
ANAやJALなど航空大手各社は、羽田空港の国内線での手荷物預け入れの締め切りを、9月1日から出発時刻の30分前に厳格化しました。
背景には、一体何があるのでしょうか?
『ひるおび』は、普段見ることができない手荷物預かりの裏側を取材しました。
【写真を見る】羽田空港の手荷物預け入れ「出発30分前」に!“厳格化”の背景は?手荷物預かりの裏側を取材【ひるおび】
羽田空港 手荷物預入時間「30分前まで」
羽田空港で国内線を発着する全7社において、
8月までは手荷物の預け入れ時間は「出発時刻の20分前締め切り、もしくは30分前目安」でしたが、9月1日からは「出発時刻の30分前締め切り」になりました。
締め切り時間を過ぎた場合は、荷物を預けることができなくなります。
航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗氏:
手荷物を機内持ち込みする場合、今まで通り20分前までに保安検査を通過すればいいというルールは変わりません。
預ける手荷物がある場合は、羽田空港に限って30分前になります。羽田空港以外の空港に関しては今まで通り20分のルールが適用されます。
航空各社が目指しているのが「定時運行」です。
飛行機が予定時刻から15分以内に出発する「定時運航率」を見ると、
日本のエアラインでは2000年度は95.01%、2010年度は94.09%と、2020年度までずっと90%以上を保っていましたが、2025年度は83.25%と、過去最低になっています。
航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗氏:
1番の原因は天候ですよね。ゲリラ豪雨など、天候によって特に夕方以降に遅れる便が出ています。
あとは管制官の指示により離陸を少し待ちますとか、10分15分この場所で待機しますという形で、航空路の混雑があります。インバウンドが増えたことで羽田空港でも2020年春に50往復100便増え、都心での上空飛行などもあって、便数自体も増えてきたことが大きいと思いますね。
“離れた出発ゲート”が増加
ターミナルに着いたものの、ゲートが思いのほか遠かったという経験はありませんか?
実は今、羽田空港の乗り場が広がっているんです。
2025年3月に広がったのが、ANAなどがある第2ターミナルです。
700m奥まで拡張されたので、例えば1番近い保安検査場を通って、1番奥の47番搭乗口から搭乗する場合、所要時間は約10分かかります。
また、9月からは第1ターミナルも大規模増築され、距離が伸びます。
北側サテライトの24~29の搭乗口まで、約860mとなります。
一番近い保安検査場から一番奥の29番搭乗口まで、公式発表では約15分かかります。
航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗氏:
木をふんだんに使っていて、(歩く際の)景色はすごく良いです。
一番奥のゲートからは、日本一長いボーディングブリッジをさらに100m歩いて搭乗します。
将来拡張する時に工事がしやすいように先端はそういうゲートになっているんですね。
ゲート番号を見て、どの辺かを事前にホームページで調べておくことが大事です。
恵俊彰:
だから預ける時間も早くないといけないってことになるんですね。
搭乗口が47~52とか24~29の人はちょっと早めに動かないと。
山内あゆアナウンサー:
そういうこともあり、羽田空港は「30分前までに荷物を預けてください」という新しいルールになったということなんです。
「最後は人の手で」手荷物預かりの裏側を取材
私たちが預けた荷物は、どのように運ばれていくのでしょうか?ANAの手荷物預かりの裏側を取材しました。
ANAの場合、羽田空港の国内線の離発着数は1日約400便。取り扱う荷物は最大約3万個にもなります。
大量の荷物を迅速にさばくために活躍しているのが、自動で荷物を預けるシステムです。
機械に荷物を置いて搭乗券を読み取り、モニターの画面を操作すると、バーコードの付いた手荷物タグが発行されます。それを荷物の取っ手に付ければ荷物を預ける作業が完了。バックヤードへと運ばれていきます。
ベルトコンベアーで運ばれた荷物は、タグのバーコードをレーザーで読み込み、自動で進路を振り分けられます。1時間に約4000個の荷物が処理され、それぞれの飛行機へ向かいます。
その後、ベルトコンベアーで流れてきた荷物は、手荷物のプロたちが機内に搭載するコンテナへ丁寧に手作業で積み込みます。
一つの仕分け場で2、3便の荷物を処理しているので、積み間違いのないよう一つずつバーコードをスキャンし、人の目で行き先と便の情報が一致するかを確認しているのです。
さらに、積み方にもコツがあります。
グランドハンドリング担当 原嵩太さん
「軽いものを下にしてしまうと重たいものが上に来た時に潰れてしまいますので、重たいものを下に積んで軽いものをどんどん上に積んでいきます。」
まるでパズルのように綺麗に積み上がっていく荷物。
こうして荷物が積み終えられたコンテナはいよいよ飛行機へ搭載されますが、安全運航のため重要なのが飛行機全体のバランスです。指定されたコンテナ番号と搭載位置が書かれた指示書をもとに積み込んでいきます。
グランドハンドリング担当 原嵩太さん
「原則としては貨物を先に搭載して、手荷物を一番最後に搭載しています。そうすると到着地で手荷物を一番最初に下ろすことができます。」
いち早く搭乗客の元へ荷物が届けられるよう、コンテナを積む順番まで徹底されていました。出発5分前に荷物を積み終えることを目標にすることで、定刻通りに飛行機が飛び立っていたんです。
航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗氏:
最後は屋外の作業になりますので、ゲリラ豪雨が来てしまうと作業が一時中断してしまいます。(荒天時に)待ち時間が生まれるのも、こういう作業があるからとご理解いただけるといいと思いますね。
弁護士 八代英輝:
危ない状況になりますもんね。
暑い中、アスファルトのコンクリートで照り返しも強くて頭が下がりますけど、あの最後が自動化できると本当にいいんでしょうね。
落語家 立川志らく:
でも本当に日本の航空会社は丁寧ですよね。ネットを見てると、海外では投げてるようなのがあったり。壊れちゃってるのがあったりね。
航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗氏:
これが今まで20分前までで間に合ってたということが、ある意味ミラクルだと思います。今回ターミナルが広くなって30分前預かりになりましたけど、世界的には短いところで45分前とかが多いです。
鳥海氏注目!“スピード返却”の取り組み
航空会社スカイマークは、業界ナンバーワンの“スピード返却”を目指しています。
各空港の担当が自主的に考え、手荷物をできるだけ早くターンテーブルに乗せるよう工夫しており、定時出発率は2025年度で88.73%と、平均の83.25%を上回っています。
荷物の受け取りが早ければ、スーツケースを預ける人が増えます。すると機内での手荷物の上げ下げが減って乗り降りがスムーズになるので、結果的に定時出発ができるのです。
北海道の新千歳空港で行われている取り組みは、【分割して搬送】です。
到着後、機体からすべての荷物を下ろしてから運んでいたものを2~3回に分けて、下ろしたものからどんどん運んでいきます。
駐機場に到着後、7分以内に荷物を返却することを目標としているそうです。
恵俊彰:
7分!早いね!
もう、人が降りる方が遅いんじゃないですか。
新千歳空港ではもう一つ、【ゴミ箱アンケート】という取り組みも始めています。
手荷物タグを外して捨てるごみ箱を「遅」「早」に分け、アンケートボックス代わりにしています。
スタッフからは、
「手荷物タグの結果を見て『お待たせしてしまった』『今日は喜んでいただけた』という気持ちがサービス改善と自分のモチベーションになっている」という声が聞かれました。
航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗氏:
スカイマークは経営破綻した後、新しい経営陣が「とにかくお客様の満足度を上げるためにはまず品質」だと。ちゃんと定時に飛んで定時に到着する、荷物も早く返すという、その取り組みはこうやって出てきていますよね。
「早く返せるとみんな預けるようになる」という好循環が生まれると思いますね。
(ひるおび 2026年8月31日放送より)
==========
<プロフィール>
鳥海幸太朗氏
航空・旅行アナリスト
国内外の旅行事情に精通
帝京大学非常勤講師 近著に『コロナ後のエアライン』
・お腹をすかせた中学生3人…通りかかった食堂で「PayPay使えますか?」「ごめんなさい、現金だけなんです」その後の展開は…SNS投稿に大反響のワケ「こういう出会いって宝物」「読んでて涙出た」
・エアコン「1℃下げる」OR「風量を強にする」どっちが節電?「除湿」はいつ使う?賢いエアコンの使い方【ひるおび】
・「蚊の10倍」猛烈かゆみが襲う 水辺にいる“スケベ虫”に注意
