国内
2026-07-08 07:50
知的障害を抱える19歳の弟。その弟が書いていた文字が可愛らしくセンスが良いからと、洋服のデザインに活用し、ブランドを立ち上げた21歳の姉。彼女が洋服を製作する様子を収めた動画が117万回再生を超える反響を呼び、「めちゃくちゃいい字」「プロデュースしてるお姉さんも凄すぎる」「弟さんと共にぶち上がって欲しい」「クリエイティブだ!」などと、コメントが寄せられた。弟さんの文字を活用することになったきっかけや、洋服作りを通して伝えたい思いについて、投稿者の姉に話を聞いた。
【写真】これは欲しい! 弟の独特なワードセンス生かした洋服
◆「センスのいいお笑いが生まれている」知的障害のある弟の発言が大好きな姉
――アパレルブランドの立ち上げのきっかけとなった出来事ですが、誕生日に「地位と名誉がほしい」と弟さんが言ったそうですね。その言葉を聞いてどう思いましたか?
「弟が19歳、私が21歳のときで、けっこう最近の話です(笑)。誕生日に『地位と名誉がほしい』と言われたとき、斜め上すぎて面白くて、膝から崩れ落ちました。なぜそう言ったのかは、正直よくわかりません。言葉は知っているけれど、意味を少しだけ理解しきれていない、そのズレとタイミングが絶妙に重なって、センスのいいお笑いが生まれているのだと思いました」
――弟さんの好きなことは?
「音楽、妖怪やゾンビを退治する方法が載っている本、野球が好きです。お風呂で音楽を聴くのが習慣で、『仮面ライダー』のテーマソングの次に、ゴリゴリのHIP HOPがかかっていたりして、めちゃくちゃ面白いです」
――姉と弟の普段の関係性はどういった感じなのでしょうか?
「姉弟のようで姉弟じゃないといった感じです。比べられたり、気を遣い合ったりもない。今は私が上京しているので一緒には暮らしていないのですが、地元にはよく帰っていて、一緒に買い物に行ったり、フェスに行ったりしています。どちらかというと私のほうがはしゃいだりちょっかいをかけたりしていて、弟のほうが大人な対応をしている気がします」
――Instagramでは「弟のことをみんなに知ってもらいたくて、弟の日記を洋服に」と投稿されていました。なぜ弟さんの日記だったのでしょうか?
「母が掃除をしているときに弟の日記が出てきて、家族みんなで読んでいたらめちゃくちゃ面白くて。読んでもらわないと伝わりにくいのですが、とにかくセンスがいい。普通に荷物が届いただけなのに、『謎の段ボールが家に届いて…』みたいな物語調の日記があったりするんです。内容が面白すぎたので、ノリで服にしようかとなりました。また、現在販売しているのものは、弟が日常的に書いている文字になります。日記の洋服は、今制作中で、パリコレで発表します」
◆大学に通いながら独学でブランド設立へ「欠けていてもなんかいい弟の表現を伝えていきたい」
――「Good Broken Charm」というブランド名の由来は?
「『良い欠けた魅力』という意味で、欠けていてもなんかいい弟の表現を伝えていきたいなという思いでこのブランド名にしました」
――弟さんの書いた文字やエピソードをもとにした「思いやり大切ソックス」や「いらないギミックTシャツ」など、独特なセンスが光るアパレルアイテムの数々です。弟さんは、ご自身の言葉が洋服になって、どのような反応をしていますか?
「普通に喜んでいます。あげると言ったのに、『自分の給料で買いたい』と言って、買ってくれています。自分のものが商品になって、お客さんがいるということが楽しいのだと思います。『僕のおかげですね!』と言っていました(笑)」
――洋服を作ると決めたときや出来上がった洋服について、ご家族や友人はどのような反応を見せていましたか?
「友達は『普通に可愛い!』と言って買ってくれます。家族もノリノリでアイデアをくれて、家族みんなでいるときに『これ、服にしよう!』となることが多いです」
――大学に通いながら独学でシルクスクリーンを始め、洋服を販売するにあたり事業(会社)化し、ブランドを立ち上げました。大変なことはありましたか?
「最初の頃は売り方がわからなくて…。そもそも『障害』という言葉を使っていいのか、弟の面白さを伝えたいけど、バカにしているように捉えられないか、私の言葉で変換してしまっていいのか、そういったことのバランスをとても考えていました。とにかく服や起業系のコンテストに出し続け、反応を見て、ということをくり返していました」
――SNSにはさまざまな声が寄せられています。服作りの原動力になっている言葉や励まされた言葉はありますか?
「『めっちゃ可愛い』という声が多いです。いつもおしゃれをしている人が、その1つとして選んで買ってくれることが一番うれしいです。『可愛くてめっちゃ着ています!』と言われることが、一番の原動力です。あとは、ずっとファンだったアーティストやダンサーがリールから買ってくれて、SNSで発信してくれるのもうれしいです」
◆「“障害”という言葉との距離感を変えたい」弟が1人の人として見られる体験を作りたい
――弟さんと生活する中で、大切にしていることや幸せを感じる瞬間を教えてください。
「小さい頃は『もうちょっと面倒見てよ!』とよく怒られていました。特別に大切にしていることはなくて、幸せを感じる瞬間というとたいそうですが、弟のセンスに笑い転げる時間は本当に楽しいです」
――弟さんに気づかされたことは?
「気づかされることはたくさんあって、結構名言を連発するんです。『おしゃれは自分が自信があれば、それはおしゃれです!』とか、『やる気元気歯磨き』とか。『そこでそれを言う?』といった斜め上からの言動に、いつも気づかされるし、とても面白いです」
――先ほど、「弟の日記を洋服にしたものは、パリコレで発表する」と言っていましたが、どのような経緯でパリコレデビューとなったのでしょうか?
「『Next Fashion Designer of Tokyo』(未来を担う若手デザイナーを生み出し、世界で活躍できる人材に育てるための、都内在住・在学の学生等を対象)という東京都主催のファッションコンペがありました。その後のアクセラレーター(スタートアップ企業等の成長を支援・促進する企業やプログラム)で、『ANREALAGE(アンリアレイジ)』というブランドのデザイナー・森永邦彦さんが、東京都の若手デザイナーをパリのショーで発表するとのことでした。それに選出されました」
――パリコレが決まり、ご家族の反応はどうでしたか?
「『家族全員行きたい!!!』と言っていました。『こういうのいいんじゃない?』とノリノリで服のアドバイスをくれています(笑)」
――弟さんの言葉をデザインにした洋服作りを通して、伝えたいことはありますか?
「洋服そのものが可愛いことはもちろん、弟がまず1人の人として見られるような体験を作りたいと思っています。障害とかインクルーシブとか、硬い言葉の裏に大事なことや見えない困りごとが隠されている世の中で、そういう表面的なことではなく、実際に弟にはこういう面白さがあるんだよ、ということを広めていくことで、“障害”という言葉との距離感が変わっていくのではないかと思っています」
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◆「センスのいいお笑いが生まれている」知的障害のある弟の発言が大好きな姉
――アパレルブランドの立ち上げのきっかけとなった出来事ですが、誕生日に「地位と名誉がほしい」と弟さんが言ったそうですね。その言葉を聞いてどう思いましたか?
「弟が19歳、私が21歳のときで、けっこう最近の話です(笑)。誕生日に『地位と名誉がほしい』と言われたとき、斜め上すぎて面白くて、膝から崩れ落ちました。なぜそう言ったのかは、正直よくわかりません。言葉は知っているけれど、意味を少しだけ理解しきれていない、そのズレとタイミングが絶妙に重なって、センスのいいお笑いが生まれているのだと思いました」
――弟さんの好きなことは?
「音楽、妖怪やゾンビを退治する方法が載っている本、野球が好きです。お風呂で音楽を聴くのが習慣で、『仮面ライダー』のテーマソングの次に、ゴリゴリのHIP HOPがかかっていたりして、めちゃくちゃ面白いです」
――姉と弟の普段の関係性はどういった感じなのでしょうか?
「姉弟のようで姉弟じゃないといった感じです。比べられたり、気を遣い合ったりもない。今は私が上京しているので一緒には暮らしていないのですが、地元にはよく帰っていて、一緒に買い物に行ったり、フェスに行ったりしています。どちらかというと私のほうがはしゃいだりちょっかいをかけたりしていて、弟のほうが大人な対応をしている気がします」
――Instagramでは「弟のことをみんなに知ってもらいたくて、弟の日記を洋服に」と投稿されていました。なぜ弟さんの日記だったのでしょうか?
「母が掃除をしているときに弟の日記が出てきて、家族みんなで読んでいたらめちゃくちゃ面白くて。読んでもらわないと伝わりにくいのですが、とにかくセンスがいい。普通に荷物が届いただけなのに、『謎の段ボールが家に届いて…』みたいな物語調の日記があったりするんです。内容が面白すぎたので、ノリで服にしようかとなりました。また、現在販売しているのものは、弟が日常的に書いている文字になります。日記の洋服は、今制作中で、パリコレで発表します」
◆大学に通いながら独学でブランド設立へ「欠けていてもなんかいい弟の表現を伝えていきたい」
――「Good Broken Charm」というブランド名の由来は?
「『良い欠けた魅力』という意味で、欠けていてもなんかいい弟の表現を伝えていきたいなという思いでこのブランド名にしました」
――弟さんの書いた文字やエピソードをもとにした「思いやり大切ソックス」や「いらないギミックTシャツ」など、独特なセンスが光るアパレルアイテムの数々です。弟さんは、ご自身の言葉が洋服になって、どのような反応をしていますか?
「普通に喜んでいます。あげると言ったのに、『自分の給料で買いたい』と言って、買ってくれています。自分のものが商品になって、お客さんがいるということが楽しいのだと思います。『僕のおかげですね!』と言っていました(笑)」
――洋服を作ると決めたときや出来上がった洋服について、ご家族や友人はどのような反応を見せていましたか?
「友達は『普通に可愛い!』と言って買ってくれます。家族もノリノリでアイデアをくれて、家族みんなでいるときに『これ、服にしよう!』となることが多いです」
――大学に通いながら独学でシルクスクリーンを始め、洋服を販売するにあたり事業(会社)化し、ブランドを立ち上げました。大変なことはありましたか?
「最初の頃は売り方がわからなくて…。そもそも『障害』という言葉を使っていいのか、弟の面白さを伝えたいけど、バカにしているように捉えられないか、私の言葉で変換してしまっていいのか、そういったことのバランスをとても考えていました。とにかく服や起業系のコンテストに出し続け、反応を見て、ということをくり返していました」
――SNSにはさまざまな声が寄せられています。服作りの原動力になっている言葉や励まされた言葉はありますか?
「『めっちゃ可愛い』という声が多いです。いつもおしゃれをしている人が、その1つとして選んで買ってくれることが一番うれしいです。『可愛くてめっちゃ着ています!』と言われることが、一番の原動力です。あとは、ずっとファンだったアーティストやダンサーがリールから買ってくれて、SNSで発信してくれるのもうれしいです」
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――弟さんと生活する中で、大切にしていることや幸せを感じる瞬間を教えてください。
「小さい頃は『もうちょっと面倒見てよ!』とよく怒られていました。特別に大切にしていることはなくて、幸せを感じる瞬間というとたいそうですが、弟のセンスに笑い転げる時間は本当に楽しいです」
――弟さんに気づかされたことは?
「気づかされることはたくさんあって、結構名言を連発するんです。『おしゃれは自分が自信があれば、それはおしゃれです!』とか、『やる気元気歯磨き』とか。『そこでそれを言う?』といった斜め上からの言動に、いつも気づかされるし、とても面白いです」
――先ほど、「弟の日記を洋服にしたものは、パリコレで発表する」と言っていましたが、どのような経緯でパリコレデビューとなったのでしょうか?
「『Next Fashion Designer of Tokyo』(未来を担う若手デザイナーを生み出し、世界で活躍できる人材に育てるための、都内在住・在学の学生等を対象)という東京都主催のファッションコンペがありました。その後のアクセラレーター(スタートアップ企業等の成長を支援・促進する企業やプログラム)で、『ANREALAGE(アンリアレイジ)』というブランドのデザイナー・森永邦彦さんが、東京都の若手デザイナーをパリのショーで発表するとのことでした。それに選出されました」
――パリコレが決まり、ご家族の反応はどうでしたか?
「『家族全員行きたい!!!』と言っていました。『こういうのいいんじゃない?』とノリノリで服のアドバイスをくれています(笑)」
――弟さんの言葉をデザインにした洋服作りを通して、伝えたいことはありますか?
「洋服そのものが可愛いことはもちろん、弟がまず1人の人として見られるような体験を作りたいと思っています。障害とかインクルーシブとか、硬い言葉の裏に大事なことや見えない困りごとが隠されている世の中で、そういう表面的なことではなく、実際に弟にはこういう面白さがあるんだよ、ということを広めていくことで、“障害”という言葉との距離感が変わっていくのではないかと思っています」
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