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「議員定数削減」は高市政権の将来を占う“試金石”? 野党・公明党が政局握るカギに? 連立組み替えから1か月の現在地【edge23】

国内
2025-11-22 07:00

高市政権発足から1か月。自民党と公明党の“熟年離婚”と呼ばれる連立解消を経て、自民党と日本維新の会による新たな連立政権が動き始めた。しかし、連立合意の目玉政策となった「議員定数削減」をめぐって両党の温度差が表面化している。この政策は単なる改革の一歩なのか、それとも政権の将来を占う試金石なのか。新しい連立の現在地に迫る。


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“ベンチャー政党”維新が直面する「連立の現実」

日本維新の会の藤田文武共同代表は、自ら「我々はベンチャー政党だ」と表現する。自民党との連立協議を振り返り、こう語る。


「私はベンチャー政党の共同代表を務めているが、たった5、6年において意思決定側に行くことができるというこのスピード感は民間では当たり前。今の政治を象徴しているのは、大企業病たる自民党の政治風土がどう変わっていくかということが、今後の社会がどう変わるかにイコールだ」(11月13日の発言)


与党を長く経験していない維新にとって、連立入りで変わったことは多い。連立合意に基づく自民党との政策協議のほか、与党の一員として政府、各省庁からも説明レクが増え、議員たちは奔走している。


与党担当のTBSテレビ政治部・青木孝仁記者は「自民党も維新も性格がお互いにまだ分かっていない。手探りで動いている」と指摘する。


26年間続いた自公連立と違い、自維連立は“歳の差婚”のような状態だ。藤田共同代表は両党の関係性について「自公政権は選挙的な面で非常に相性がいい。しかし政策的には改革が前に進まない構造が大きくあった」「自維は選挙の相性は非常に悪いが、政策の相性は非常にいい」と説明した。


この「政策の相性」が早速試されているのが「議員定数削減」だ。


「議員定数削減」は政権基盤強化の試金石?

連立合意では「1割を目標に衆議院議員定数を削減するため、令和7年臨時国会において議員立法案を提出し、成立を目指す」としている。しかし、維新側が比例代表の定数を削減する方針を示したことで自民党の一部からは慎重論が根強くあるほか、野党からは反発の声が上がっている。


「今回の臨時国会の本丸は議員定数削減だ。議員定数削減ができないようであれば、本質的な改革なんてできない」と語る維新の吉村洋文代表。連立後の各党協議で維新側は比例定数を50削減する方向を示したが、自民党内でも一部からは「性急すぎる」「丁寧な議論が必要」との声も出ている。


維新の馬場伸幸顧問も定数削減について「高市政権が短命に終わるか長期になるか、政権基盤が強くなるかどうかの試金石」と主張し、「定数削減は議員に関係することで役所は関係ない。高市総理も自民党内を説得できないと、定数削減すらできないようでは次の改革は期待できない」と牽制する。


維新側の本音はどこにあるのか。選挙制度改革の協議を担当する浦野靖人議員は「次の解散選挙があったとして、そこで定数が削減されている選挙が必ず担保されるような形を作りたい」と発言。支持率82%の高い内閣支持率を背景に早期解散の可能性も取り沙汰される中、維新としては政策実現の担保を取りたいという思惑が透ける。


一方で維新内部にも温度差がある。ある関係者は「世論調査でも定数削減は多くの国民が賛成と支持されているというが、リアルは『反対ではない』が正しい反応。関心があるかと聞かれれば『ない』と答える人が大半だと思う」と指摘する。


維新がかねてより実現を目指しているのが、「副首都構想」と「社会保障改革」。議員定数削減よりも遙かにエネルギーが求められる、吉村代表の言うところの「2本の矢」を実行することができるのか。定数削減の議論の行く末が、自維連立の将来を占う試金石となりそうだ。


新たな政局のキーは「野党・公明党」

この政治状況で鍵を握るのが、野党に転じた公明党である。TBSテレビ政治部・野党担当の奥村康平記者は「与党経験豊富な公明党が覚悟を持って野党に来たこと、ほかの野党とは違う力を持っているからこその存在感がある」と指摘する。


公明党は連立離脱後も26年間の与党経験を活かし、政治資金規制法改正案を国民民主党と共同提出するなど、独自の動きを見せている。斉藤鉄夫代表は「人物本位、政策本位で。どこかの特定の政党と協力しようという姿勢はない」と述べている。


自民党からすれば、26年間の選挙協力で得ていた「公明票」という選挙戦での強みを失った。一方、維新との選挙協力も難しい。この状況で公明党がどの勢力と協力するかが今後の政局に大きく影響する。


日本政治は、自民・維新を中心とする「保守」勢力と、立憲・国民などの「中道」勢力があり、公明党はこの「中道」勢力の連携において大きなカギを握る存在になっている。


公明党の幹部は、党が掲げる理念である「大衆とともに」を実現するためには「与党と組むこともあれば、野党と組むこともある」と話す。今後の「野党・公明党」は、「保守」「中道」で揺れる今の政局に、大きなインパクトをもたらす可能性を有している。


高市政権発足から1か月、新たな連立政権は依然として手探り状態。12月17日までの臨時国会で見えてくる議員定数削減の行方は、今後の高市政権の未来を大きく左右するものとなるかもしれない。


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