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2026-03-01 06:00
「第4回新潟国際アニメーション映画祭(NIAFF)」が2月20日から25日までの6日間、新潟市の古町地区・万代地区を中心に開催された。最終日には、世界59の国・地域から計274作品の応募があったコンペティション部門の各賞が発表された。
【画像】クロージングセレモニーの写真
期間中は、全50の上映と企画(ティーチイン、開会式、閉会式、レセプション、グランプリ上映は除く)が行われ、アニメ世界を志す若者を国内外から招待する人材育成プログラムは12の国・地域から29人が参加(国籍不問)。 映画祭総動員数は速報値で3万4368人(前年比113%)を記録した。
■長編部門グランプリはベルギーほか共同製作作品
長編部門は49作品の応募があり、その中から7作品がノミネートされ、期間中に上映された。グランプリに輝いたのは『アラーの神にはいわれもない』(監督:ザヴェン・ナジャール/ベルギー・カナダ・フランス・ルクセンブルグ)。アマドゥ・クルマの小説を原作に、紛争下で搾取される子どもたちの現実を描いた作品だ。
ナジャール監督は「グランプリ受賞を大変光栄に思います。アマドゥ・クルマの小説が私たちの心に響き、悲しいことに今も響き続けています。世界中で多くの子供たちが、紛争の中で利用され、搾取されているのです」とコメントを寄せた。審査員からは「笑いと涙を通して、想像を超える人生を見せてくれた。素晴らしい音楽とアニメーションが詰まっている」と高い評価を受けた。
長編部門審査員賞は、ブラジル・ペルー合作『ニムエンダジュ』(監督:タニア・アナヤ)が受賞。「アニメーションの概念そのものを押し広げている」と評され、歴史的人物の矛盾や抑圧を高度な技法で描いた点が評価された。
■新設Indie Box部門「スワン賞」は『オートカー』
15分以上40分未満の中編作品を対象に今年から新設されたIndie Box部門では、225作品の応募があり、10作品がノミネートされた。グランプリにあたる「スワン賞」は、『オートカー』(監督:シルビア・シュキウォンツ/ベルギー・フランス/17分)が受賞。
シュキウォンツ監督は、「才能ある献身的なチームと共に4年6ヶ月の歳月を費やして制作しました。1990年代に移民だった私自身、そして私と同じような経験をした今は大人であるかつての子どもたちにとって、この映画は必然でした」と、移民としての体験を背景に制作された作品であることを強調した。
審査員を務めた映画監督の早川千絵氏は「幻想的で素晴らしい作品。バスに乗るという一人の子どもの旅が、さまざまな比喩的表現含んだマジカルリアリズムな冒険へと変わっていきます。 素晴らしいアイデアと視覚的メタファーにあふれており、ほかのどの映像表現でもできないことをアニメーションが特別な役割を担って可能にしていることを示しています 」と講評を述べた。
Indie Box部門審査員賞には韓国作品『ザ・ポップスター・ウォーター・ディアー・アンド・アイ』が選ばれた。
また、両部門を通じた新人賞「ゼングレヒトシュターター賞」は、エストニア・アルメニア・フランス合作『ウィンター・イン・マーチ』のナタリア・ミルゾヤン監督が受賞した。
ミルゾヤン監督は、「2022年にこの映画を作り始めた時には、ウクライナへの全面的な侵攻がこれほど長く続くとは思いもしませんでした。私がこの映画を作ろうと思い立った2022年2月24日からすでに4年が経ちました。戦争は多くの命を奪いましたが、それだけではなくさらに小さな悲劇が絶えまなく起き続け、多くの家族が離散し、多くの人々が深刻な鬱に苦しんでいます。ですから、この映画が世界中で上映されることは私にとってなによりも大切なことなのです。なぜならこの映画は今現在起きていることを描いているからです。この機会を与えていただきありがとうございます」 とコメントした。
審査員は「兵士や犠牲者だけに焦点を当てるのではなく、社会全体にどのような影響を及ぼすのかを描写しています。そして、実物の素材が持つ実物感が強く長く心に残る映像体験を描いてくれました」と評した。
■大川博賞受賞、岩井澤健治監督「またもう一度いただけるように頑張る」
「スタジオ」を対象に業績を顕彰する「大川博賞」を受賞した、映画『ひゃくえむ。』(2025年)の制作スタジオ「ロックンロール・マウンテン」の表彰も行われ、岩井澤健治監督が登壇。スタジオ運営と監督業を両立させながら挑戦を続ける姿勢が評価された。
岩井澤監督は、「監督やりながら代表として会社も運営しており、二足の草鞋で大変でしたが、スタジオに評価をいただけて非常にうれしいです。 トロフィーに英語でロックンロールと入ってるけどかっこいいですね、いい名前だと思いました(笑)。 まだスタジオ自体はできてから2年半くらいで会社もスタッフも若いので、またもう一度この賞をいただけるように頑張ります」と、意欲を新たにしていた。
なお、来年第5回の開催は、2027年3月19日~3月24日を予定している。
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【画像】クロージングセレモニーの写真
期間中は、全50の上映と企画(ティーチイン、開会式、閉会式、レセプション、グランプリ上映は除く)が行われ、アニメ世界を志す若者を国内外から招待する人材育成プログラムは12の国・地域から29人が参加(国籍不問)。 映画祭総動員数は速報値で3万4368人(前年比113%)を記録した。
■長編部門グランプリはベルギーほか共同製作作品
長編部門は49作品の応募があり、その中から7作品がノミネートされ、期間中に上映された。グランプリに輝いたのは『アラーの神にはいわれもない』(監督:ザヴェン・ナジャール/ベルギー・カナダ・フランス・ルクセンブルグ)。アマドゥ・クルマの小説を原作に、紛争下で搾取される子どもたちの現実を描いた作品だ。
ナジャール監督は「グランプリ受賞を大変光栄に思います。アマドゥ・クルマの小説が私たちの心に響き、悲しいことに今も響き続けています。世界中で多くの子供たちが、紛争の中で利用され、搾取されているのです」とコメントを寄せた。審査員からは「笑いと涙を通して、想像を超える人生を見せてくれた。素晴らしい音楽とアニメーションが詰まっている」と高い評価を受けた。
長編部門審査員賞は、ブラジル・ペルー合作『ニムエンダジュ』(監督:タニア・アナヤ)が受賞。「アニメーションの概念そのものを押し広げている」と評され、歴史的人物の矛盾や抑圧を高度な技法で描いた点が評価された。
■新設Indie Box部門「スワン賞」は『オートカー』
15分以上40分未満の中編作品を対象に今年から新設されたIndie Box部門では、225作品の応募があり、10作品がノミネートされた。グランプリにあたる「スワン賞」は、『オートカー』(監督:シルビア・シュキウォンツ/ベルギー・フランス/17分)が受賞。
シュキウォンツ監督は、「才能ある献身的なチームと共に4年6ヶ月の歳月を費やして制作しました。1990年代に移民だった私自身、そして私と同じような経験をした今は大人であるかつての子どもたちにとって、この映画は必然でした」と、移民としての体験を背景に制作された作品であることを強調した。
審査員を務めた映画監督の早川千絵氏は「幻想的で素晴らしい作品。バスに乗るという一人の子どもの旅が、さまざまな比喩的表現含んだマジカルリアリズムな冒険へと変わっていきます。 素晴らしいアイデアと視覚的メタファーにあふれており、ほかのどの映像表現でもできないことをアニメーションが特別な役割を担って可能にしていることを示しています 」と講評を述べた。
Indie Box部門審査員賞には韓国作品『ザ・ポップスター・ウォーター・ディアー・アンド・アイ』が選ばれた。
また、両部門を通じた新人賞「ゼングレヒトシュターター賞」は、エストニア・アルメニア・フランス合作『ウィンター・イン・マーチ』のナタリア・ミルゾヤン監督が受賞した。
ミルゾヤン監督は、「2022年にこの映画を作り始めた時には、ウクライナへの全面的な侵攻がこれほど長く続くとは思いもしませんでした。私がこの映画を作ろうと思い立った2022年2月24日からすでに4年が経ちました。戦争は多くの命を奪いましたが、それだけではなくさらに小さな悲劇が絶えまなく起き続け、多くの家族が離散し、多くの人々が深刻な鬱に苦しんでいます。ですから、この映画が世界中で上映されることは私にとってなによりも大切なことなのです。なぜならこの映画は今現在起きていることを描いているからです。この機会を与えていただきありがとうございます」 とコメントした。
審査員は「兵士や犠牲者だけに焦点を当てるのではなく、社会全体にどのような影響を及ぼすのかを描写しています。そして、実物の素材が持つ実物感が強く長く心に残る映像体験を描いてくれました」と評した。
■大川博賞受賞、岩井澤健治監督「またもう一度いただけるように頑張る」
「スタジオ」を対象に業績を顕彰する「大川博賞」を受賞した、映画『ひゃくえむ。』(2025年)の制作スタジオ「ロックンロール・マウンテン」の表彰も行われ、岩井澤健治監督が登壇。スタジオ運営と監督業を両立させながら挑戦を続ける姿勢が評価された。
岩井澤監督は、「監督やりながら代表として会社も運営しており、二足の草鞋で大変でしたが、スタジオに評価をいただけて非常にうれしいです。 トロフィーに英語でロックンロールと入ってるけどかっこいいですね、いい名前だと思いました(笑)。 まだスタジオ自体はできてから2年半くらいで会社もスタッフも若いので、またもう一度この賞をいただけるように頑張ります」と、意欲を新たにしていた。
なお、来年第5回の開催は、2027年3月19日~3月24日を予定している。
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