
1968年、日本中を震撼させた三億円事件(東京・府中市)。大規模捜査でも闇に消えた犯人ですが、実は当時の異様な天気が深く関係していたのかもしれません。現場を覆った異例の暖かい雨が人通りを消し、犯行を「アシスト」していた可能性も…。あの衝撃のニュースと事件発生日のお天気に迫ります。(アーカイブマネジメント部 萩原喬子)
たった3分間で完遂!未解決「三億円事件」とは
三億円強奪事件が起こったのは東京・府中市。1968年12月10日午前9時20分すぎ、府中刑務所脇を走っていた現金輸送車が白塗りのオートバイ、白ヘルメットの
交通警官そっくりの男に呼び止められました。「爆弾がしかけられている」。
男は輸送車から全員退避させた隙に車に乗り込み逃走。
車に乗せていた東芝府中工場従業員4525人分のボーナス、約3億円(実際は2億9430万7500円)の入ったジュラルミンケース3つが奪われたのです。
わずか3分の犯行。警察は手配書を作り、しらみつぶしに近所への聞き込みなどを行いましたが、めぼしい成果はなく、時効となりました。
大規模捜査が行われた7年間で、捜査員は延べ約17万人、捜査対象者は11万人を超えました。
「雪乞い」するほど異例の暖冬だった1968年冬
事件が起こった1968年12月は、全国的に異例の暖冬でした。
その影響は甚大で、各地のスキー場では雪が降らず、人々は「雪乞い」を行うほどでした。
東京も例外ではなく、12月だというのに暖かな日が続いていたのです。
事件の前日、12月9日の夕方からは雨が降り始めます。
これは低気圧の通過に伴い、暖かい南風が大量に流れ込んだためです。
犯行時刻を覆った、12月とは思えない「暖かい雷雨」
気象予報士 森 朗氏:
事件当日の12月10日午前9時20分頃、犯行が行われた時刻の天気は雨でした。
しかも単なる雨ではありません。午前9時32分には雷まで観測されるなど、12月としては極めて珍しい、非常に不安定な天気でした。さらに気温も15℃を超える生暖かさでした。
犯行成功を「アシスト」したかもしれない異様な天気
この異様な天気が事件に大きな影響を及ぼしました。
現場は学校や歩道橋が近く、普段は人通りが多い場所でした。
しかし、この日の暖かい雨が影響し、外を歩いている人はほとんどいませんでした。
目撃情報が極端に少なくなり、結果的に犯人に有利な状況が作られてしまったと言われています。
天気は一転、荒天から急激な晴天へ
午前中の荒れた天気は長くは続かず、昼ごろになると天気は急速に回復し、
一気に晴れました。
乗り捨てられた車を検分する捜査員の足下には午前中の雨で水たまりが広がっていますが、空は晴れていることがわかります。
気象予報士 森 朗氏:
午前中の雷雨から一気に晴れへ急激に変わる特異な天気が、三億円事件という未曽有の大事件の舞台をひっそりと覆っていたのかもしれません。
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