アメリカのトランプ大統領は来週、イランと協議を行うと発表しました。イランの最高指導者・ハメネイ師は核施設への攻撃について、「アメリカは目立った成果をあげることができなかった」と述べています。
【写真で見る】トランプ氏「完全に破壊」と主張したイランの核施設
アメリカは「成果をあげられず」 トランプ氏「完全に破壊」と主張
日常が戻った街。わずか12日間の戦争で、イスラエルで28人、イランで627人が死亡しました。
停戦が合意されてから沈黙を続けていたイランの最高指導者・ハメネイ師は…
イラン最高指導者ハメネイ師
「アメリカは我が国の核施設を攻撃した。もちろんこれは国際法廷で独立して裁かれるべき事案だが、彼らは目立った成果をあげることはできなかった」
イスラエルとイランの「戦争終結」を宣言したトランプ大統領。
トランプ大統領
「フォルドゥに対する我が国の壊滅的な攻撃で、濃縮施設は完全に稼働不能になった。あの施設が全て破壊される結果になったのは本当に残念だ」
「残念」としながらも、イランの核施設は「完全に破壊された」と成果を強調していました。
26日、会見を開いたヘグセス国防長官は。
アメリカ ヘグセス国防長官
「(作戦参加者は)他の大統領が夢にも思わなかった形で、核開発計画を後退させた。その成功を祝おう。アメリカがどれほどすごいか語ろう。こんな能力を持っているのは、私たちだけなんだから」
被害状況をめぐっては、ニューヨーク・タイムズが「国防情報局」がまとめた“初期の分析内容”として、アメリカ軍の攻撃は「イランの核開発計画を数か月、後退させただけだった」と報道。
すると、CIA=中央情報局のラトクリフ長官が25日、声明で…
CIAラトクリフ長官
「イランの核開発計画が深刻な被害を受けたことを示す信頼できる情報がある」
「何年もかけて再建しなければならない被害だった」とトランプ氏の主張を後押ししました。
トランプ氏 来週イランと協議へ イラン「権利の維持を決意」
対するイランは、イスラエルとアメリカの攻撃で、核施設が「大きな被害を受けた」と説明していますが...
イラン外務省報道官
「イランはいかなる状況下でも(核開発の)権利を維持する決意をしています」
核開発をやめる気はなさそうです。
今後の行方が注目される「イランの核開発問題」。アメリカのトランプ大統領は会見の中で、来週イランと協議を行うことを明らかにしました。
トランプ大統領
「合意の有無は気にしない。私たちが求めるのは、これまでと同様に『核を持たない』ことだ」
また、ウィットコフ中東担当特使は、イランとの「包括的な和平合意」の締結に「期待を抱いている」と話しているということです。
“12日間戦争”の終結 イスラエルとの向き合い方は?
小川彩佳キャスター:
イランの核開発計画が今後どうなっていくのか注目が集まりますが、今までイスラエルを非難してこなかったトランプ大統領が、イスラエルが停戦合意を破りかけた際には、一転して強く非難するという場面もありました。
トランプ大統領の振る舞いには、どういった背景があると思われますか。
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
トランプ氏の中にも、越えてはいけない一線があるということがわかりましたが、逆に言うとこれまでイスラエルがやってきたことは、トランプ氏的にはOKであって、多くの人たちが既に亡くなっているけれども、それについて彼は何も感じてないということが非常にはっきりしたわけです。
イスラエルの方も、国際法を破ってまで先制攻撃をイランにしました。ガザの問題で「ネタニヤフがやりすぎなんだ」という声がドイツからも出てきていましたが、今回一気に吹き飛んで「中東戦争が起きなくて良かった」と私達は安心してしまっているわけです。
私達がここで忘れてはいけないのは、今もガザでは多くの市民が犠牲になっているということです。そうした状況が完全に吹き飛んでしまい、イスラエルの狙い通りになってしまっています。そのことに憤りを感じています。
<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学准教授 専門は経済・社会思想
ドイツ在住 著書『人新世の「資本論」』
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