土俵の外まで飛び出た。勝利した一番も引いた。土俵際まで攻め込まれて、そこから何とか逆転勝ちしたが、この一番も敗れていたとすると、金星配給は5個になっていた計算になる。


新横綱場所を11勝で終え、「土俵入り等、初めてのことばかりで反省した。2場所目からは同じ失敗をしないように」と話した大の里。192㎝、191㎏の体を活かして得意の右差しで走った時の強さはとてつもない。しかし、その一気の攻めで仕留められなかった時に引き技に頼ることが体に身についてしまっているように感じる。さらに踏み込めなかった時には腰高の弱点もある。攻めに徹した時は強いが、まだ止まった時と守りに入った時の安定感がない。デビューしてわずか14場所。2年ちょっとだ。頂点にはいるものの、依然、成長過程と見るべきだろう。


千秋楽翌日に開かれる横綱審議委員会の定例会。集まった報道陣を前にした大島理森委員長(元衆院議長)は不振の両横綱に対して、「(大の里と豊昇龍で)『大豊時代』到来の期待に応えられなかったのは残念至極だ。両横綱は重みのある、緊張感のある横綱になって欲しい。ファンは、この2人の横綱に優勝争いの最後の対戦で力強い対決をして欲しいと思っているのではないか」と述べた。


両横綱の不評ばかりが目立つが、もう1人、「番付崩壊」を印象付けているのが大関・琴桜だ。昨年九州場所で悲願の初優勝。今年、初場所で綱とりに挑んだが、5勝10敗で負け越してカド番に。その後は名古屋までの3場所全て8勝7敗。優勝に絡むどころか、勝ち越すのがやっとという始末だ。


名古屋場所で最後まで優勝を争った3力士は、琴勝峰に続いたのが21歳の安青錦と、新入幕で24歳の草野。若い力の台頭はファンにはたまらない要素ではあるが、今のままでは番付が泣いてしまう。


(竹園隆浩/スポーツライター)


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