アメリカではいま、“史上最悪”といわれる麻薬がまん延しています。この麻薬の中毒者が路上にあふれる街、通称「ゾンビ・タウン」が全土に広がり、大きな問題となっています。
記者
「ケンジントン通り沿いにいっぱい、薬物を吸っているのでしょうか、前かがみになって動けなくなっている人が集まっています」
アメリカ東部フィラデルフィア。ここは路上で薬物を使用する人が集まるエリア、通称「ゾンビ・タウン」の一つです。
記者
「左右にふらふらと揺れながら、大丈夫かな、転んじゃう」
前かがみになる原因とされるのが合成麻薬、フェンタニル。本来は鎮痛剤として使われ、高い効果があるものの、アメリカのCDC=疾病対策センターによると、依存性が非常に強いほか、致死量はわずか2ミリグラム。
アメリカでは、フェンタニルの過剰摂取により、去年1年間で7万人以上が死亡しているということです。また、他の薬物に比べ価格も安く手に入りやすいため、18歳から45歳の死因の1位がフェンタニルの乱用という調査結果もあるなど、「史上最悪の麻薬」と呼ばれています。
そして、この「ゾンビ・タウン」。いま全米に広がっていて、反対側の西海岸でも…
記者
「吸ってる、吸ってる吸ってる」
西海岸・オレゴン州では今年1月、フェンタニルのまん延による非常事態が宣言されました。
薬物中毒者を支援する団体のスタッフ、ガブリーさん(25)です。自身も数年前まで薬物を使用し、一時は路上で生活をしていました。
薬物中毒者を支援 ガブリーさん
「注射による薬物接種をやめようと思って、フェンタニルを使い始めました。フェンタニルを吸うと、ヘロインを使った時と同じくらい“ハイ”になれたので」
活動に同行すると…
フェンタニル中毒者の女性
「もうこれ以上やりたくない、大嫌いだ。こうなるって知っていたら絶対にやらなかったのに」
息子の死をきっかけに薬物に手を出し、6年ほど路上生活をしているという女性。いまでは、フェンタニルを使用しないと禁断症状で吐いてしまうほど依存しているといいます。
フェンタニル中毒者の女性
「毎日使うよ。10ドル(約1500円)くらい。(Q.どうやって入手?)フェンタニルを持っている人なんてどこにでもいる。誰にでも簡単に手に入るのが最悪だよ」
薬物中毒者を支援 ガブリーさん
「売人や中毒者はフェンタニルを使う人を見分けて近づいてくるのです。『ねえ、あなた持っている?』って」
フェンタニルの多くが隣国メキシコから密輸されていることから、トランプ次期大統領は解決を求め、メキシコに対する関税を引き上げると宣言しました。一方で、支援団体はすでに路上にあふれている中毒者に目を向けることを訴えています。
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