就任からわずか1か月で辞任となった簗農林水産大臣。その後任には、高市総理が「即戦力」と胸を張る“農水族”の武部新氏が選ばれました。
【写真で見る】就任わずか1か月で事実上の更迭に 簗大臣「迷惑をこれ以上かけられない」
簗大臣、事実上の“更迭”…高市総理の冷酷さが出たか
井上貴博キャスター:
簗議員の“予算カット”発言がありましたが、ああいったものが降って湧くたびに、政治家と官僚が接触するときはどんなことでもメモを残すなどのルールを、もう少し徹底していただけないものかと感じました。
ここからは、高市総理の発言を振り返っていきます。
【高市総理の発言】
▼10月8日 “予算カット”発言報道後
「とにかく働いて仕事で返せと言っております」
→説明責任を果たしたうえで続投とも取れる発言
▼10月13日 シャトルバス問題報道後
「違法性については明確に否定している。説明責任を果たさせてやってください」
▼10月14日
「法令違反ではないかという判断に至ったときには人事上のことも躊躇はしない」
どうも高市総理の発言ぶりからは、シャトルバス問題のほうにより重きを置いたように見て取れます。
それよりもやはり、税金を私物化したとも取れる、行政の根幹に関わる発言のほうが重いのではないかと私は思います。8日の段階でもっと早い判断ができたのではないかというのは、どうしても思ってしまうところです。
野党側としては14日、簗大臣への問責決議案を提出の方針で一致しました。これが可決されると、20日の審議入りを目指していた「消費減税関連法案」などに影響を及ぼす可能性があったということで、簗大臣の辞任はギリギリのタイミングだったといわれています。
しかし、もう少し早く決断したほうが、高市総理自身にとってもダメージコントロールできたのではないかと思ってしまうのですが…。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
今回の一連の動きを見て、私が感じたことは二つあります。
▼一つは、高市総理の冷酷さです。最初は政権のメンツもあって簗大臣をかばい、「仕事で返せ」と言っていました。しかし実際は、批判の風が自分のほうに向いてきた、政権全体に向いてきたと感じるや否や、簗大臣をバッサリ切るという挙に出たのだと思います。
先ほど井上さんが言ったように、“予算カット”発言のほうが構造的には非常に深刻な問題です。その問題がどんどん自分のほうに押し寄せてきたので、最終的にはバッサリ切った。そこに高市総理の冷酷さが出たのではないでしょうか。
高市総理には直言してくる人がいない?
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
▼もう一つ感じたのは、高市総理の周りには「総理、ここはもう早めに更迭したほうがいいですよ」「かなり深刻だから早く対応しましょう」と直言する人がいないということです。それを言うと、高市総理に嫌われるわけですから。
我々ベテランの記者からすると、この政権の厳しい状況が垣間見えたというところです。
井上キャスター:
特に二つ目の部分については、政治記者の方もよく「危機管理は大丈夫か」と話しています。
もう少し踏み込んで伺いたいのですが、たとえば会社という組織では「社長、これはこう考えたほうがいいんじゃないですか」と、社長を守るためにも言うと思います。
そのように進言することが組織として健全な気がするのですが、高市政権ではそれができないのか、しにくいのか、させないのか、どういう感覚なのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
側近の作法には二つあります。
一つは「自分よりも組織を守るんだ」と、身を挺する人。もう一つは「長い目で見るとそういう判断のほうがいいんだ」と、ちゃんと見通しがつく人です。
自分を捨てられる人がおらず、「自分が総理に嫌われるなら言うのをやめておこう」という人が多いあたりに、高市政権の脆弱さがある気がします。
出水麻衣キャスター:
今回のようなことを経て、そういった人材を新たに登用する考えはあるのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
高市総理はどちらかというと、組織を好き嫌いで運営します。直言する人は基本的に嫌いなので、あまり採用しません。
高市総理の閣僚選びの基準は? 簗大臣に新たな“疑惑”も
井上キャスター:
高市総理は、どう考えて今回の人選に至ったのでしょうか。
9月17日の発足会見では「自民党議員へのアンケートを“熟読”した」とし、「専門知識・課題意識・やる気を吟味した。選挙に強く、腰を据えて政策を着実に検討・実行していただけると思える方を閣僚として選びました」と話していました。
その後に降って湧いたのが今回の簗大臣の問題で、“予算カット”発言とシャトルバス問題の二つありました。
さらに出てきたのが、選挙運動員買収疑惑です。事実であれば公職選挙法違反の疑いがあるということで、14日午後の国会(衆院予算委員会)では、次のようなやり取りがありました。
国民民主党 村岡敏英 議員
「(一部週刊誌で)買収疑惑ということで電話がけの人に(報酬を)払ったというのも出てきた。どう見解しますか」
簗和生 農林水産大臣
「真摯に受け止めて説明をしっかりと尽くしてまいりたい」
簗大臣の後任は農水族の“即戦力”? 自民党での評判は…
井上キャスター:
簗大臣の後任人事は、武部新議員(56)に決まりました。北海道12区選出です。
2012年に初当選で、当選6回。簗大臣の同期にあたります。主な経歴としては▼文部科学副大臣、▼自民党農林部会長、▼農林水産副大臣。農林に強いということですが、どう受け止めますか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
簗さんと武部さんは同期で、農林関係の専門議員でもありますが、自民党の人に聞けば「実力から言って、明らかに武部さんのほうが上だ」という声が多いです。
ただ結局は、先ほど申し上げたような好き嫌いというものがあります。簗さんは総裁選挙のときに高市総理をかなり応援していましたし、簗さんは旧安倍派ということで、高市総理とも近いです。
高市総理はアンケートを熟読したということですが、実はアンケートというのは自分の求心力を維持するためのツールで、それによって配置を決めたかどうかは、やや怪しいところがあると私は見ています。
アンケートで人事ができれば、どこの会社の社長も苦労しません。結局は、いろいろな人からいろいろな情報を集めて最終的に判断するということを怠ってきたのだと思います。
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<プロフィール>星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年
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