エンタメ
2026-03-24 08:30
ディズニー&ピクサーが新たに描く“もしもの物語”『私がビーバーになる時』(公開中)。人間が動物の世界に入り込むというユニークな設定で、自然と共存をめぐるテーマに挑む本作について、監督・脚本のダニエル・チョンとプロデューサーのニコル・パラディス・グリンドルがオンラインインタビューに応じた。
【動画】『私がビーバーになる時』日本版本予告
本作は、動物好きの大学生メイベルが、思い出の森を守るため“ビーバーになる”という大胆な選択をする物語。人間の意識を持ったまま動物の世界に飛び込んだ彼女は、常識の通じない環境の中で、森を守るための作戦に挑む。
■日系キャラクター誕生の背景「スクリーンで描かれてこなかった関係性」
主人公の祖母の名前が「TANAKA」であることについて、チョン監督は自身のルーツと経験が影響していると明かす。
「僕はカリフォルニア州オレンジカウンティで育ち、日本人コミュニティが身近にありました。多くの友人が日系三世や四世で、祖母世代も長くアメリカに住んでいるかアメリカ生まれ、訛りのない英語を話していたのを覚えています。その中で、祖母と孫の関係性を映画で描きたいと思ったんです。これまで映画であまり見たことがなかったですし、単純に僕自身の背景から来ています」
プロデューサーのグリンドルも、制作チームに日系アメリカ人が多く関わっていたことを説明する。
「プロダクションデザイナーのブリン・イマギリをはじめ、私たちのチームにも、何世代も前からアメリカに住み、自分たちを“アメリカ人”として認識しているアジア系のメンバーが多くいました。これまで十分に表現されてきたとは言えないアジア系アメリカ人を描くことは、とても意味のある選択だったと思います」
■ビーバーの“生態系を作る力”が物語の核に
作品づくりにあたっては、ビーバーの生態を徹底的にリサーチしたという。
グリンドルは「外見からオスとメスの区別がつかないことに驚いた」と語る一方、チョン監督は物語の根幹となった発見を挙げる。
「ビーバーは自分たちの住処のために池を作りますが、その結果として他の動物たちの生態系が生まれるんです。彼らは環境を“つくる存在”なんです。この考え方が物語の基盤になりました」
グリンドルも「それがこの作品の中心的なメタファー」と強調する。
■“たった一人の声”をどう届けるか 現代社会との接点
本作では、高速道路建設という開発と自然保護の対立を背景に、主人公が声を上げ続ける姿が描かれる。プロデューサーのグリンドルは、このテーマが現代の若者の置かれた状況と重なると語る。
「いまの若い世代は、これまでとは違う視点で世界を見ていて、問題解決の方法についても新しい考え方を持っています。ただ一方で、“自分たちの声はどうせ届かない”と感じている人も多いのではないでしょうか。自然環境の破壊や政治的な対立が激しい現代社会の中で、明確な意見を持ちながらも、どう伝えればいいのか分からず模索している若者は少なくないと思います」
物語では、若者と政治家という異なる立場の人々が対話を通じて歩み寄っていく過程も描かれる。
「メイベルも最初は、自分の思いをうまく伝えられません。しかし物語を通して、“どうすればその溝を埋められるのか”を学んでいきます。一方で、年長世代である政治家のジェリー市長も、市民の声に耳を傾ける方法を見つけていかなければなりません。私たちは最終的に、世代や立場を越えて歩み寄り、問題を共に解決していく姿を描くことが重要だと考えました」
さらにグリンドルは、「現代社会では、ともすれば忘れられがちな問いがあります。それは“違いを越えて、どう互いの声に耳を傾けるのか”ということ。この作品で最も伝えたかったテーマの一つです」と強調した。
■“悪者を作らない”物語 すべてはつながっている
チョン監督は、本作の特徴として「誰も悪役として描いていない」点を挙げた。
「この映画には祖母、若者、教師、政治家、そして動物たちと、さまざまな立場の存在が登場します。年齢に関係なく、誰もがこの映画の中に自分自身を見いだせる作品になっていればと願っています。だからこそ、この作品は誰かを悪役にする物語ではありません。誰もが自分の正しさを持っている。大切なのは、どうつながるかということです」
さらに、「人間も動物も同じ地球に生きる存在」であることを強調し、「私たち人間も生態系の一部であるということを、どう思い出すのか。私たちが互いに責任を持つ関係にあることをどう理解するかが、この作品の核」だと語った。
■高畑勲作品からの影響「『ぽんぽこ』とつながった瞬間」
日本アニメからの影響についても言及。チョン監督は高畑勲監督の『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994年)を挙げる。
「最初に観たときは構造の独特さに戸惑いましたが、今回の映画のアイデアを練っているときに、「待てよ、これは高畑監督が『ぽんぽこ』でやろうとしていたこととすごくつながっているのでは?」と気づきました。そこで改めて観直してみたら、年齢を重ねた今だからこそ、強く共鳴する部分がたくさんありました。
人間が自然に与える影響、そして自然がそれにどう対処し、どう適応していくのか。そうしたテーマがはっきりと見えてきたんです。それは本作の大きなアイデアを形づくるうえで、非常に重要な参照点になりました。そこから発展させていったという感じです」
日本アニメから受けた影響についても話が及んだ。チョン監督は、高畑勲監督の『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994年)を重要な作品として挙げている。
「最初に観たときは、物語の構造がとても独特で、どう受け止めればいいのか少し戸惑いがありました。ただ今回の映画のアイデアを練っているときに、“これは高畑監督が『ぽんぽこ』で描こうとしていたことと深くつながっているのではないか”と気づいたんです。そこで改めて観直してみたら、今だからこそ強く共鳴する部分がたくさんありました」
人間が自然環境に与える影響、環境が変わる中でどう共存の道を探ろうとするのか――。チョン監督は、そうしたテーマの描き方が本作の発想の核になったと明かす。
「自然と人間の関係をどう描くのかという点で、『ぽんぽこ』は非常に重要な参照点になりました。そこからさらに発展させる形で、この作品の世界観を構築していきました」
また、『となりのトトロ』(1988年)についても言及し、「自然への敬意と子ども時代の観察が詰まった“魔法のような作品”」と自身の創作への大きな影響を明かした。
グリンドルは『魔女の宅急便』(1989年)に触れ、「自分の居場所を探しながら成長していくキキの姿は、主人公メイベルとどこか重なる」とコメント。スタジオジブリ作品が持つ普遍的なテーマ性が、本作にも静かに息づいていることを示唆した。
■日本の観客へ「つながりを感じてほしい」
最後に、日本の観客に向けてメッセージを求めると、チョン監督はこう語った。
「この映画を観て笑い、楽しみ、そして誰かとのつながりを感じてもらえたらうれしい。それだけで映画には価値があると思っています」
さらに、「自然や動物、そして他者との関係について考えるきっかけになれば」と語った。
グリンドルも「ビーバーを好きになってもらえたらうれしい」と笑顔を見せ、「世界とのつながりを感じるきっかけになれば」と期待を寄せた。
“もしも動物の世界に入れたら”というユニークな設定の裏にあるのは、分断が進む現代社会において、人と人は、人と自然は、どうつながれるのかを問いかけるメッセージ。アメリカをはじめ世界各国で3月6日より公開された本作は、「近年のピクサー作品の最高傑作」「原点回帰を感じさせる完成度」「古き良きピクサーの魅力と現代的なテーマが美しく融合した一作」などと高く評価され、全世界興収2億4000万ドルを突破。
日本では公開2週目となる3月20日~22日の3日間で興行収入3億8172万円、観客動員28万3943人を記録。動員は前週末比107%と高いホールド率を示し、公開10日間の累計は興収9億6235万円、動員71万3626人となっている。口コミによるロングランヒットへの期待も高まっている。
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本作は、動物好きの大学生メイベルが、思い出の森を守るため“ビーバーになる”という大胆な選択をする物語。人間の意識を持ったまま動物の世界に飛び込んだ彼女は、常識の通じない環境の中で、森を守るための作戦に挑む。
■日系キャラクター誕生の背景「スクリーンで描かれてこなかった関係性」
主人公の祖母の名前が「TANAKA」であることについて、チョン監督は自身のルーツと経験が影響していると明かす。
「僕はカリフォルニア州オレンジカウンティで育ち、日本人コミュニティが身近にありました。多くの友人が日系三世や四世で、祖母世代も長くアメリカに住んでいるかアメリカ生まれ、訛りのない英語を話していたのを覚えています。その中で、祖母と孫の関係性を映画で描きたいと思ったんです。これまで映画であまり見たことがなかったですし、単純に僕自身の背景から来ています」
プロデューサーのグリンドルも、制作チームに日系アメリカ人が多く関わっていたことを説明する。
「プロダクションデザイナーのブリン・イマギリをはじめ、私たちのチームにも、何世代も前からアメリカに住み、自分たちを“アメリカ人”として認識しているアジア系のメンバーが多くいました。これまで十分に表現されてきたとは言えないアジア系アメリカ人を描くことは、とても意味のある選択だったと思います」
■ビーバーの“生態系を作る力”が物語の核に
作品づくりにあたっては、ビーバーの生態を徹底的にリサーチしたという。
グリンドルは「外見からオスとメスの区別がつかないことに驚いた」と語る一方、チョン監督は物語の根幹となった発見を挙げる。
「ビーバーは自分たちの住処のために池を作りますが、その結果として他の動物たちの生態系が生まれるんです。彼らは環境を“つくる存在”なんです。この考え方が物語の基盤になりました」
グリンドルも「それがこの作品の中心的なメタファー」と強調する。
■“たった一人の声”をどう届けるか 現代社会との接点
本作では、高速道路建設という開発と自然保護の対立を背景に、主人公が声を上げ続ける姿が描かれる。プロデューサーのグリンドルは、このテーマが現代の若者の置かれた状況と重なると語る。
「いまの若い世代は、これまでとは違う視点で世界を見ていて、問題解決の方法についても新しい考え方を持っています。ただ一方で、“自分たちの声はどうせ届かない”と感じている人も多いのではないでしょうか。自然環境の破壊や政治的な対立が激しい現代社会の中で、明確な意見を持ちながらも、どう伝えればいいのか分からず模索している若者は少なくないと思います」
物語では、若者と政治家という異なる立場の人々が対話を通じて歩み寄っていく過程も描かれる。
「メイベルも最初は、自分の思いをうまく伝えられません。しかし物語を通して、“どうすればその溝を埋められるのか”を学んでいきます。一方で、年長世代である政治家のジェリー市長も、市民の声に耳を傾ける方法を見つけていかなければなりません。私たちは最終的に、世代や立場を越えて歩み寄り、問題を共に解決していく姿を描くことが重要だと考えました」
さらにグリンドルは、「現代社会では、ともすれば忘れられがちな問いがあります。それは“違いを越えて、どう互いの声に耳を傾けるのか”ということ。この作品で最も伝えたかったテーマの一つです」と強調した。
■“悪者を作らない”物語 すべてはつながっている
チョン監督は、本作の特徴として「誰も悪役として描いていない」点を挙げた。
「この映画には祖母、若者、教師、政治家、そして動物たちと、さまざまな立場の存在が登場します。年齢に関係なく、誰もがこの映画の中に自分自身を見いだせる作品になっていればと願っています。だからこそ、この作品は誰かを悪役にする物語ではありません。誰もが自分の正しさを持っている。大切なのは、どうつながるかということです」
さらに、「人間も動物も同じ地球に生きる存在」であることを強調し、「私たち人間も生態系の一部であるということを、どう思い出すのか。私たちが互いに責任を持つ関係にあることをどう理解するかが、この作品の核」だと語った。
■高畑勲作品からの影響「『ぽんぽこ』とつながった瞬間」
日本アニメからの影響についても言及。チョン監督は高畑勲監督の『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994年)を挙げる。
「最初に観たときは構造の独特さに戸惑いましたが、今回の映画のアイデアを練っているときに、「待てよ、これは高畑監督が『ぽんぽこ』でやろうとしていたこととすごくつながっているのでは?」と気づきました。そこで改めて観直してみたら、年齢を重ねた今だからこそ、強く共鳴する部分がたくさんありました。
人間が自然に与える影響、そして自然がそれにどう対処し、どう適応していくのか。そうしたテーマがはっきりと見えてきたんです。それは本作の大きなアイデアを形づくるうえで、非常に重要な参照点になりました。そこから発展させていったという感じです」
日本アニメから受けた影響についても話が及んだ。チョン監督は、高畑勲監督の『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994年)を重要な作品として挙げている。
「最初に観たときは、物語の構造がとても独特で、どう受け止めればいいのか少し戸惑いがありました。ただ今回の映画のアイデアを練っているときに、“これは高畑監督が『ぽんぽこ』で描こうとしていたことと深くつながっているのではないか”と気づいたんです。そこで改めて観直してみたら、今だからこそ強く共鳴する部分がたくさんありました」
人間が自然環境に与える影響、環境が変わる中でどう共存の道を探ろうとするのか――。チョン監督は、そうしたテーマの描き方が本作の発想の核になったと明かす。
「自然と人間の関係をどう描くのかという点で、『ぽんぽこ』は非常に重要な参照点になりました。そこからさらに発展させる形で、この作品の世界観を構築していきました」
また、『となりのトトロ』(1988年)についても言及し、「自然への敬意と子ども時代の観察が詰まった“魔法のような作品”」と自身の創作への大きな影響を明かした。
グリンドルは『魔女の宅急便』(1989年)に触れ、「自分の居場所を探しながら成長していくキキの姿は、主人公メイベルとどこか重なる」とコメント。スタジオジブリ作品が持つ普遍的なテーマ性が、本作にも静かに息づいていることを示唆した。
■日本の観客へ「つながりを感じてほしい」
最後に、日本の観客に向けてメッセージを求めると、チョン監督はこう語った。
「この映画を観て笑い、楽しみ、そして誰かとのつながりを感じてもらえたらうれしい。それだけで映画には価値があると思っています」
さらに、「自然や動物、そして他者との関係について考えるきっかけになれば」と語った。
グリンドルも「ビーバーを好きになってもらえたらうれしい」と笑顔を見せ、「世界とのつながりを感じるきっかけになれば」と期待を寄せた。
“もしも動物の世界に入れたら”というユニークな設定の裏にあるのは、分断が進む現代社会において、人と人は、人と自然は、どうつながれるのかを問いかけるメッセージ。アメリカをはじめ世界各国で3月6日より公開された本作は、「近年のピクサー作品の最高傑作」「原点回帰を感じさせる完成度」「古き良きピクサーの魅力と現代的なテーマが美しく融合した一作」などと高く評価され、全世界興収2億4000万ドルを突破。
日本では公開2週目となる3月20日~22日の3日間で興行収入3億8172万円、観客動員28万3943人を記録。動員は前週末比107%と高いホールド率を示し、公開10日間の累計は興収9億6235万円、動員71万3626人となっている。口コミによるロングランヒットへの期待も高まっている。
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