いろんな格安プランが登場するなか、新たに「メルカリ」が携帯電話事業に参入します。価格やサービスなどで厳しい競争が繰り広げられていますが、それでも参入するその理由とは。
メルカリがモバイル事業参入 “ギガの売買”が可能
小笠原亘キャスター:
3月4日から「メルカリ」が「メルカリモバイル」をスタートさせ、携帯電話事業に参入します。料金プランは2種類あり、▼2GB月額990円、▼20GBで月額2390円となっています。「メルカリアプリ」を通じて、申し込みから支払いまで可能です。これらは、NTTドコモ回線を利用する「MVNO事業」となります。
「MVNO事業」とは自前の基地局を持たず、大手キャリアなどの回線を借りて運営します。
「MVNO事業」には、▼設備投資が不要なために低価格プランを提供することができる。▼大手キャリアとは異なるユニークなサービスを提供することができる、というメリットがあります。
「メルカリならではのサービス」とはどのようなサービスなのかというと、アプリでデータ通信量(ギガ)を出品・購入できるという機能で、余ったギガを“個人間で売り買い可能”にします。ただし、この機能はメルカリモバイルの利用者同士のみに限られます。
メルカリ公式でギガを追加購入すると1GB550円ですが、1GBあたり200円~500円で出品することができます。ギガを売って得られたお金は、メルカリの残高にチャージされ、それを使ってメルカリやメルペイでの支払いでの利用が可能だということなんです。
どうやって“個人間でギガを売買”?
どういうふうにギガを売り買いするのか、具体的に見ていきましょう。
例えば1GBあたり200円で出品し10GB売れた場合、購入者は2000円で10GBが手に入ります。一方、出品者には2000円がそのまま手元に入るわけではありません。取引の際に販売手数料10%かかるので、1800円手元に入ることになります。
ホラン千秋キャスター:
ギガが余り、無駄になってしまうことを考えると、それを無駄なくお金に変えて、他のものを購入することが出来るのはユーザーは嬉しいですよね。
元競泳日本代表 松田丈志さん:
毎月ギガを使い切れてない場合も多いので、ユーザーにとっても良いサービスだと思います。ただ、毎月の中で忘れてしまいそうなので、マメな人でないと難しいのかなと思いました。
井上キャスター:
「データ通信料を売買できる」という考え方自体は新しくて、すごくいいなと思います。こういうサービスが進み、異業種から新規参入が増え、格安プランが出て、そちらに顧客が流れることで、大手を含め全体の料金が下がっていくことを期待したいですが、そこのところはどうなのでしょうか。
TBSテレビ経済部 蓮井啓介 記者:
価格競争というところは今後も起こると思います。ただ大手キャリア4社の方も、それぞれオンライン専用の格安プラン、povoやLINEMO、ahamoなどのプランがあります。なので、価格の競争がどこまで起こるかは未知数です。
モバイル事業参入の背景にある狙いは?
ホランキャスター:
そうなると、メルカリモバイルはどのような層がターゲットになりうるのでしょうか。
TBSテレビ経済部 蓮井 記者:
既にメルカリをよく使ってるメルカリ経済圏で、ギガが余ってる人たちにとってはメリットのあるプランになってくると思います。
メルカリとしては利用を増やしたい。そのためにモバイルを使い、モバイルを軸にそこからメルカリ全体のサービスを使って欲しいという流れになります。
小笠原キャスター:
「メルカリ」はフリマアプリですが、スマホ決済や、クレジットカード、暗号資産、スポットワークも始めている中で、いよいよモバイルを始め、メルカリ経済圏の拡大・強化を狙っています。
TBSテレビ経済部 蓮井 記者:
実際、「QR・バーコード決済の利用割合」のデータを見てみますと、メルカリのQRコード決済というのは全体の1割以下です。PayPayや楽天ペイ、d払いなど、いわゆる携帯大手4社を軸とした決済が主流な中で、メルペイは6年前にサービスを始めましたが、やや出遅れているのが実情です。
【QR・バーコード決済の利用割合】MMD研究所調べより
Paypay:65.1%
楽天ペイ:36.0%
d払い:28.6%
au PAY:19.8%
ファミペイ:10.5%
メルペイ:8.1%
LINE Pay:5.7%
AEON Pay:4.6%
元競泳日本代表 松田さん:
当初、いろんなサービスでユーザーを取りにいったPayPayが大きいと感じますし、このモバイル事業をやることで得られるデータの量も企業としてかなり増えると思うので、そういうところも大きいのかな、と感じます。
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<プロフィール>
松田丈志さん
元競泳日本代表 五輪4大会出場 4個のメダル獲得
JOC理事 宮崎県出身3児の父
蓮井啓介
TBS報道局経済部
2021年から情報通信業界を取材
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