ネパールと中国で起きた大規模な土石流。その威力は150km以上下流の地域にも押し寄せるほどで、被害の大きさはいまだ全容がつかめません。
そのような中、発生から9日目となる4日、生存者が助け出されたという最新情報が入ってきました。
土石流 150km超下流まで到達
山内あゆキャスター:
中国とネパールの国境付近で発生した土石流。
今回、土石流が発生したエリアには、中国とネパールの国境検問所がありますが、そのあたりでは、土砂が一気に流されていきました。検問所のある場所は、山から谷を下ったところで、標高約1800mあるということです。
アメリカの研究機関などによると、その検問所よりもはるか上、ヒマラヤ山脈の標高5000m以上の地点から氷河と岩盤が崩落したとみられています。
ネパール災害対策局によると、土砂災害の発生地点から約70km離れた下流のヌワコット郡では、多くの土砂が町を飲み込み、行方不明の方が約2300人にのぼっているということです。
その後、土石流は(土砂災害の発生地点から)150km以上下流のチトワン郡まで到達。ここでは多くの遺体も漂着しているということですが、損傷が激しくDNA鑑定などの身元確認が難しくなっているということです。
ネパール環境学会の暫定報告書によると、土砂の時速は167km、秒速にすると約46m。気がついたら土砂がきていたという速さです。
上流部では川の水位は平均で100m以上、上昇したとみられています。
賑わうマーケットも土砂に埋もれ…言葉を失う状況に
日比麻音子キャスター:
土砂災害の発生地点から約70km離れた下流のヌワコット郡で、土石流の威力はどのように感じましたか。
JNNバンコク支局 村橋佑一郎 支局長:
被災地の一つである、ヌワコット郡ビドゥールで取材をしました。ここは元々、川沿いにたくさんの商店が並ぶマーケットがあり、地元の人たちで賑わっていた場所でした。しかし、現在はマーケットの一帯が土砂で埋もれてしまっています。
私の背丈よりもはるかに高い建物の2階、3階部分まで泥水が流れ込み、原型をとどめないほど破壊されている家もたくさんあり、言葉を失うような状況です。
下流域でも水位がかなり上昇していて、国境から約70km離れた場所でも、壊滅的な被害が出ています。
また、上流の方に行くとどんな被害状況になっているのか、想像もつかないほどでした。
ネパール土石流 捜索阻む“壁”
山内キャスター:
中国とネパールの国境付近で発生した土石流による影響は、160万人にのぼるとみられています。
▼死者:1311人
▼行方不明:5339人(日本人5人含む)
ネパールでは複数の水力発電所の中に、いまだ数百人の作業員が閉じ込められていて、救出活動が続いているという報道もあります。
そんな中、4日、現地メディアによると、トンネルから少なくとも2人が救出されたということです。
また、少なくとも69の学校が被害にあっているということです。(セーブ・ザ・チルドレンの発表より)
なかなか救助活動が進んでいないようですが、現地の様子はいかがでしょうか。
JNNバンコク支局 村橋佑一郎 支局長:
被災地では、被害の大きい国境方面につながる道路や橋が、いたるところで流されてしまい、ヘリコプターやドローンを使った捜索が余儀なくされている状況です。
実際に現場を取材していても、泥に足を取られそうになり、歩くことが難しい状況です。
重機は少しずつ入って、土砂は撤去されていますが、陸路ではなかなか捜索活動が進んでいません。
さらに、二次災害の懸念もあります。上流部では土石流の影響で、川の水がせき止められてできた「土砂ダム」が、複数確認されています。
そこが決壊すれば、再び土石流の被害が予想され、危険と隣り合わせの捜索活動となっております。
また、人員も不足しています。被害範囲が100km以上に及ぶため、軍や警察が2万人ほど投入されているのですが、人の数が分散されてしまい、集中的な捜索ができないというのも難航している要因だといえます。
被災地で求められるのは…
日比キャスター:
現地では、かなり混乱している様子も見られました。
JNNバンコク支局 村橋佑一郎 支局長:
自分の家や家財など全て流されてしまった方もいます。仮設避難所が各地に設置され、多くの被災者の方が身を寄せています。食料や物資も少ない中、厳しい生活をされていると感じました。
そして、行方不明者の数があまりにも多く、ネパールの首都・カトマンズの病院には、行方不明者や遺体の写真などがたくさん貼り出され、連日親族や家族の方が訪れています。
思うように救助活動が進まない中、家族の安否を心配しており、精神的に厳しい状況に立たされていると感じました。
日比キャスター:
今後のケアというのも、長い目で続けていかなければなりません。
国際情報誌「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
難を逃れた方たちも、避難所などで苦しい思いをされていると思います。
支援物資などが届いても、避難所まで届ける手段はこれから確保されていくのでしょうか。
JNNバンコク支局 村橋佑一郎 支局長:
道路や橋といったインフラが壊滅的な被害を受けているため、物資を調達できても、どのように届けるのかが大きな課題になっています。
ネパール国内では、ヘリコプターや大型のドローンが不足していて、ネパール政府は国際支援を求めているような状況です。
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<プロフィール>
村橋佑一郎
JNNバンコク支局長
土石流発生直後からネパールで現地取材
堤伸輔さん
国際情報誌「フォーサイト」元編集長 熊本出身
BS-TBS「報道1930」ニュース解説
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