年末年始のこの時期、あすから観光に出かける人も多いかと思います。しかし、今年の夏、「南海トラフ地震臨時情報」が発表され、観光が大きく制限される事態となりました。これをきっかけに災害への備えはどう変わったのでしょうか?
窓から見える雄大な景色。観光客のかき入れ時は夏。この眺めと海水浴に加え、花火も楽しめます。例年、夏の時期はほぼ満室ですが、今年は…
紀州・白浜温泉 むさし おかみ 沼田弘美さん
「ずっと白浜にいて、(夏に)ビーチに人がいないのを見たのは生まれてはじめてとおっしゃった方いましたね」
気象庁
「巨大地震注意を発表しております」
8月に初めて出された南海トラフ地震臨時情報。白浜町は海水浴場の閉鎖、花火大会も中止に。旅館の予約数は例年に比べ、およそ半分に。
紀州・白浜温泉 むさし おかみ 沼田弘美さん
「安心で安全の観光地かどうか、脳裏に浮かぶ方もいらっしゃったと思いますし、国内の海水浴目当てという方々は、ほぼキャンセルに。この期間で約5000万の金額を損失したということになる」
旅館だけではありません。ビアガーデンがあるこの店も…
フィッシャーマンズ・ワーフ 白浜 香川透さん
「一晩ここだけで(収益は)150万くらい。それがもうパー」
さらに、こちらも…
ダイビングサービス シーマンズビーチ 社員
「電車が動かなかったので、キャンセルというのは多くあった」
白浜町だけで、およそ5億円もの経済的な影響が出たと試算されています。
臨時情報の出し方が適切だったのか。政府は先週、検証結果を公表。今後は気象庁と合同で会見を開き、具体的な防災の対応を説明するとしましたが、経済的な影響には触れずじまいでした。
政府の検証に対し、経済の専門家は…
野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英 主席研究員
「将来、臨時情報を出すときには経済的な損失を一つデメリットとして考えておいて、今回、本当はしっかり検証すべき。どうも政府はそこは検証してないと」
一方で、南海トラフ地震対策の専門家からは。
東京大学 関谷直也 教授
「経済被害が出るのも、ある意味、当然といえば当然。南海トラフ地震の被害と比べて許容範囲かどうか」
情報の発信や伝え方については課題があるとした上で…
東京大学 関谷直也 教授
「情報が出ているかどうかにかかわらず、防災対策をするべき地域で住民や観光客に知らせておかなければならない。あらかじめ、きちんと準備しておくことが本来は重要なポイントだろうと」
臨時情報で揺れた町は、年末は例年通りの観光客が訪れています。夏を経て、防災に対する意識も変わりつつあります。
紀州・白浜温泉 むさし おかみ 沼田弘美さん
「日ごろから、どういうことに備えておけばよかったか、どういう避難訓練をして、どういう発信をすればよかったか、考えさせられた今年の夏場だった」
いつ来るか分からない大地震にどんな情報発信と備えが必要か、命と暮らしを守る摸索は続きます。
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