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「逃亡や証拠隠滅の恐れがある」NHK党・立花孝志容疑者を元兵庫県議への名誉毀損疑いで逮捕 立花容疑者は「無罪を確信」【Nスタ解説】

国内
2025-11-10 21:47

政治団体「NHKから国民を守る党」の党首・立花孝志容疑者が、元兵庫県議の名誉を毀損した疑いで9日、逮捕されました。警察は、逃亡や証拠隠滅の恐れがあることから、逮捕に踏み切ったということです。


【写真を見る】送検の際にカメラにポーズを決める立花容疑者


発端は何だったのか 県議死去後も続いた誹謗中傷

山形純菜キャスター:
これまでの経緯を振り返ります。2024年3月、兵庫県の斎藤元彦知事にパワハラ疑惑が浮上しました。百条委員会のメンバーとして斎藤知事を追及していたのが、兵庫県の竹内英明元県議です。

その後、斎藤知事は一度失職し、兵庫県知事で立候補すると、NHK党の立花容疑者も立候補し再選を支援しました。一方で立花容疑者は、街頭演説などで竹内氏を名指しで誹謗中傷をしていました。

斎藤知事が再選すると竹内氏は県議を辞職しましたが、その後も立花容疑者の誹謗中傷は続きました。竹内氏は2025年1月に亡くなりました。


立花容疑者による、竹内元県議についての発言は下記のようなものがあります。


▼2024年 大阪泉大津市長選挙での街頭演説
「警察の取り調べを受けているのは、多分間違いない」

▼2025年1月 竹内元県議の死亡後
「どうも、あす逮捕される予定だった」


「逮捕は10件に1件以下」 名誉毀損容疑での逮捕のハードル

山形キャスター:
立花容疑者の今回の逮捕容疑である「名誉毀損」の主旨を見てみます。


【名誉毀損 刑法 第230条の主旨】

1 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者はその事実の有無にかかわらず3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する

2 死者の名誉を毀損した者は虚偽の事実を摘示した場合のみ罰する


若狭勝弁護士は、「死者に対する虚偽の事実の立証は難しく、逮捕まで至るのは異例」としていて、竹内元県議の死後に発言しているのが悪質だと問題視されたのではないか、としています。


また警察は、立花容疑者に逃亡や証拠隠滅の恐れがあることから逮捕に踏み切ったとしています。

立花容疑者のSNSを見ると、10月27日には「ドバイに飛びます。10月30日に帰ってきます!」という投稿がありました。


元東京地検特捜部 副部長 若狭勝 弁護士:
名誉毀損の容疑で告訴された事件が10件あったとして、そのうち逮捕されるのは1件ぐらいです。さらに、死者に対する名誉毀損で逮捕したケースは、私の知る限りだとほぼありません。

それだけ警察が、この事件を起訴して有罪に持ち込むことに自信があるとともに、有罪にできるだけの意気込みというか、相当な思いを込めて今回逮捕に至っていると思います。


普通、民間人のAさんとBさんがお互いに誹謗中傷して、名誉毀損が問題になった場合、警察はどちらの言っていることが本当なのか判断しなければいけません。

今回の「逮捕される予定があったかどうか」については、いわば証拠が警察の中にあるようなものなので、そういう意味においては証拠が固く、悪質だとして逮捕に発展したのだと思います。


「無罪になると確信」 立花容疑者が強気のワケ

山形キャスター:
若狭弁護士は、立花容疑者が起訴される可能性は大きいと見ています。ポイントは、竹内元県議が死亡した後の兵庫県警による発言だということです。


兵庫県警 村井紀之 本部長
「竹内元県議につきましては、被疑者として任意の調べをしたこともありませんし、ましてや逮捕するという話も全くございません。全くの事実無根」(2025年1月 竹内元県議死亡後)


つまり、立花容疑者がウソを言ったことになりますが、立花容疑者は、竹内元県議の妻に刑事告訴された後、次のように発言しています。


NHK党 立花容疑者
「名誉を毀損したことについて何も争いはありません。ただ名誉毀損罪が成立するかどうかっていうのはまた違う。不起訴あるいは起訴されても無罪になると確信している」(2025年8月 刑事告訴後)


元東京地検特捜部 副部長 若狭勝 弁護士:
要するに立花容疑者は、「竹内元県議の名誉を傷つけたことは確かだが、『名誉毀損罪』という犯罪は成立しない」と主張したいのだと思います。つまり「自分は、本当に竹内元県議が取り調べを受けていて、逮捕の予定があると思い込んでいた」ということです。
本当にそうだとすると、たしかに有罪にすることが難しい面が出てきます。


井上貴博キャスター:
そうすると、立花容疑者がなぜそう思い込んだのか、誰からどういう経緯で何を聞いたのかが、重要になってきますよね。


元東京地検特捜部 副部長 若狭勝 弁護士:
そこがポイントになります。今後起訴されて裁判になる際には、どうしてそういうふうに思い込んだのか、例えば県議会議員の誰か、あるいは県警の親しい人から聞いた、などの説明をする可能性もあります。


井上キャスター:
県警の人から聞く可能性もゼロではないということですか。


元東京地検特捜部 副部長 若狭勝 弁護士:
一般論としては、そういうことを言ってくることはありえます。ただ誰なのか特定をしなければいけないと思います。

一方で警察は、「そのようなことを言う警察官はいない」と考えるでしょう。そもそも全く逮捕の予定がないのにも関わらず、嘘八百を立花容疑者に言うはずがないと思っているでしょう。

あとは立花容疑者が「県議の誰かから聞いた」と説明した場合ですが、その場合は県議1人1人に聞き取りを行い、全員が「私は伝えていません」と言えば、立花容疑者の弁解を崩せるだろうと県警は踏んでいるのだと思います。


執行猶予中の逮捕…今後どうなる?

山形キャスター:
立花容疑者は今後どうなっていくのでしょうか。現在、立花容疑者は、NHKの契約者の個人情報を不正に入手し、ネットに公開すると迫った罪で、懲役2年6か月・執行猶予4年となっています。

若狭弁護士は「執行猶予中の再犯のため、実刑の可能性が高い。法律の上限で最大で4年半の拘禁刑もあるのではないか」と指摘しています。

政治活動については、卒業証書問題で揺れる伊東市長選に出馬宣言をしていますが、この辺りもどうなっていくのかが注目されます。


井上キャスター:
誹謗中傷で注目を集めることで、収益が上げられるという場を提供しているプラットフォーム側についても、社会的責任などが厳しく問われるようになっていかないと、こうした問題は防げないのではないか、という気もします。


元東京地検特捜部 副部長 若狭勝 弁護士:
誹謗中傷するための道具をそのままにしておくと、こういうものが蔓延していくということになります。表現の自由との絡みにおいて、どのように調整していくかが、今後知恵を絞る必要があるところだと思います。


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<プロフィール>
若狭勝さん
弁護士
元東京地検特捜部 副部長
元衆院議員


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