国内
2026-08-17 07:50
「男物派が女物の着物にハマった理由」と題した動画の投稿者さんは、3年前から着物を着るようになった。ハーフというアイデンティティゆえに「着付けが間違っていたら指摘されるのでは」という不安や、体型から普段はメンズを選ぶことが多かったため、「女物の着物は自分らしさが薄れてしまうのでは」という懸念があった。しかし次第に、着方ひとつで女性らしくも男性らしくも見せられる着物の魅力にどっぷりと浸かっていったそう。7年間ファッションを学び、その後ファッション業界に進んだ投稿者のUruさん(@_uruboros)に、既成概念にとらわれない着物や衣服の楽しみ方を聞いた。
【全身写真】「中性的な魅力が引き立つ」着物をまとった姿
■既成概念にとらわれない和服の楽しみ方 浴衣着るなら「サンダルやスニーカーでもいい」
――「男物派が女物の着物にハマった理由」と題した投稿は12万回再生を超え、話題となっています。動画で着用されている着物のポイントを教えてください。
「黒のしじら織に、博多織の半幅帯を合わせています。帯締めは自分で制作したものです。一見するとシンプルな、ほぼ黒のコーディネートですが、色を合わせているというより、布を合わせている感覚です。しじら織の凹凸や博多織の滑らかさなど、それぞれ違う質感や表情があるので、同じ黒でも、自分の中ではすべて違う黒として見えています。 派手な色を使わなくても、素材そのものの魅力が伝わる組み合わせが好きです」
――ジェンダーレスなスタイルで着物を楽しみたいときに、一番簡単に取り入れやすい方法を教えてください。
「『男性物』『女性物』と分けて考えすぎず、自分が好きだと思うものを選ぶことだと思います。例えば、女性物の着物に男性物の帯や羽織を合わせるだけでも印象は変わります。どちらか一方に寄せるのではなく、好きな色や柄、シルエットを少しずつ組み合わせていくと、自然と自分らしいスタイルになっていくと思います」
――今の季節、浴衣を楽しむ人も多いと思いますが、おすすめの着こなし方があれば教えてください。
「浴衣は、最初から決まった一式として着なくてもいいと思います。着物らしいシルエットを残す着方が好きですが、帯の代わりに太めのベルトを合わせたり、スカートと重ねたり、その人が着やすい形に変えるのも一つの楽しみ方だと思います。下駄で足が痛くなりそうなら、サンダルやスニーカーに替えてもいいですし、無理をせず、自分が一日楽しめる着方を選ぶことが一番です」
■「自分に着物は似合わない」ハーフであることで気にしていた“人の目”
――動画に寄せられたコメントで特に嬉しかったものはありますか?
「一つ挙げるなら、『そうやって実験的に着ているのを見ると、本当にかっこいいと思うし、自分も型にはまらなくていいんだと思わせてくれる。着物はアートで、アートは時代や着る人を反映して変化していくものだと思う』という内容の英語のコメントです」
――素敵な言葉です。どんなところが印象的でしたか?
「着物を『型にはまったもの』ではなく、時代や着る人によって変わっていく表現として受け取ってくださった言葉で、自分が目指していることを、そのまま言語化していただけたような気持ちになりました。以前は自分に着物は似合わないと思っていた時期もあったからこそ、こうした声をいただけることが一番の喜びです」
――別の投稿から、ハーフというアイデンティティから、着物を着ることが怖かった時期もあったと拝見しました。
「着物を着始めた頃は、『ハーフであることで、人一倍見られてしまうのではないか』という不安がありました。日本人ですが、外見だけで海外の方だと思われることが多いので、少しでも着付けが違って見えると、『日本人じゃないから、わかっていないのかな』と思われてしまうのではないかと、必要以上に人の目を気にしていました。実際に、そういったコメントをいただいたこともあります。
でも、着物を着て外に出るようになると、着物を通してたくさんの方と出会い、着付けや布について教えていただく機会も増えました。その経験を通して、『ハーフだから』と見るのではなく、一人の着物好きとして接してくださる方のほうがずっと多いことを知りました。今では、人の目を気にするよりも、自分が好きだから着るという気持ちを大切にしています」
■体型にコンプレックスを感じていた時期も…「教科書通りの着方が美しく見えるとは限らない」
――ご自身にとって、着物に限らず衣服とはどんなものですか?
「服は、自分を表現するものだと考えています。ファッションを学びたいと思ったきっかけは、もともとメンズウェア、特にスーツが好きだったことです。専門学校でもシルエットやテーラリングに強く惹かれていました。今、着物を着るときも、衿の線や帯の位置、全体のシルエットを見ることが多いので、洋服と着物は自分の中では意外とつながっています。
特に着物は、完成した姿だけではなく、着付けをしている時間も含めて楽しむものだと思っています。衿を整え、布を重ね、帯を締める。その工程まで含めて、一つの作品を作っているような感覚があります。着物そのものだけでなく、その過程にも魅力を感じています」
――もともと、ご自身の体型からメンズを選ぶことが多かったとのことですが、体型など自分が持っている個性と、着てみたい服が合わないという悩みを抱える方もいらっしゃるのではないかと思います。そういった悩みについては、いかがですか?
「私も身長や肩幅など、自分の体型にコンプレックスを感じていた時期がありました。だからこそ、まず基本を学んだ上で、自分の体型に合わせて着付けを調整しています。教科書通りの着方が、すべての人に同じように美しく見えるとは限りません。肩幅や首の長さ、胴のバランスを見ながら、衿元や衣紋の抜き方、帯の位置などを調整しています。ルールを知らずに崩すのではなく、なぜその形があるのかを理解したうえで、自分に合う形を選んでいます。着物に自分を合わせるのではなく、自分の身体の上で着物が一番きれいに見える形を探すことを大切にしています」
――今後着てみたい着物のスタイルを教えてください。
「これからは、女性物と男性物の要素をもっと自然に組み合わせた、自分らしい着こなしを追求していきたいです。 女性物ならではの形や帯周りの美しさは好きですが、伝統的な女性向けの色柄には、自分には少し甘すぎると感じるものもあります。 男性物の直線的な要素と、女性物ならではの曲線的な美しさ。そのバランスをどこで取るか――それを探っていくことが、これからのテーマだと思っています」
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――「男物派が女物の着物にハマった理由」と題した投稿は12万回再生を超え、話題となっています。動画で着用されている着物のポイントを教えてください。
「黒のしじら織に、博多織の半幅帯を合わせています。帯締めは自分で制作したものです。一見するとシンプルな、ほぼ黒のコーディネートですが、色を合わせているというより、布を合わせている感覚です。しじら織の凹凸や博多織の滑らかさなど、それぞれ違う質感や表情があるので、同じ黒でも、自分の中ではすべて違う黒として見えています。 派手な色を使わなくても、素材そのものの魅力が伝わる組み合わせが好きです」
――ジェンダーレスなスタイルで着物を楽しみたいときに、一番簡単に取り入れやすい方法を教えてください。
「『男性物』『女性物』と分けて考えすぎず、自分が好きだと思うものを選ぶことだと思います。例えば、女性物の着物に男性物の帯や羽織を合わせるだけでも印象は変わります。どちらか一方に寄せるのではなく、好きな色や柄、シルエットを少しずつ組み合わせていくと、自然と自分らしいスタイルになっていくと思います」
――今の季節、浴衣を楽しむ人も多いと思いますが、おすすめの着こなし方があれば教えてください。
「浴衣は、最初から決まった一式として着なくてもいいと思います。着物らしいシルエットを残す着方が好きですが、帯の代わりに太めのベルトを合わせたり、スカートと重ねたり、その人が着やすい形に変えるのも一つの楽しみ方だと思います。下駄で足が痛くなりそうなら、サンダルやスニーカーに替えてもいいですし、無理をせず、自分が一日楽しめる着方を選ぶことが一番です」
■「自分に着物は似合わない」ハーフであることで気にしていた“人の目”
――動画に寄せられたコメントで特に嬉しかったものはありますか?
「一つ挙げるなら、『そうやって実験的に着ているのを見ると、本当にかっこいいと思うし、自分も型にはまらなくていいんだと思わせてくれる。着物はアートで、アートは時代や着る人を反映して変化していくものだと思う』という内容の英語のコメントです」
――素敵な言葉です。どんなところが印象的でしたか?
「着物を『型にはまったもの』ではなく、時代や着る人によって変わっていく表現として受け取ってくださった言葉で、自分が目指していることを、そのまま言語化していただけたような気持ちになりました。以前は自分に着物は似合わないと思っていた時期もあったからこそ、こうした声をいただけることが一番の喜びです」
――別の投稿から、ハーフというアイデンティティから、着物を着ることが怖かった時期もあったと拝見しました。
「着物を着始めた頃は、『ハーフであることで、人一倍見られてしまうのではないか』という不安がありました。日本人ですが、外見だけで海外の方だと思われることが多いので、少しでも着付けが違って見えると、『日本人じゃないから、わかっていないのかな』と思われてしまうのではないかと、必要以上に人の目を気にしていました。実際に、そういったコメントをいただいたこともあります。
でも、着物を着て外に出るようになると、着物を通してたくさんの方と出会い、着付けや布について教えていただく機会も増えました。その経験を通して、『ハーフだから』と見るのではなく、一人の着物好きとして接してくださる方のほうがずっと多いことを知りました。今では、人の目を気にするよりも、自分が好きだから着るという気持ちを大切にしています」
■体型にコンプレックスを感じていた時期も…「教科書通りの着方が美しく見えるとは限らない」
――ご自身にとって、着物に限らず衣服とはどんなものですか?
「服は、自分を表現するものだと考えています。ファッションを学びたいと思ったきっかけは、もともとメンズウェア、特にスーツが好きだったことです。専門学校でもシルエットやテーラリングに強く惹かれていました。今、着物を着るときも、衿の線や帯の位置、全体のシルエットを見ることが多いので、洋服と着物は自分の中では意外とつながっています。
特に着物は、完成した姿だけではなく、着付けをしている時間も含めて楽しむものだと思っています。衿を整え、布を重ね、帯を締める。その工程まで含めて、一つの作品を作っているような感覚があります。着物そのものだけでなく、その過程にも魅力を感じています」
――もともと、ご自身の体型からメンズを選ぶことが多かったとのことですが、体型など自分が持っている個性と、着てみたい服が合わないという悩みを抱える方もいらっしゃるのではないかと思います。そういった悩みについては、いかがですか?
「私も身長や肩幅など、自分の体型にコンプレックスを感じていた時期がありました。だからこそ、まず基本を学んだ上で、自分の体型に合わせて着付けを調整しています。教科書通りの着方が、すべての人に同じように美しく見えるとは限りません。肩幅や首の長さ、胴のバランスを見ながら、衿元や衣紋の抜き方、帯の位置などを調整しています。ルールを知らずに崩すのではなく、なぜその形があるのかを理解したうえで、自分に合う形を選んでいます。着物に自分を合わせるのではなく、自分の身体の上で着物が一番きれいに見える形を探すことを大切にしています」
――今後着てみたい着物のスタイルを教えてください。
「これからは、女性物と男性物の要素をもっと自然に組み合わせた、自分らしい着こなしを追求していきたいです。 女性物ならではの形や帯周りの美しさは好きですが、伝統的な女性向けの色柄には、自分には少し甘すぎると感じるものもあります。 男性物の直線的な要素と、女性物ならではの曲線的な美しさ。そのバランスをどこで取るか――それを探っていくことが、これからのテーマだと思っています」
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