ビールなどの出荷価格を調整する「カルテル」を結んだ疑いがあるとして、公正取引委員会は大手ビールメーカー4社に強制調査に入りました。取材で浮かび上がったのは、担当者らによる“非公式会合”の存在でした。
消費者に余分な負担の可能性…ビール大手4社にカルテル疑い
東京・新橋駅前で聞かれた憤りの声。
「自由に競争しないで、僕らが払うお金が高くなっているなら、それはフェアじゃない」
「裏は絶対あっちゃいけない」
「アサヒビール」「キリンビール」「サントリー」「サッポロビール」のビール大手4社が出荷する際の価格を調整する「カルテル」を結んだ疑いがあるとして、公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いで4社に強制調査に入りました。
ビールはメーカーから「卸業者」へ卸された後、飲食店やスーパー等の「小売業者」で販売され、消費者が購入します。
メーカー4社は卸業者向けに出荷する際の価格を不正に調整した疑いがあり、消費者が余分な負担を強いられた可能性があるのです。
その調整が行われていたのは、非公式の集まり。
東京・銀座に4社が加盟する業界団体「ビール酒造組合」の事務所があります。ここで主に、毎月第1木曜日に「一木会」と呼ばれる会合が開かれていました。
この会合前後に4社の営業課長らが非公式に集まり、値上げ幅の具体的な目標を定めるなどしていたとみられています。
調査すると…各社ほぼ同じ価格
本来、各企業がそれぞれ決めるべき商品の価格。
コンビニ3社の価格を見ると、サントリーは他のメーカーと比べ4~11円の差がありますが、各社ほぼ横並びの状況です。
【コンビニ各社値段比較(350ml缶・新橋駅周辺)】
▼A社
アサヒビール:227円
キリンビール:227円
サッポロビール:227円
サントリー:223円
▼B社
アサヒビール:226円
キリンビール:226円
サッポロビール:226円
サントリー:215円
▼C社
アサヒビール:227円
キリンビール:227円
サッポロビール:227円
サントリー:223円
「認識ない」メーカートップを直撃
強制調査を受けた企業の1社「アサヒビール」の松山社長が、私たちの取材に応じました。
アサヒビール 松山一雄 社長
「今日検査が始まったので全面的に協力して、まだ申し上げられることはないです」
――社長として(協議の)認識はあったか?
「それも調査が入ったばかりですので、何も申し上げられないということで、ご理解頂きたい」
また、アサヒグループホールディングスの勝木社長は「認識はなかった」と言います。
――これまで協議をしていたという認識は?
アサヒビールHD 勝木敦志 社長
「協議といいますと…」
――カルテルの認識は?
「私どもは全くございません。ご不安ですとか、ご懸念を生じさせたことは、誠に申し訳ない。それも含めて、公正取引委員会の調査に委ねたいと思います」
「人件費抑えて販売価格抑えてきたのに」街のスーパーで募る不信感
国税庁によりますと、2024年のビールの国内市場の規模は1兆1500億円で、4社がシェアのほとんどを占めています。
スーパーマーケットセルシオ和田町店も、ビールの多くがその4社。
スーパーマーケットセルシオ和田町店 久保田浩二さん
「不信感はどうしても思ってしまうのは率直な意見です。人件費をなんとか抑えよう、その分販売価格も少しでも安く販売しようという努力が、自由競争で行われているという実状がある」
公正取引委員会は今後、刑事告発も視野に押収した資料を分析するなどして、実態解明を進めるものとみられます。
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