
人類が初めて月面を歩いたアポロ計画から約半世紀。
アメリカが主導する有人月探査プロジェクト「アルテミス計画」の宇宙船が、月の裏側に到達。7日未明に宇宙船は地球から約40万7000キロ離れた地点を通過し、人類史上最も地球から離れた記録を更新しました。
加速する宇宙開発は今後私たちの未来にどう役立つのでしょうか。
【写真を見る】月への移住や火星旅行も可能に!?月探査「アルテミス計画」を専門家が解説【ひるおび】
NASA「アルテミス計画」とは
日本宇宙フォーラム主任研究員 科学ジャーナリスト 寺門和夫氏:
NASAとしては、地球を周回する軌道はもう民間に任せて、我々は月に行ってさらに将来は火星に行くと。それがこの「アルテミス計画」なんです。
アルテミス計画は、いくつもの段階に分かれています。
≪アルテミスⅠ≫
2022年:無人で月を周回
≪アルテミスⅡ≫
2026年4月:有人での月の周回(ミッション継続中)
≪アルテミスⅢ≫
2027年:宇宙船と月面着陸船のドッキングの練習
≪アルテミスⅣ≫
2028年:2人が月に着陸
≪アルテミスⅤ以降≫
日本人初の月面着陸
これ以降もミッションは継続され、日本が開発している「月面探査車」を打ち上げ、日本人が運転する可能性もあります。
コメンテーター 中村仁美:
ちょっと壮大すぎてイメージが湧かないんですけども、遠い「未来」じゃなく、私が生きているうちに見られるってことですよね。
月到着まで「4日」
地球から月までの距離は約38万キロ。月に到着するまでは4日間かかります。
日本時間の4月2日、アメリカフロリダ州のケネディ宇宙センターを出発した宇宙船オリオンは、まず地球の周りを円を描くように周回し、月へ向かう軌道に移りました。
出発から6日目の7日午前、月に最接近し人類史上最も地球から離れた記録を更新しました。
その後、月の裏側を回って地球に戻るという道のりです。
恵俊彰:
今回月の裏側を回ったというのが大きいんですか?
日本宇宙フォーラム主任研究員 科学ジャーナリスト 寺門和夫氏:
そうですね。月の裏側を通って、そこでいろいろな観測をして戻ってくるということですね。
恵俊彰:
裏側に行くと「電波が届かない」などあるんですか?
科学ジャーナリスト 寺門和夫氏:
隠れてしまうと通信は途絶します。今回もそういった時間帯が約40分~50分ありました。
コメンテーター 中村仁美:
連絡が取れない時間、ものすごくドキドキしますよね。
科学ジャーナリスト 寺門和夫氏:
将来は、月を回る軌道に通信衛星みたいなのができるでしょうから、交信できるようになると思います。
月の重力に導かれ・・・
宇宙船は、月の重力圏に入り、月に引っ張られる力を利用して月の周りを回り地球に戻ります。
月の重力圏に人類が到達したのは54年ぶりです。
月の重力圏に入った際、乗組員は交信で
『地球から上昇しているのではなく月へと落下しています。これは素晴らしい重要な節目です。地球より月の方が明らかに大きく見えます』と話しています。
科学ジャーナリスト 寺門和夫氏:
軌道をうまく選んでいるので、月に引っ張られても衝突することなくぐるっと裏側を回って戻ってくる。月の重力がそのコースに従って宇宙船を導いてくれるわけですね。
まさにニュートンの万有引力の法則そのもので、物理学で回っているわけです。
だからエンジンを噴射しなくても自動的に行って帰ってくる軌道を今回は取ってるわけです。
恵俊彰:
正確な軌道に乗れるかどうかが勝負というわけですね。
科学ジャーナリスト 寺門和夫氏:
今回は月に行く軌道に入る時の正確な軌道投入がうまくいきました。
だからほとんど途中で軌道調整しなくても行って帰ってこられる。
恵俊彰:
軌道って目に見えないじゃないですか。どうやって選ぶんですか?
科学ジャーナリスト 寺門和夫氏:
レーダーなどを使って捕捉しています。
宇宙船が飛んでいる間、地球上のものすごく大きなコンピューターが、うまく飛んでいるかどうか常に軌道の計算をしています。
宇宙船が“宇宙ゴミ”にぶつかることはないのでしょうか?
科学ジャーナリスト 寺門和夫氏:
月の周りにはないですから、その心配はありません。
地球の周りは人工衛星の破片だとかロケットの破片だとかいわゆる“宇宙ゴミ”がたくさん回っていますが、月ではそういった活動がないので、まだ真空の状態で何もない状態ですね。
日本の技術が宇宙へ
「アルテミス計画」には、日本の技術も役立てられています。
寺門氏によると、JAXAとトヨタなどが共同研究している月面探査車の「有人与圧ローバー」は、走行距離が長くかなり遠くまで行って帰ってくることができるので、将来の月面での月探査に非常に役立つということです。
科学ジャーナリスト 寺門和夫氏:
これからは、近くを移動するだけでなく、月面のかなり遠くまで行って探検をしなければいけないわけです。日帰りというのはなかなか難しいので、泊まりながら少し遠くまで行って観測を行うための新しい車ですね。
恵俊彰:
月にはエネルギーなどがあるんですか?
科学ジャーナリスト 寺門和夫氏:
これからそういう話になってくると思います。
水を作る事業だとか、月の鉱物を資源として利用する産業だとか、そういったものが人間が月にずっと滞在するようになれば出来てくるわけですよね。
さらに、アルテミスⅣ以降、日本人の宇宙飛行士が月に行く未来も見えてきました。
2024年に日本とアメリカ両政府による「アルテミス計画」に関する合意が行われました。
日本からは、「有人与圧ローバー」をアメリカに提供し、アメリカ側からは日本人宇宙飛行士の月面着陸の機会の提供が行なわれます。
科学ジャーナリスト 寺門和夫氏:
基本的に、巨額の費用がかかるので、日本、ヨーロッパ、カナダなどが協力しながら進めていく計画ですので、日本人宇宙飛行士にも月面に降りる機会があるということになります。
我々が月に行けるのはいつ?
アルテミス計画のゴールは、「月への到達」ではありません。
月面の拠点施設で水や氷などの資源を採取し、人の居住や燃料補給を可能とすることで、「更なる宇宙開発」へつなげることが目的です。
寺門氏は、「今回の計画を足がかりに、将来月への旅行や火星への移住ができるかもしれない」と話します。
科学ジャーナリスト 寺門和夫氏:
これからは月に行ってそこで居住して、さらに遠い将来は火星にまで移住するという、そこまでの大きな道筋が、初めてこのアルテミスⅡで始まるという感じです。
我々が月に旅行に行けるまで、どれくらいの期間がかかるのでしょうか?
科学ジャーナリスト 寺門和夫氏:
2020年代は宇宙飛行士がメインでしょうけれども、30年代になると月面に居住施設ができ、それからホテルみたいなものができて、ちょっと観光に行くみたいなこともビジネスとしては恐らく出てくるんじゃないでしょうかね。
コメンテーター 中村仁美:
2030年代ってもう、10年後ですよ。
恵俊彰:
本当にすごく近い将来ですね。
少なくともあと2年後には、オリンピックもあるし、人類の月面着陸もあるんですね。
(ひるおび 2026年4月7日放送より)
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<プロフィール>
寺門和夫氏
科学ジャーナリスト 日本宇宙フォーラムフェロー
科学雑誌「ニュートン」編集責任者などを歴任
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