アメリカのトランプ大統領とフランスのマクロン大統領が会談で、マクロン氏がトランプ氏の腕を掴み制止。発言内容を訂正しました。
「ロシア軍即時撤退」 米ロが反対
ロシアによるウクライナ侵攻3年に合わせ、各地で行われた抗議集会。
「ウクライナと共に立ち上がろう!」
「ウクライナを支えよう!」
世界中で“ウクライナに寄り添う声”があがりましたが、停戦交渉を主導するトランプ大統領に、その気はないようです。
24日、フランスのマクロン大統領とホワイトハウスで会談を行ったトランプ大統領。記者からは、ゼレンスキー大統領を“独裁者”と呼んだことに関して、こんな質問が…
記者
「ゼレンスキー氏と同様にプーチン氏も“独裁者”と呼ぶのか?」
アメリカ トランプ大統領
「その言葉は軽々しく使わない」
さらに、アメリカは無償でウクライナ支援を行ってきたのに、ヨーロッパ諸国の支援は“貸付”だと主張。
アメリカ トランプ大統領
「ヨーロッパはウクライナに資金を貸しているだけで、いずれ回収する」
フランス マクロン大統領
「いいえ、違います。6割は(無償で)支払っています」
マクロン大統領が慌てて制止し、訂正を入れる一幕がありました。
このところ、ウクライナに対し厳しい姿勢を見せるトランプ大統領。
アメリカ トランプ大統領(22日)
「私たちはウクライナから資金を回収するつもりだ。我々が求めるのはレアアースや石油。得られるものは何でもいい」
軍事支援の見返りとして、ウクライナに、レアアースなど鉱物資源の権益を要求しています。
これに対し、ウクライナ側は「戦闘終結後の安全保障の確約」を求めていますが、プーチン大統領も「ロシア側が占領した地域のレアアースをアメリカと共同で開発する用意がある」と発言。交渉の道筋は見えないままです。
こうしたなか、24日の国連総会では…
記者
「いま、ウクライナなどが提出した決議案が採択されました。会場からは大きな拍手が起きています」
ウクライナとヨーロッパ諸国が主導し、「ロシア軍の即時撤退」などを盛り込んだ決議案が採択されましたが、アメリカはロシアなどと共に反対票を投じ、分断が浮き彫りになりました。
「小説を書いて編集者からダメ出しされるぐらいあり得ない」
藤森祥平キャスター:
国連では、かなり象徴的なシーンがありました。
ウクライナ侵攻が始まって1年、つまり今から2年前(2023年2月)の国連総会では、今回と同じように、ロシア軍の即時撤退などを求める決議案の採決が行われました。アメリカなどを中心に、ほとんどの国(141か国)が賛成に回っています。
一方、ロシアを含む7か国が反対。ロシアに近い中国も、反対には回らずに棄権(32か国)していました。
今回、同じような国連総会で決議案の採決が行われ、日本を含め、やはり大半の国(93か国)は賛成に回って採択されました。
ところがロシアにアメリカが接近し、一緒に反対に回りました。反対した18か国のなかには北朝鮮や、ロシアの同盟国であるベラルーシも含まれています。さすがの中国は、やはり今回も棄権(65か国)に回っています。
まさか、ここまでずっとロシアのことを強い言葉で非難してきた国連の場で、アメリカがウクライナ侵攻を巡ってこういう動きをとるとは正直思いませんでした。
小説家 真山仁さん:
これは小説を書いて編集者からダメ出しされるぐらいあり得ないことですが、トランプ氏が大統領になってからずっとあり得ないことが続いていて、「またか」となってしまいます。こんなことをしたら、国連はいらなくなりますよね。
アメリカとロシアがすべて決めて、あとは言うことを聞きなさいというのは、こんなことでいいのか、信じがたいとしか言いようがないです。
藤森キャスター:
侵攻が始まってからずっと国連を見ていて、まさかこういう形を想像することができませんでした。ただ大統領が変わるだけで、世界の構造がガラッと変わるということを痛感しました。
小説家 真山仁さん:
もともとアメリカは“世界の警察”といわれ、世界のバランスをとるために頑張ってきましたが、トランプ氏はアメリカ・ファーストで、「アメリカさえよければいい」と言って圧勝しました。
アメリカさえよければいいのなら、ロシアとアメリカが組んで自分たちの利益を優先しようということを、今回は堂々とやってしまっています。
やはり2期目のトランプ氏はものすごい自信を持っていて、自分のやることにどれだけの影響力があるかという、アメリカの大統領としての底力というか強さを感じます。
さらにロシアと組むというのは、暗黒の時代が始まったのではないかとしか言いようがないです。
小川彩佳キャスター:
トランプ氏の向き合いの一つの局面が、こうしたところにも出ているわけですね。
トランプ氏はウクライナ国内のレアアースの権益の譲渡を要求しており、「ウクライナから資金を回収するつもり。我々が求めるのはレアアースや石油。得られるものは何でもいい」と発言しています。
そして、プーチン大統領も「(一方的に併合したウクライナ4州を念頭に)アメリカなどと共同開発する用意がある」と語っており、こうしたところにも表れています。
小説家 真山仁さん:
最初は人道的な理由でウクライナを支援したと思いますが、アメリカ人にとって何の利益もありませんよね。しかし、実はレアアースをもらえば、この仲介は非常にアメリカにとってプラスだろうということです。
トランプ氏はずっと、アメリカの国民のことだけを言い続けています。関税にしても何にしても、嫌ならアメリカに工場を作れと。
どんどんトランプ大統領の支持が上がるのではないかというぐらい、アメリカ一辺倒なことをこのまま続けられるのは、そろそろ日本やヨーロッパは本気で怒ったほうがいいです。
小川キャスター:
そして、そのディールの矛先が日本にいつ向くかもわからないと。
小説家 真山仁さん:
悪魔のバランスのよさぐらい、ずる賢くなってきた気がします。
藤森キャスター:
日本も、ちゃんとメッセージを発信し続けられるか。
小川キャスター:
問われていますね。
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<プロフィール>
真山仁さん
小説家 「ハゲタカ」「ロッキード」など
食と農業をテーマにした「黙示」を執筆
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