外国人観光客の増加などで年々需要が高まる「民泊サービス」。トラブルに見舞われた近隣住民たちの“悲痛な声”を取材しました。
スーツケースも不法投棄?民泊“トラブル”増加
高柳光希キャスター:
個人の家を旅行者などに提供する「民泊サービス」。
国交省・観光庁によると、「民泊届出数の推移」は、2018年の民泊新法が施行以降、右肩上がりになっているということです。
2020年ごろからコロナ禍で一度落ち込みましたが、インバウンド効果も相まって需要が増加。11月14日時点で3万6851件となっています。ただ、数が増えるに伴って様々なトラブルも出てきています。
TBS報道局 社会部 犬飼さき 記者:
民泊施設の近隣住民に話を聞きました。
主なトラブルとしては、▼宿泊客が夜遅くまで騒ぐことによる「騒音」、▼日本のルールを知らない外国人観光客によるタバコやペットボトルの「ポイ捨て・不法投棄」があるといいます。使わなくなったスーツケースを民泊施設外に置いてしまうケースもあるそうです。
また、▼「私有地に侵入」です。団体の宿泊者も非常に多いため、送迎バスや車などが侵入したり、道を妨げてしまったりというトラブルなどもあるということです。
「騒音で眠れず…」近隣からは悲痛な声
高柳キャスター:
民泊利用者をめぐるトラブルについて、近隣住民からはどのような声が聞かれましたか。
TBS報道局 社会部 犬飼さき 記者:
一般的なトラブルであれば、相手と話し合い・相談によって解決できる場合もありますが、民泊の場合は日々、宿泊者が変わるため、「新しい宿泊者が来る度に静かに・きれいにしてと同じことを言い続けるのが疲れる」という声がありました。
ほかにも外国人とのトラブルが多いことで、「外国人を嫌いになりそう」「騒音で眠れず、睡眠導入剤を飲んでいる」「行政や法律で対処してほしい」といった悲痛な声もありました。
井上貴博キャスター:
“外国人観光客が増えて宿が足りないので民泊を活用しよう”というのは、自然の流れだったと思います。しかし、外国人観光客の増加に対して、ルール・制度作りが遅れていることで、その歪みがトラブルとして出てきているように思います。
民泊を持続可能的なものにするためにも再整備をして、しっかりとルールを作るべきなのかもしれません。
スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
ルール作りで一番大事なのは、ニーズの調査だと思います。やってみないと分からないことも多いと思うので、今は実際にやって、変化させていく中間地点なのかなと思います。
民泊があるおかげで、近所の人たちと仲良くできたというケースや、外国人と何かを一緒にやることを楽しんでいる住民もいます。一方で、民泊をやめたケースもあります。
どのように対処していくかはケースバイケースですし、近隣住民で対処できないことを自治体に「何とかしてほしい」というのは当然のことだと思います。
警視庁が強制捜査 “民泊新法”違反の疑いで初
高柳キャスター:
民泊のオーナーと行政のトラブルもあります。
TBS報道局 社会部 犬飼さき 記者:
東京・荒川区では「民泊に関する条例」で、事業の実施禁止期間が「月曜日の正午~土曜日の正午」と定められています。平日の営業は禁止されているということです。
そうした中、警視庁は11月28日、荒川区の民泊施設とその運営会社に家宅捜索に入りました。住宅宿泊事業法が施行されてから初の強制捜査になります。
運営会社(新宿区)が、▼禁止期間に客を宿泊させる、▼区に虚偽の報告、▼業務改善命令に従わなかったという疑いがもたれています。
広がるルール作り それでも住民からは不安の声
高柳キャスター:
条例があるところ・ないところがあるようですが、条例が設けられていく流れなのでしょうか。
TBS報道局 社会部 犬飼さき 記者:
騒音やゴミの問題があるということで、各自治体で民泊の規制強化の動きが広がっています。ただ、東京・墨田区では条例内容を不安に思う住民もいるようです。
▼東京・墨田区「条例なし」
→条例制定に向けて検討中
・金曜日の正午~日曜正午のみ営業可
・既存施設には適用なし
▼東京・豊島区「条例ありだが、独自の規制なし」
→2026年12月~、規制強化を目指す
・民泊実施は120日まで(民泊新法で定められてる営業期間は180日まで)
・区内の約7割で新設禁止
▼大阪市 特区民泊制度(2016年~)
年間を通じて運営可能→2026年5月に新規受付終了の方針
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<プロフィール>
犬飼さき
TBS報道局 社会部 警視庁生活安全部担当
日課のデジポリスは「巡査長」に昇任
田中ウルヴェ京さん
スポーツ心理学者(博士)
五輪メダリスト 慶應義塾大学特任准教授
こころの学びコミュニティ「iMiA(イミア)」主宰
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