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2026-07-28 09:10
今年5月に発表された「LINEマンガ13周年!推しマンガ総選挙」の「1話目で心掴まれたマンガ」部門では、名だたる人気作品を抑え、ウェブトゥーン作品がトップ3を独占した。第1話の重要性は紙・デジタルを問わずマンガ共通だが、なぜ今回のランキングではウェブトゥーンが上位を席巻したのか。その背景には、縦読みならではの特徴が関係している。読者を“1話目でハマらせる”仕掛けについて、LINEマンガに話を聞いた。
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■物語やキャラクターだけではない、“心をつかむ”読書体験
マンガにおいて、第1話が作品の命運を左右することは今も昔も変わらない。しかし、「1話が面白い」と「1話で心を掴まれる」は、似ているようで少し意味合いが異なる。前者はストーリーやキャラクターへの評価が中心になる一方、後者には読者が作品世界へ入り込み、「続きを読みたい」と感じるまでの読書体験も含まれる。
LINEマンガの広報担当・廣田佳穂さんは、「1話目で心掴まれたマンガ」部門でウェブトゥーン作品が上位を占めた理由について、次のように分析する。
「LINEマンガ13周年を記念した今回の“マンガ総選挙”では、13のテーマを設けました。総投票数は288万票を超え、それぞれのテーマごとに異なる特徴が表れたと感じています。『1話目で心掴まれたマンガ』は、ストーリーやジャンルそのものを評価するだけではなく、『どう読ませるか』という体験も印象に影響するテーマです。そのため、ウェブトゥーンというフォーマットの特徴が、より色濃く結果に表れたのかもしれません」(LINEマンガ 広報担当・廣田佳穂さん/以下同)
つまり今回の結果は、ウェブトゥーンならではの表現手法が、“1話目で心を掴まれた”という読者の印象にも影響している可能性を示している。その特徴をひもとくと、フルカラーや縦読みといった、紙のマンガとは異なる表現にたどり着く。
■フルカラーと縦スクロールが生む"没入感"
ウェブトゥーンの特徴としてまず挙げられるのが、フルカラーで描かれる作品が多いことだ。
「読んでいる時のインパクトや感情との結びつき、そして記憶に残りやすいという点で強みがあります。特に今回『1話目で心掴まれたマンガ』BEST3に入った作品はいずれもロマンスファンタジーですが、王族や貴族など現代の私たちの生活とは離れた世界観でも、カラーで描かれることで読者が無意識に得られる情報は多く、一気に作品の世界へ導くことができます」
ロマンスファンタジーは、現実とは異なる世界観を舞台とするため、読者が最初に理解しなければならない情報量が多いジャンルでもある。フルカラーは、その情報をセリフや説明だけに頼らず、視覚的に伝えられる点が強みだ。作品世界をスムーズに理解できることで、読者はストーリーや登場人物の感情にも自然と入り込みやすくなる。
また、ウェブトゥーンならではの特徴は、縦スクロールという読み方にもある。
「ウェブトゥーンのフォーマットに見られる特徴の一つとして、コマとコマの間の余白が挙げられます。これは、スマートデバイス上で読みやすくするためだけではなく、時間の経過や心理描写を表すなど、さまざまな演出の役割も果たしています。余白の長さを変えることでテンポをコントロールしたり、キャラクターの感情を噛みしめる時間を読者に与えたり、スクロール先に予想のできない展開が待っていたり…。このような没入感は、ウェブトゥーンならではの演出だと思います」
紙のマンガでは、ページをめくるタイミングが演出の一部となる。一方、ウェブトゥーンでは、読者が画面をスクロールして初めて次の場面が現れる。読む動作そのものが演出に組み込まれているため、驚きや緊張感を読者自身が体験しながら物語を追うことになる。こうした読書体験も、ウェブトゥーンならではの没入感を生み出している。
■スマホで読むことを前提に進化したマンガ表現
廣田さんは、ウェブトゥーンと横読みマンガとの違いについても、「読む」という行為そのものにあると話す。
「ウェブトゥーンは、上から下に読み進める縦スクロール形式のデジタルコミックです。セリフの吹き出しの配置や演出もスマートデバイスでの閲覧に適するよう考えられています。そのため、コマの配置に合わせて視線を変えながら読む横読みのマンガと、一定の視線で片手でスクロールしながら読むウェブトゥーンでは、身体的な体験の違いが生まれています。それぞれのフォーマットだからこそできる演出があり、マンガというコンテンツの幅を広げています」
ウェブトゥーンはスマートフォンで読むことを前提に設計されているため、視線を大きく動かすことなく片手で読み進められる。読むこと自体に余計な負荷が少ないことで、読者は物語や登場人物に集中しやすくなる。こうした読みやすさも、作品世界へ自然に入り込める要因の一つと言えそうだ。
■「1話目で心を掴まれた」ベスト3とは?
実際に「1話目で心掴まれたマンガ」部門のベスト3作品を見てみると、いずれもロマンスファンタジーを舞台に、フルカラーや縦スクロールといったウェブトゥーンならではの表現を生かしている点が共通している。
ベスト3入りした『再婚承認を要求します』(※1)は、幼い頃から「完璧な皇后」として国を支えてきたナビエが、夫である皇帝からの理不尽な離婚を受け入れるところから始まる。しかし彼女は、「――そして、再婚の承認を要求します」と宣言。隣国の王との再婚という誰も予想しなかった展開へと物語が動き出す。愛も信頼も失った皇后が、自らの誇りを胸に新たな人生を切り開いていく姿が見どころだ。壮麗な宮廷の世界観もフルカラーで描かれ、冒頭から読者を作品世界へ引き込んでいく。
同じくベスト3入りした『泣いてみろ、乞うてもいい』(※2)は、母に捨てられ、父も亡くした少女レイラと、彼女に執着する若き公爵マティアスを描くロマンスファンタジー。ようやく穏やかな暮らしを手に入れたレイラだったが、マティアスとの出会いをきっかけに、その運命は大きく揺れ動いていく。美しい自然や貴族社会を背景に、愛情と執着が交錯する緊張感のある人間関係が描かれ、先の読めない展開が読者を惹きつける。縦スクロールならではのテンポも、その緊迫感を一層引き立てている。
『問題な王子様』(※3)もベスト3入りを果たした作品だ。家を守るため「王室の毒キノコ」と呼ばれる問題児王子との政略結婚を選んだ令嬢エルナが主人公。冷え切った夫婦関係から始まる二人は、さまざまな試練や喪失を経験する中で、少しずつ互いへの想いを変化させていく。王宮を舞台に繰り広げられるドラマと、すれ違う心情を丁寧に描いたロマンスが魅力だ。華やかな世界観や登場人物の繊細な表情はフルカラーだからこそ印象深く、感情の機微をより豊かに伝えている。
■読者を引き込むプロローグの役割
演出面だけでなく、物語の導入にも、ウェブトゥーンならではの工夫がある。
廣田さんは、「ウェブトゥーンに限った話ではない」と前置きした上で、「常時無料で読める序盤で『ヒーロー』『ヒロイン』『ライバル(敵)』『主人公の目的』が読者に伝わらないと、継読が難しくなる傾向があります」と説明する。
その工夫の一つが、本編に入る前に「このマンガの未来図」を示すプロローグだ。
「ウェブトゥーンでよく取られる手法は、1話の冒頭数コマで『この漫画の未来図』を描くことです。読者がマンガを読む際に結末に対する安心感を与え、そこに至るまでのプロセスを楽しむ、という手法ですね。ウェブトゥーンで多く見られる、1話よりも先にプロローグを公開している作品もこれに当てはまります。もちろん、フォーマットに当てはまらない作品も多く存在します」
フルカラーや縦スクロールといった演出に加え、物語の行方を先に示すプロローグも、読者を作品へ引き込むための工夫の一つだ。世界観を理解させ、結末への期待を抱かせながら物語を読み進めてもらう――そうした設計も、「1話で心を掴まれた」という評価につながった要因と言えそうだ。
※1『再婚承認を要求します』(原作:Alphatart、作画:SUMPUL、脚色:HereLee/LINEマンガ)
(C)SUMPUL・HereLee・Alphatart/LINE Digital Frontier (C)MSTORYHUB
※2『泣いてみろ、乞うてもいい』(漫画:VAN JI、原作:Solche(原作)/LINEマンガ)
(C)VAN JI・Solche/LINE Digital Frontier
※3『問題な王子様』(原作:Solche、漫画:CACTUS/LINEマンガ)
(C)Solche・CACTUS/LINE Digital Frontier (C)SEOUL MEDIA COMICS
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■物語やキャラクターだけではない、“心をつかむ”読書体験
マンガにおいて、第1話が作品の命運を左右することは今も昔も変わらない。しかし、「1話が面白い」と「1話で心を掴まれる」は、似ているようで少し意味合いが異なる。前者はストーリーやキャラクターへの評価が中心になる一方、後者には読者が作品世界へ入り込み、「続きを読みたい」と感じるまでの読書体験も含まれる。
LINEマンガの広報担当・廣田佳穂さんは、「1話目で心掴まれたマンガ」部門でウェブトゥーン作品が上位を占めた理由について、次のように分析する。
「LINEマンガ13周年を記念した今回の“マンガ総選挙”では、13のテーマを設けました。総投票数は288万票を超え、それぞれのテーマごとに異なる特徴が表れたと感じています。『1話目で心掴まれたマンガ』は、ストーリーやジャンルそのものを評価するだけではなく、『どう読ませるか』という体験も印象に影響するテーマです。そのため、ウェブトゥーンというフォーマットの特徴が、より色濃く結果に表れたのかもしれません」(LINEマンガ 広報担当・廣田佳穂さん/以下同)
つまり今回の結果は、ウェブトゥーンならではの表現手法が、“1話目で心を掴まれた”という読者の印象にも影響している可能性を示している。その特徴をひもとくと、フルカラーや縦読みといった、紙のマンガとは異なる表現にたどり着く。
■フルカラーと縦スクロールが生む"没入感"
ウェブトゥーンの特徴としてまず挙げられるのが、フルカラーで描かれる作品が多いことだ。
「読んでいる時のインパクトや感情との結びつき、そして記憶に残りやすいという点で強みがあります。特に今回『1話目で心掴まれたマンガ』BEST3に入った作品はいずれもロマンスファンタジーですが、王族や貴族など現代の私たちの生活とは離れた世界観でも、カラーで描かれることで読者が無意識に得られる情報は多く、一気に作品の世界へ導くことができます」
ロマンスファンタジーは、現実とは異なる世界観を舞台とするため、読者が最初に理解しなければならない情報量が多いジャンルでもある。フルカラーは、その情報をセリフや説明だけに頼らず、視覚的に伝えられる点が強みだ。作品世界をスムーズに理解できることで、読者はストーリーや登場人物の感情にも自然と入り込みやすくなる。
また、ウェブトゥーンならではの特徴は、縦スクロールという読み方にもある。
「ウェブトゥーンのフォーマットに見られる特徴の一つとして、コマとコマの間の余白が挙げられます。これは、スマートデバイス上で読みやすくするためだけではなく、時間の経過や心理描写を表すなど、さまざまな演出の役割も果たしています。余白の長さを変えることでテンポをコントロールしたり、キャラクターの感情を噛みしめる時間を読者に与えたり、スクロール先に予想のできない展開が待っていたり…。このような没入感は、ウェブトゥーンならではの演出だと思います」
紙のマンガでは、ページをめくるタイミングが演出の一部となる。一方、ウェブトゥーンでは、読者が画面をスクロールして初めて次の場面が現れる。読む動作そのものが演出に組み込まれているため、驚きや緊張感を読者自身が体験しながら物語を追うことになる。こうした読書体験も、ウェブトゥーンならではの没入感を生み出している。
■スマホで読むことを前提に進化したマンガ表現
廣田さんは、ウェブトゥーンと横読みマンガとの違いについても、「読む」という行為そのものにあると話す。
「ウェブトゥーンは、上から下に読み進める縦スクロール形式のデジタルコミックです。セリフの吹き出しの配置や演出もスマートデバイスでの閲覧に適するよう考えられています。そのため、コマの配置に合わせて視線を変えながら読む横読みのマンガと、一定の視線で片手でスクロールしながら読むウェブトゥーンでは、身体的な体験の違いが生まれています。それぞれのフォーマットだからこそできる演出があり、マンガというコンテンツの幅を広げています」
ウェブトゥーンはスマートフォンで読むことを前提に設計されているため、視線を大きく動かすことなく片手で読み進められる。読むこと自体に余計な負荷が少ないことで、読者は物語や登場人物に集中しやすくなる。こうした読みやすさも、作品世界へ自然に入り込める要因の一つと言えそうだ。
■「1話目で心を掴まれた」ベスト3とは?
実際に「1話目で心掴まれたマンガ」部門のベスト3作品を見てみると、いずれもロマンスファンタジーを舞台に、フルカラーや縦スクロールといったウェブトゥーンならではの表現を生かしている点が共通している。
ベスト3入りした『再婚承認を要求します』(※1)は、幼い頃から「完璧な皇后」として国を支えてきたナビエが、夫である皇帝からの理不尽な離婚を受け入れるところから始まる。しかし彼女は、「――そして、再婚の承認を要求します」と宣言。隣国の王との再婚という誰も予想しなかった展開へと物語が動き出す。愛も信頼も失った皇后が、自らの誇りを胸に新たな人生を切り開いていく姿が見どころだ。壮麗な宮廷の世界観もフルカラーで描かれ、冒頭から読者を作品世界へ引き込んでいく。
同じくベスト3入りした『泣いてみろ、乞うてもいい』(※2)は、母に捨てられ、父も亡くした少女レイラと、彼女に執着する若き公爵マティアスを描くロマンスファンタジー。ようやく穏やかな暮らしを手に入れたレイラだったが、マティアスとの出会いをきっかけに、その運命は大きく揺れ動いていく。美しい自然や貴族社会を背景に、愛情と執着が交錯する緊張感のある人間関係が描かれ、先の読めない展開が読者を惹きつける。縦スクロールならではのテンポも、その緊迫感を一層引き立てている。
『問題な王子様』(※3)もベスト3入りを果たした作品だ。家を守るため「王室の毒キノコ」と呼ばれる問題児王子との政略結婚を選んだ令嬢エルナが主人公。冷え切った夫婦関係から始まる二人は、さまざまな試練や喪失を経験する中で、少しずつ互いへの想いを変化させていく。王宮を舞台に繰り広げられるドラマと、すれ違う心情を丁寧に描いたロマンスが魅力だ。華やかな世界観や登場人物の繊細な表情はフルカラーだからこそ印象深く、感情の機微をより豊かに伝えている。
■読者を引き込むプロローグの役割
演出面だけでなく、物語の導入にも、ウェブトゥーンならではの工夫がある。
廣田さんは、「ウェブトゥーンに限った話ではない」と前置きした上で、「常時無料で読める序盤で『ヒーロー』『ヒロイン』『ライバル(敵)』『主人公の目的』が読者に伝わらないと、継読が難しくなる傾向があります」と説明する。
その工夫の一つが、本編に入る前に「このマンガの未来図」を示すプロローグだ。
「ウェブトゥーンでよく取られる手法は、1話の冒頭数コマで『この漫画の未来図』を描くことです。読者がマンガを読む際に結末に対する安心感を与え、そこに至るまでのプロセスを楽しむ、という手法ですね。ウェブトゥーンで多く見られる、1話よりも先にプロローグを公開している作品もこれに当てはまります。もちろん、フォーマットに当てはまらない作品も多く存在します」
フルカラーや縦スクロールといった演出に加え、物語の行方を先に示すプロローグも、読者を作品へ引き込むための工夫の一つだ。世界観を理解させ、結末への期待を抱かせながら物語を読み進めてもらう――そうした設計も、「1話で心を掴まれた」という評価につながった要因と言えそうだ。
※1『再婚承認を要求します』(原作:Alphatart、作画:SUMPUL、脚色:HereLee/LINEマンガ)
(C)SUMPUL・HereLee・Alphatart/LINE Digital Frontier (C)MSTORYHUB
※2『泣いてみろ、乞うてもいい』(漫画:VAN JI、原作:Solche(原作)/LINEマンガ)
(C)VAN JI・Solche/LINE Digital Frontier
※3『問題な王子様』(原作:Solche、漫画:CACTUS/LINEマンガ)
(C)Solche・CACTUS/LINE Digital Frontier (C)SEOUL MEDIA COMICS
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