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新総裁に高市早苗氏「解党的出直し」なるか? 規制強化訴えた「外国人政策」議論の行方は…【報道特集】

国内
2025-10-04 20:52

自民党総裁選で新総裁は高市早苗氏に決まりました。新しいリーダーの誕生に沸く一方で、足下では“自民党離れ”が進んでいます。総裁選を通じて議論は深まり、信頼回復につながったのでしょうか?


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「働いて、働いて、働いて、働いて、働いて参ります」高市氏が女性初の自民党総裁に

4日午後1時すぎから国会議員の投票が始まった自民党総裁選。高市早苗氏、小泉進次郎氏ら5人が立候補。最初の投票の結果は…


自民党 逢沢一郎 選挙管理委員長
「高市早苗君、小泉進次郎君による決戦投票を行うことといたします」


小泉進次郎 農林水産大臣
「自民党をひとつに、そして政治を前に、日本を前に進めていこうじゃありませんか」


高市早苗 前経済安保担当大臣
「日本列島を強く豊かに、次の世代に引き継いで参りましょう」


決選投票の結果は…


自民党 逢沢一郎 選挙管理委員長
「高市早苗君185票、小泉進次郎君156票であります。よって高市早苗君をもって当選者と決しました」


高市氏は、女性初の自民党総裁となった。


自民党 高市早苗 新総裁
「全世代総力結集で全員参加で、頑張らなければ立て直せませんよ。馬車馬のように働いていただきます。私自身もワークライフバランスという言葉を捨てます。働いて、働いて、働いて、働いて、働いて参ります」


高市氏は自民党をどう再生するのだろうか。


総裁選の陰で進む自民党離れ 元党員が語るワケ

総裁選の陰で、自民党離れが進んでいる。保守王国・福井、元党員の男性は「今の自民党自体に嫌気がさした」と語る。


福井県若狭町で町議会議員を3期務めた坂本豊さん。2025年3月、任期満了で議員を退職し、離党届を提出した。決断の引き金となったのは、いわゆる“裏金問題”だった。


元自民党員 坂本豊さん
「自民党は衆議院でも負け、都議選でも負け、今回の参議院選でも負けた原因は政治資金をちゃんと釈明しない。うやむやにして謝って済むという問題ではない。きちっとけじめをつけるために、はっきり言ったらどうやっていう。党として常習化してたのか」


2024年の衆院選、福井2区では1000万円を超える不記載が発覚した“裏金議員”高木毅氏が出馬するも落選した。年額4000円の党費の集金にも影響が…


元自民党員 坂本豊さん
「党員さんのところに集金に行かなきゃいけないんですよね。3、4年前ぐらいから文句ばっかり言われる。党費払うのはいいけど一体このお金何に使うとんのやとか」


「今の自民党は左に寄り過ぎ」党員・党友が14万人減少 保守王国・福井でも…

今回の総裁選、保守王国・福井では投票権を持つ党員・党友が、2024年に比べ1200人以上も減少した。


元自民党員 坂本豊さん
「本当に国民のことを思って政治やっているのかな。国民は物価高で生活が大変だけども、そんな中で総裁選が始まってます。国民がこれだけ苦しんでる時にそんなことやってる場合違うんちゃうかな。はっきり言って改革をすべき時に、既に遅しで全く改革する気もない。誰がなっても変わらへんでみたいな」


総裁選の投票権を持つ党員・党友は2024年は約105万人いたが、2025年は91万人に。2024年は党費などの特例措置があったものの、14万人もの減少は関係者にショックを与えた。


都道府県別では、東京が1万人以上と最も減っていて、愛知でも7000人ほど減少。2024年に政界を引退した二階幹事長の地元・和歌山では約3割と大幅だった。全ての都道府県で党員が減少している。


自民党離れが進む理由は、裏金問題ばかりではない。


元自民党員 上出雅彦さん
「危機ですよ。危機だと感じていない国会議員が多いんじゃないですか」


石川県で九谷焼の窯元を営む上出雅彦さん。40年間、党員として自民党を支えてきたが、党の方針が保守路線ではなくなってきたと感じ、2年前に離党した。


元自民党員 上出雅彦さん
「家族全部党員でしたから、かつては6人」


ーーご家族も?
「もちろん全部やめました。自民党結党の本来のことを忘れてしまって、憲法改正も進まないし」


ーー自民党はもっと保守であるべき?
「(左に)寄り過ぎてますね、完璧に。今の石破政権が特にそうですね。日本人らしさが全く無くなってきて、靖国神社の参拝にしてもそうですけど、私の周りで自民党を辞めた人は裏金問題関係ないですね。日本人らしい政治をしてほしいなということですね」


“解党的出直し”はできるのか? 自民離れの原因に「不信感」か

党員1万人以上が自民党を離れた東京で、その影響を肌で感じている人がいる。


自民党 松田康将 元都議
「もうここ数年、去年の衆議院選挙のあたりから、もう無視ですよね」


2025年6月の都議選で落選した松田康将元都議(48)。文部科学大臣だった下村博文氏の元秘書で、都議会自民党で政調会長を務めていた。“裏金問題”の逆風は今も続いているという。


自民党 松田康将 元都議
「自民党にはもう期待しない。総裁選、誰になっても期待しないという人が増えたなと感じます。前はチラシをポイっと捨てる人がいたが(今は)素通り、見ない。透明になっている感じですね」


今は、就職活動をしながら支援者からの相談を受けているという。この日会った花の卸売会社の社長からは…


自民党 松田康将 元都議
「新しい総裁に期待することはありますか」


東日本板橋花き 樋口博紀 社長
「物価が高騰していますので、お花はすごく敏感なもので、今年に入ってから非常にお花の購買率も減っているような状況。一番大きいのは裏金問題。一般市民の中では、まだ完全に解決してない問題だと思う」


「変われ自民党」を掲げた今回の総裁選。候補者が訴えた「解党的出直し」はこれまでも…


小泉純一郎 衆院議員(2001年3月・当時)
「解党的出直し」


岸田文雄 総理(2024年3月・当時)
「解党的な改革が必要であると」


石破茂 総理(2025年9月)
「解党的な出直しを」


自民党離れが進む中、解党的出直しはできるのか。


自民党 松田康将 元都議
「解党的出直しですか、なかなか難しいと思いますよ。『もう自民党駄目だよ』『もう自民党やめたら』という声がある。


もう一般の皆さんの考えというか思いというか、国民の思いが自民党からもう離れて、今までだったら、あれやれば戻ってくるとかあったが、なかなか難しいのではないかと肌で感じています。自民党じゃなくてもいいかなというのも正直ある。じゃあどこの党がいいかと言ったらない」


2019年まで約40年間自民党に所属し、事務局長などを務めた久米晃氏は自民党離れの原因をこう分析する。


選挙・政治アドバイザー 元自民党事務局長 久米晃氏
「例えば少子化の問題とか、労働力不足の問題とか、食料自給率の問題とか、あるいは景気の問題とか、いろんな問題が散々課題だ、課題だと言われてきた。それに対して結果が出ていない。結果が出ていないことに国民は自民党に対して、自民党政治に対して不満や不信感を募らせていた」


不信感は地方にも広がっていると話す。


選挙・政治アドバイザー 元自民党事務局長 久米晃氏
「私のよく知ってる地方議員なんかでも『自民党の党員になってくれ』とか『地元の衆議院の先生の支援してくれ』と言いづらい状況だと言っていました。党に対する不信感が、町会議員や県会議員の支援者の中にも満ちてて言えない。当然党員は増えないでしょう」


ーー自民党の復活には何が必要だと思いますか?
「結果を出すことが一番ですよ。その結果があって初めて次に対する信用信頼が生まれてくる。馬の鼻先に人参ぶら下げるようなこと言っても、それが実現されてこなかったから、今日のこの状況がある。それができなければ最後の総裁選挙になってしまうかもしれない」


「外国人を労働者としか捉えていない」争点の一つ“外国人政策”の議論は…

今回の総裁選で政策議論は深まったのか。各候補がそろって訴えたのは「外国人に対する規制強化」だ。


小泉進次郎 農林水産大臣
「いわゆる移民政策はとりません。必要なのは政府の司令塔機能を強化すること」


小林鷹之 元経済安保担当大臣
「ルールを守らない方に対しては、厳しく接する必要がある」


高市早苗 前経済安保担当大臣
「経済目的で難民を装ってこられる方、この方々にはお帰りをいただく」


だが問題の本質が見えていないと批判する人もいる。静岡県の浜松市長を4期務め、外国人と共に暮らす社会の実現を目指してきた鈴木康友静岡県知事だ。


静岡県 鈴木康友 知事
「常に(外国人を)『労働力』でしか捉えていない。『これだけ今足りないんだから、外から入れてくればいいじゃないか』と。ロボットじゃないわけですから『生活者』という視点で考えないといけない。(国は)経済の中での労働力としての認識しかない。まだそういうレベルではないか」


「外国人との共生はマスト」多くの外国人暮らす浜松市

浜松市は人口約78万人のうち、3万人あまりが外国人だ。ブラジルの食料品スーパーもある。


ーー客は基本的にブラジルの人ですか? 
店員
「ブラジル、フィリピン、ペルー、ベトナム、たくさん来る」


1990年の入管法改正をきっかけに、定住者の資格を得た日系人とその家族が、スズキ、ヤマハなど製造メーカーがある浜松市に多く移り住んだ。


自動車部品会社「ソミック石川」は、従業員2000人あまりのうち約1割が外国人だ。海外進出とデジタル化を強化する中、ITや新規事業などの部署で、外国人社員はこの6年で5倍以上増えた。 


工場のデジタル化に向けたシステムを開発するインド出身のサジャンシチイ・ビナヤカさん(27)。2022年に来日、静岡大学の大学院でコンピューターサイエンスを学び、2024年に入社した。


サジャンシチイ・ビナヤカさん
「ロボティクスやAIの仕事をするのが夢でした。その夢と同じ仕事をしてるから、とてもやりがいがあります」


管理職になった社員も複数いる。韓国出身の朴慶奎さん(39)。2025年1月、管理職に昇進した。英語と日本語で業務にあたる。


ICTインフラサービス室 朴慶奎 室長
「日本の国籍のみなさんのみならず、ひとりの人間として多国籍のみなさんも同様な立場として接してくださる組織文化を持っている。非常に良いと思う」


様々な国籍の従業員が増えたことで社内の環境を変える難しさはあったが、それ以上に得られるものが大きいという。


海外人事部 石田一馬 部長 
「ずっとメンバーと日本語で喋っていた人が、英語で喋らないといけない。英語で資料を作らなきゃいけない。そういう意味ではすごく大変。そういう日本人とコミュニケーションを取らないといけない外国人サイドもすごく大変だと思う。


これまでの日本人だけではなくて、違うバックグラウンドを持った人にチームに入っていただいて、新しい価値観を見出すための協業をしていくことがすごく大事」 


浜松市では、外国人住民の生活を手厚く支援している。


日下部正樹キャスター
「日本語教室は浜松市の多文化共生センターの会議室を借りる形で行われています」


週に一度、約20人が集まり日本語の勉強をしている。参加するのは、ベトナムやインド、台湾などの人たちだ。


ーーどうして日本に?
インド出身
「主人が車の会社スズキで働いています」


ーー周りの日本の人たちは優しくしてくれますか?
「とても優しい。隣のおばあちゃん、いらっしゃいます。よく私の家にいらっしゃってます。仲良くしています。毎日来ます。インドの料理も大好きです」


20年続く、この日本語教室。浜松市からの支援を受けながら、ボランティアが活動を支える。 


ーー今回の自民党総裁選、外国人規制が大きな争点になっていますが、いかがですか?
にほんごNPO 鉄村直哉さん(62)
「将来を考えると、外国人との共生はやらないといけないこと。マストだっていうこと。しっかり良い面を伸ばすのはどうすればいいか、悪い面を排除するにはどうすればいいか。大括りではなく個別にどうするかを考えていかないとまずい」


受け入れ後は「自治体任せ」 “外国人との暮らし”議論深まらず…

外国人との共生に、積極的に取り組んできた静岡県の鈴木康友知事。


2025年7月、全国知事会を代表して「外国人の受入と多文化共生社会実現に向けた提言」を国に手渡した。


静岡県 鈴木康友 知事
「44の知事が参加をいただき、ほぼ全会一致でまとまった」


しかし、今回の総裁選では、外国人と共にどう暮らすかという議論は深まらなかった。


ーー外国人を入れないままで、将来をどう担うかという議論は?
静岡県 鈴木康友 知事
「あり得ないと思います。国のスタンスが非常に曖昧なまま、これまで外国人を受け入れてきた。受け入れた後の対策は、国としてしっかり取れないのが今の状況で、問題は現場の自治体にしわ寄せが来る。自治体任せになっていることが大きな問題」


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