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都内初 クマ緊急銃猟の舞台裏 駆除まで2時間  現場ハンターの“もどかしさ”と都市に迫る危険【THE TIME,】

国内
2026-10-16 06:00

近年、クマの生息域が拡大し、東京都を含む都市部での出没が多くなってきました。これまで山間部の問題と捉えられがちだったクマの出没が、今や都市に住む人々にとっても他人事ではなくなっているのです。


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2026年9月28日東京・八王子市で、都内では初となるクマの「緊急銃猟」が行われました。罠にかかったクマの通報から駆除までにかかった時間は2時間以上。


この対応をめぐり、岩手大学農学部の山内貴義准教授は、「緊急という名前がついている割には時間がかかってしまっている。初動が遅れたのかな。あと初めての事例ということで慎重を期した、そういった辺りが原因なのかなと」と指摘します。SNSでは「時間がかかりすぎている。現場判断すべき」「手負いのクマが逃げたらかなり危険。対応を急いで欲しい」といった声が上がりました。
ついに都心でも起きた緊迫の事態。なぜ駆除までに2時間以上を要したのか?その背景には、初めての事態に直面した行政の葛藤と、現場が抱える根深い課題がありました。


都内初の緊急銃猟、緊迫の現場「ワイヤーが切れるかと…」

今年4月にはJR八王子駅近くの住宅街でも目撃されるなど、都内でも相次いでいるクマの出没。今回、緊急銃猟が行われたのは、八王子市の民家の奥にある野菜畑の隣でした。
全長およそ1.5メートル、体重65キロの成獣の1頭のツキノワグマが発見されました。倒木の近くで黒い影が動いているのを、近隣に住む小山浩美さんが撮影しました。


「ここまで来たのは初めて。クマ怖いです」と、小山さんは当時の恐怖を振り返ります。クマが硬い木をかじった跡も残っていました。


問題は、このクマがイノシシ用のワナにかかっていたことです。いつワナを破壊して人間に襲い掛かってくるかわからない、一刻を争う状況でした。小山さんは「ワイヤー(ワナ)が切れることが一番怖かった。本当に不安でした」と語ります。住民たちが固唾をのんで見守る中、市の対応は遅々として進みませんでした。


なぜ駆除まで2時間以上?判断を阻んだ「慎重さ」と体制の壁

地元のハンターが「クマがワナにかかっている」と通報したのは午後3時すぎ。しかし、市が駆除を委託している専門業者が現場に到着したのは、1時間半近くが経過した午後4時半前でした。
さらに、市役所で対策本部会議が開かれ、初宿和夫市長が緊急銃猟の実施を承認したのは午後5時すぎ。最終的にクマが駆除されたのは、日没が迫る午後5時半ごろでした。通報から実に2時間以上が経過していたことになります。


近隣に住む小山さんは「(地元住民は)いつ撃ってくれるのか、いつ撃ってくれるのかとずっと待っていた」と、当時のもどかしい心境を明かします。


八王子市の初宿市長にも時間がかかった理由を聞くと、「(緊急銃猟の)判断を急ぐ必要があったんですが、しっかりと手順を踏もうということで」と説明します。都内初ということもあり、緊急銃猟の条件を満たしているかどうかの判断に時間を要したのです。


初宿市長は「手順を踏んだ結果、人身等に被害が出る可能性もある。ここの課題は感じました」と率直に認め、「即断即決をしなければならない場面をあらかじめ定めておこうとしているところです」と、今後の体制を整えていく考えを示しました。


駆けつけたのに撃てない…地元ハンターの“もどかしさ”

対応の遅れに加え、現場ではもう一つの“もどかしさ”が生まれていました。専門業者が到着するより先に、現場に駆けつけていた地元のハンターがいたのです。しかし、彼らは銃を構えることができませんでした。
もし許可があれば撃てたのか?という問いに、地元のハンターは「あくまでも許可がないから撃てない」と悔しさをにじませます。
今回、実際に駆除を行ったのは、市が委託している神奈川県の専門業者でした。なぜ、現場にいた地元のハンターに任されなかったのでしょうか。


初宿市長は「決して猟友会ができないということではない」と前置きしつつ、「クマに関して言えば、(駆除の)経験のあるところに確実にお願いするしかない」と理由を語ります。危険が伴うクマの駆除には、豊富な経験が必要だという判断でした。
この点については、地元のハンター自身も課題を認識しています。「(クマを撃てるのは)うちのグループでも何人かしかいないと思いますけど」と、経験豊富なハンターが不足している実情を明かしました。


都心に迫るクマ、求められる新たな体制づくり

初宿市長は「緊急銃猟ができる担い手をいかに確保していくのかが課題。(川の)上流の自治体として、これ以上クマを都心部に行かせない」と危機感を強めています。
山内准教授は、「人間の住んでいる住宅地にも顔を出している状況なので、今回の事例を1つの契機として、自治体と警察と猟友会と、訓練を積んでいくことによってスムーズにいくのかな」といいます。


都内初の緊急銃猟は、迅速な判断を下すためのルール作り、そしていざという時に対応できる経験豊富な担い手の確保という、都市部が抱える新たな課題を浮き彫りにしました。クマとの共存が避けられない時代に、私たちの備えはできているのかが問われています。


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