参議院選挙が公示されました。各党が第一声で訴えたことをAIで分析・分類し、1枚の画像にまとめると、各党の選挙戦略が見えてきました。
【写真で見る】第一声で訴えたことをAIで分析・分類した各党の選挙戦略は?
ついに参院選が公示…事実上「政権選択選挙」の争点とは
参議院選挙が公示されました。
石破総理が第一声の場に選んだのは、阪神・淡路大震災の復興のシンボルとなってきた、神戸市の公園。
石破総理が演説でどんな政策を訴えたのか、AIでキーワードを抽出しました。「神戸」「災害」というキーワードのほか、「賃金上昇」や「医療」など幅広い政策を訴えたことがわかります。
自民党 石破茂 総裁
「物価上昇を上回る賃金上昇を我々は必ず実現をします。中にはまだまだ物価上昇の方が賃金上昇よりも上回っているね、そういう方々がいらっしゃいます」
「生活が苦しい、そういう方々に早く給付金を届けたい」
公明党も、「減税」や「現金給付」といった物価高対策を中心に演説をおこないました。
公明党 斉藤鉄夫 代表
「今年は物価高に賃金上昇、年金上昇が追いつかなかった。その分は物価高対策として、きちんと減税も行う。給付も行う。それが公明党の政策です」
改選と非改選の欠員補充の、あわせて125議席を争う今回の参院選。
与党は、過半数となる50議席以上の獲得を目指す一方、野党側がそれを阻止するかが焦点となる、事実上の「政権選択選挙」とも指摘されています。
各党の第一声で訴えた“キーワード”は?
田んぼを背に、第一声に臨んだ立憲民主党の野田代表は、「コメ価格高騰」や「農業政策」などを中心に訴え、物価高対策についての公約を主張しました。
立憲民主党 野田佳彦 代表
「コメ以外もみんな高いと皆さん思いませんか、食料品。高すぎですよね。でも何にもやってないでしょ、石破政権。無策でしょ。我々は、食料品にかかる消費税を、今8%かかっていますが、0%にしようと思います」
「社会保険料」の制度改革に重点を置いたのは、日本維新の会・吉村代表です。
日本維新の会 吉村洋文 代表
「給料から天引きされるもの、一番多いのは実は社会保険料です。社会保険料を下げる改革。これは今の人口減少高齢化社会の中で、絶対に必要な本質的な問題だと思ってます。これをやらさせてください」
共産党は、「消費税」や「減税」といった言葉を多用し、国民の「暮らし」に言及していたことがわかります。
共産党 田村智子 委員長
「消費税の廃止を目指し、緊急に5%への減税を掲げています。その財源は儲かっている大企業と富裕層に応分の負担を」
国民民主党は、「変える」「増やす」「支える」など、何をやるかを強調しました。
国民民主党 玉木雄一郎 代表
「現役世代から豊かになろう。手取りを増やす、投資を増やす、教育予算を増やす。この3本の矢で、日本のGDPを10年間で1000兆円にしたいと思います」
そのほかの政党も、それぞれ党独自の重点政策を訴えました。
れいわ新選組 山本太郎 代表
「今すぐ消費税廃止。消費税を廃止すれば、あなたの使えるお金は平均的な世帯で1年間30万円です。国民を見ろと、この国に生きている人々を見ろというような勢力を拡大する以外ありません」
参政党 神谷宗幣 代表
「今回の選挙の訴え、キャッチコピーは日本人ファーストです。希望がないから子供を授かることすら躊躇してしまっている。そんな日本を変えたい、それが日本人ファーストに込めた思いです」
社民党 福島みずほ 党首
「防衛予算だけは、うなぎ登り。ミサイルよりコメを、ミサイルより暮らしを、ミサイルより平和を」
日本保守党 百田尚樹 代表
「この30年間ほとんど平均給与が上がってないというのは、これは政治の無策以外の何物でもありません。日本人は世界で最高の民族です」
指摘されるポピュリズムの浸透…有権者が持つべき責任
藤森祥平キャスター:
重点的な政策の一つには、物価高対策が目立っていましたが、どう思われますか。
教育経済学者 中室牧子さん:
短期的な物価高対策に皆さん関心があると思われますが、参議院の任期というのは6年ありますので、やはり中長期的な政策も非常に重要であると思います。
短期的には、物価高対策でいくら「使うのか」という話が出ていますが、中長期にいくら「稼ぐのか」ということも非常に大事だと思います。その観点で言えば、例えば、自民党総裁選のときに解雇規制の話題がありましたが、雇用や労働市場の改革も非常に重要です。また、年金の話題もあったように、社会保障の政策もまた非常に重要で、これらの問題もしっかり見ていかなければいけないと思います。
個人的に最近、少し関心を持った論文があります。それは「簡潔な言葉遣いをする政治家が票を獲得する。それがポピュリズムに繋がっていく」という政治学の論文です。これが非常に面白いと思っていて、やはり多くの人は簡潔な言葉遣いをする政治家に魅力を感じるのかもしれません。
でも現実は、政策課題というのは非常に複雑であって、ステークホルダーも多く、ロードマップや財源なども含め、その実現可能性を考えると、簡単に説明できないことも多いのではないかと思うのです。
ですから私達は、これから参院選を見ていくにあたって、過度に単純化された議論、簡潔な演説だけに耳を持っていかれないように、財源やロードマップ、そして実現可能性も見ていくということが大事であるように思います。
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<プロフィール>
中室牧子さん
教育経済学者 教育をデータで分析
著書「科学的根拠で子育て」
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