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子どもの視力低下「何も言わないから大丈夫」は誤解かも? 専門医が語るリスクと見落としがちなサイン

国内
2026-10-02 17:30
子どもの視力低下「何も言わないから大丈夫」は誤解かも? 専門医が語るリスクと見落としがちなサイン
東邦大学医療センター大森病院・松村沙衣子准教授
 10月10日の「目の愛護デー」を前に、スマホ普及に伴う子どもの近視増加や低年齢化が深刻化している。近視の進行は将来的に重篤な眼疾患リスクを高めるため、早期ケアが欠かせない。しかし現場の専門家からは、子どもの目の異変に対する親の認識不足や誤解を懸念する声が上がっている。

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■「何も言わないから大丈夫」は危険、子どものSOSを見逃す親の誤解

 東邦大学医療センター大森病院の松村沙衣子准教授は、保護者の多くが子どもの目の健康に関心を持ちながらも、実際の視力状態を十分に把握できていない現状を指摘する。

「子どもは、見えにくくてもそれが自分にとって普通だと思っていたり、うまく言葉で伝えられなかったりします。そのため、『見えにくいと言わないから大丈夫』と考えるのではなく、健診や視力検査が子どもの目の異常に気づく大切なきっかけになります」

 松村准教授によると、未就学児の視力低下は近視だけでなく、遠視や斜視などによって視力が十分に発達しない「弱視」が隠れている場合があるという。視力の発達には大切な時期があり、弱視は早期発見と適切な治療開始が極めて重要とされる。

 さらに、健診などで指摘を受けた際の対応についても次のように述べる。

「日本には、3歳児健診や学校健診など、子どもの目の状態を確認する機会が設けられています。こうした機会を上手に活用し、まずはお子さんの視力や見え方について知っていただくことが大切です。健診などで指摘を受けた場合には、その結果を一つのきっかけとして、眼科で詳しく確認していただければと思います」

 近年では眼科での対処も進化しており、必要に応じて近視の進行を抑える治療を検討できる環境が整いつつある。子どもの「見えづらさ」のサインを見逃さず、定期的な検査や専門医への相談につなげることが求められている。

■データで判明、自ら「見えにくい」と訴える未就学児はわずか6%

 こうした専門家の指摘を裏付けるように、実際の家庭環境におけるデータからも親の認識と子どもの実態との間にギャップが存在することが見えてくる。

 ロート製薬と太陽生命少子高齢社会研究所が未就学児および小学生の保護者を対象に実施した「子どもの目に関する意識調査」によると、6~7割の親が子どもの目の健康を意識していると回答した。しかし、未就学児の段階で我が子の視力を大まかにでも把握している親は54.3%にとどまっているのが実情だ。小学生になると視力の把握率は高まるものの、親が子どもの目の異変に気づく難しさが浮き彫りになっている。

 実際に、子どもが自分から「見えにくい」と口にした経験がある家庭は全体でも17.9%。未就学児に至ってはわずか6.3%という結果が出ている。子どもが自発的に訴えない以上、日常生活における観察が重要となるが、「目を細めて物を見る」などの分かりやすいサインを示している未就学児はわずか3.3%に過ぎない。つまり、子どもからの自己申告や外見上の仕草だけで視力低下を発見するのは極めて困難であり、専門的な検査機会の重要性が提示されている。

 また、デジタル機器との付き合い方においても、高学年になるにつれてリスクが高まる傾向が確認されている。長時間の機器使用や悪い姿勢での閲覧が増加する一方で、テレビやタブレットの画面に極端に近づいて見てしまう傾向は、学年を問わず約3割の子どもに見られた。家庭での対策として「画面との距離」や「使用時間」を意識させている親は多いものの、屋外での光を浴びる「外遊びの時間を増やす」といった予防策に取り組んでいる家庭は2割程度にとどまっており、より効果的な視力保護のアプローチが求められている。

 デジタル社会が進展する現代において、子どもの「見えやすさ」を守る取り組みは、単に眼鏡を作るという域を超え、将来的な生活の質を左右する重要なテーマとなっている。親が正しい知識を持ち、健診などの機会を積極的に活用してアイケアを意識することが、子どもの大切な目を守る第一歩となる。

【松村沙衣子准教授】
東邦大学医療センター大森病院准教授。日本近視学会理事、日本小児眼科学会理事、近視研究会理事。

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