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「同盟国への関税は誤りだ」トランプ氏の“グリーンランド関税”に欧州猛反発、貿易バズーカ「ACI」発動の現実味【Nスタ解説】

海外
2026-01-21 19:48

グリーンランドを巡りトランプ大統領が欧州各国に課すと表明した関税について。欧州の首脳らからは反発の声も出ていますが、双方の対立は今後どのように進むのでしょうか。


【CGを見る】欧州⇒アメリカ 3つの対抗措置


欧州8か国に“関税脅し” 欧州側は反発も

高柳光希キャスター:
トランプ大統領は、デンマーク自治領グリーンランドをアメリカの領有にする動きに関して、同調しない国に関税を課すことを表明しています。


グリーンランドは北極の下にあり、近くにはヨーロッパ各国があります。隣にはカナダがあり、その下にアメリカがあります。


アメリカが関税を課そうとしているのが、デンマーク自治領であるため領有することに反対しているヨーロッパ8か国です。


【欧州8か国への関税措置】
・フィンランド
・スウェーデン
・ノルウェー
・オランダ
・デンマーク
・ドイツ
・イギリス
・フランス


▼2月1日~:10%の関税
▼6月1日~:25%に引き上げ


トランプ大統領は、グリーンランド買収合意に至るまで関税を継続すると発言しています。トランプ大統領の関税に関して、ヨーロッパ諸国はどのような姿勢を見せているのでしょうか。


ロンドン支局 岡村佐枝子 支局長:
ヨーロッパ各国は、一斉に反発。関税措置を科されるとされた8か国は、「関税による脅しは欧米の関係を損ない、危険な悪循環を招く」と共同声明を発表し、非難しました。


イギリス・スターマー首相は、トランプ大統領との電話会談で直接抗議し、19日の演説では、「同盟国への関税は完全に誤りだ」と批判しています。


また、フランス・マクロン大統領は強く反発しています。トランプ大統領が20日に公開したメッセージですが、マクロン大統領は、「あなたがやっていることは理解できない」とはっきり告げています。


関税の脅しにパリ市民からは、「油断していたヨーロッパの目が覚めた」「脅しに対応しないといけないときが来た」など対抗措置を望む声が多く聞かれました。


報復措置に“貿易バズーカ”…3つの対抗措置を検討

高柳光希キャスター:
トランプ大統領による関税に対して、ヨーロッパ諸国は対抗措置として具体的にどのようなことを考えているのでしょうか。


ロンドン支局 岡村佐枝子 支局長:
EUが検討しているとされるのは、主に3つあります。


▼「追加関税」の報復措置
これは17兆円規模とも言われていますが、対象となるのはボーイングの航空機や自動車、バーボンウイスキーなど、アメリカ産の製品で多岐にわたる可能性があります。これらは2025年7月の貿易協定の交渉時に、決裂した場合の対抗措置として準備し、取り下げたものです。


▼「貿易協定」最終手続き見送り
来週のヨーロッパ議会で採決が予定されていましたが、議会の委員から「現段階での承認は不可能」という意見が出ており、延期される可能性があります。


▼「ACI=反威圧措置」発動
最も注目されている“貿易バズーカ”とも呼ばれる強力な措置で、中国を念頭に、EUや加盟国が経済的威圧を受けた際の対抗措置として、2023年に発効しました。


関税の引き上げのみならず、幅広い対抗措置が想定されています。輸出入の制限の他にも、アメリカの企業がEU域内で事業を行うことを制限することもできます。


【ACI=反威圧措置】
・輸出入の制限
・公共事業の入札制限
・サービス貿易にかかわる措置
・知的財産権の保護、商業利用に制限
・銀行、保険など金融サービスに制限 など


専門家は、「IT企業などのテック企業の活動が制限可能となることで、トランプ大統領に近い人たちに打撃を与えられるというメッセージになる」と指摘しています。


ただ、威圧措置はこれまで発動されたことはなく、主な目的は抑止にあることから、「核オプション」とも見なされています。


トランプ大統領とヨーロッパ各国 話し合いはできるのか

井上貴博キャスター:
トランプ大統領は、欲しいものを取りに行こうと、なりふり構わない状況で、ヨーロッパも黙っていられないということになると思います。


ヨーロッパ各国とトランプ大統領が土俵に立ちぶつかり合うと、それこそ世界経済が大きなダメージになってしまいます。


トランプ大統領とヨーロッパ各国の水面下の話し合いは、どのくらい出来ているのでしょうか。


ロンドン支局 岡村佐枝子 支局長:
現時点では、話し合いに進捗があるという話は聞いていません。トランプ大統領は、スイスで行われるダボス会議に向かっていますが、そこで欧州首脳との直接協議が予定されています。


そこで話し合いがなされると思いますが、どの程度、脅しと脅しの戦いを回避できるのかは、まだこれからという段階だと思います。


木下ゆーきさん:
トランプ大統領に対しては、ベネズエラの件でも、「なりふり構わずやっていく人だな」と思いました。


日本の立場として、安全保障的な面からアメリカに強く言えないものなのか、ヨーロッパ側との関係も悪くなってしまうのか。日本は、どのような立ち回りで動いていくのか、今後気になる部分であります。


トランプ政権が強気に出れば欧州8か国はまとまる?

高柳光希キャスター:
対抗措置について、アメリカ政治・外交に詳しい上智大学の前嶋和弘教授は「トランプ政権が強気に出れば出るほど、ヨーロッパ8か国はまとまり、一定の歯止めになるだろう」と話します。


関税を課すヨーロッパ8か国は、アメリカにとって貿易や安全保障の上で非常に重要な国でもあります。ヨーロッパ側が経済措置を実施すると、アメリカにとってもかなり痛手となります。


一方、ヨーロッパ側の対策にも限界があります。2024年12月からベネズエラを攻撃したことで、トランプ政権には実行力があるということも印象付けられており、トランプ政権の顔色を見て、EU内で離反する国が出た場合、経済制裁が継続しない可能性もあるということです。


井上貴博キャスター:
同盟国もへったくれもないような状況になっている中で、日本はどのような立ち位置になっていくのか。日本の立ち位置も問われるわけですが、ヨーロッパ各国は一枚岩になっていると考えていいのでしょうか。


ロンドン支局 岡村佐枝子 支局長:
現時点では、一枚岩にはなっていないようです。フランス・マクロン大統領は、強力な対抗措置に前向きな姿勢を出していますが、一方でドイツは、なだめるように説得しているというふうにも伝えられています。


ヨーロッパは物価高や景気低迷という、内政上の重圧にも直面しており、関税が課された場合には、各国のGDPが0.25%~0.5%下がるという分析もあります。


「今こそヨーロッパが団結して立ち向かうべきだ」という意見も聞かれていますが、果たしてどのようになるのか、非常に重大な局面を迎えていると言えます。


井上貴博キャスター:
トランプ大統領は、力によりいろいろなものを変えていく。この状況をほくそ笑んでいるのが、日本の隣国である中国、ロシアであるというのは間違いありません。


同盟国アメリカとどのように対峙するのかというのは、やはり次の選挙でも、外交をどうするのかということが、争点として大きいことは間違いないと思います。


木下ゆーきさん:
貿易戦争に突入しかけている状態で、日本は輸出をかなり頼っている国なので、アメリカとヨーロッパだけの問題ではなく、回り回って日本にも絶対影響が出てくると思うので、しっかりと見極めなければいけないですね。


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<プロフィール>
木下ゆーき
タレント・子育てインフルエンサー
3児の父
子育てモノマネ動画が人気
絵本「はぶらしロケット」出版


岡村佐枝子
JNNロンドン支局長
ウクライナ情勢やイギリスの政治・経済など幅広く取材


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情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

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