物価高が止まりません。9月に値上げされるのは1400品目を超え、電気代も上がる見込みです。カギを握るのが「物価高対策」への石破政権の舵取り。与党が“国民1人あたり2万円を給付する”と公約に掲げるなど、参院選で最も重視された政策ですが、いつになったら進むのでしょうか?
進む気配のない「物価高対策」背景には
2児の父(40代)
「生活苦しい。実際苦しいっすよ。(自分の)服とかも全然買ってないし。なあ?お前らの服ぐらいしか買ってないよな?」
子ども
「うん」
2児の父(40代)
「今年1着も買ってないんじゃないかな」
会社員(20代)
「(エアコンの)温度は1℃高くしよう、1℃だけでも値段変わるっていうので。(Q.本当は何℃がいい?)本当は26℃とかにしたいんですけど、28℃とかにしておこうかなみたいな」
会社員(70代)
「いま一番困っているのは物価高、全部が上がっている、全て。食品もそうだが、生活に必要なもの全てが上がっている。2万円給付するとはいっても選挙に負けたので、その勢いがなくなっちゃった。みんな選挙のためにやっていたのかなって」
7月の参議院選挙では、各党競い合うように公約で物価高対策を打ち出し、与党は国民1人あたり2万円を給付するとしていました。
しかし、1か月以上経ったいま、こうした政策が進む気配はありません。
政治は何をしているのでしょうか?
TBS政治部 中島哲平官邸キャップ
「いま自民党では総裁選の前倒しをめぐる議論で党内が2つに割れているような状況で、とても物価高対策について議論できる状況にはなっていない」
物価高対策が進まない理由のひとつに、“石破総理の進退をめぐる自民党内の混乱”があると言います。
「ポスト石破」の1人、小泉農水大臣も1日…
小泉農水大臣(民放テレビ番組で)
「政務官や副大臣であったとしても、1人の議員という立場で、危機感を持った思いを表明されるのは、あるべき姿勢の一つだろう」
TBS政治部 中島官邸キャップ
「副大臣・政務官の中で既に10人ぐらいが『総裁選の前倒しが必要だ』という声が上がってきていて、そういった石破内閣からの声についても、石破総理がいまコントロールできていないような状況になっていて、こういった動きはまだ広がりを見せているのが現状」
今後の舵取りをどうするのか。石破総理は森山幹事長と2日続けて会談。
2日に取りまとめられる予定の参院選敗北の総括には、石破総理の責任問題は明記されない見通しです。党内の反発は収まるのでしょうか?
長引く政局不安で後倒しの経済対策
藤森祥平キャスター:
まさに今、嵐の中で政権のかじ取りを行っている石破総理。
まずは目の前の“石破おろし”をどうしのぐか、総裁選前倒しの声にどう向かうかです。2日の参院選の総括で、石破総理の責任は問われないんでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
全体に責任があるという結論になると思われます。
しかし、それとは別に石破さんは挨拶で総理・総裁としての責任を認めるとともに、“重大な発言”をするのではないかと、総理の周辺は言っています。それは「政策課題に目処がついた段階で身の処し方を明らかにしたい」という趣旨の、辞任を示唆するような発言を検討していると。
藤森キャスター:
“辞任を示唆”で止まってしまうと、総裁選を前倒しでやるべしという声はますます強くなりませんか。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
党内の構図をよく見ると、石破総理中心の「反安倍派」や「総裁の判断に任せる」グループ、そして石破政権に批判的で総裁選前倒しに積極的な「旧安倍派」や「敗北のけじめをつけるべき」というグループ、合計4つのグループが二手に分かれて対立しています。
石破総理は辞任を示唆することで、「敗北のけじめをつけるべき」と考えるグループを取り込み、総裁選前倒しの議論を収束させようと狙っています。
藤森キャスター:
総裁選前倒しに賛成する署名が8日にも提出を求められていますが?
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
石破総理側は、これ自体が急速にしぼむ可能性というか、そういう期待を持っています。
藤森キャスター:
仮に党内の反発の声を抑えても、秋には少数与党での臨時国会を何とか乗り越えなければいけませんが、予算案を成立させて経済対策を打つことは可能なのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
衆議院も参議院も少数与党ですので、予算案も法律案も通りません。かつ今回、森山幹事長が辞任すると言ってますので、野党とのパイプがある森山さんなしではかなり絶望的です。
石破さんからすると「政策課題にめどをつける」というのは、選挙で掲げた“給付金”や野党が求めている“ガソリン減税”を少なくとも成立させて、その上で自分の出処進退について結論を出すということになるのではないかと思います。
藤森キャスター:
つまり、自分のクビを引き換えに何とか経済対策を成し遂げようということですか。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
それが果たして党内で評価されるかどうかが、見どころだと思います。
藤森キャスター:
結局は総理がまた変わるとか、総裁選や解散総選挙とか、また政局になるわけですよね。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
このまま総裁選になれば、組閣から臨時国会とあり予算が通るのが12月となって、給付金もガソリン減税も下手をすると年を越すかも知れません。
物価高に喘ぐ国民からすると、永田町は何をやってるんだという不満が募ってくる可能性が高いですね。
藤森キャスター:
政局ではなく国民生活の荒波をどう凌ぐかに、早く集中してほしいと思いますね。
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〈プロフィール〉
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年
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