学期末にこの紙に“そわそわ”した経験がある人は多いかもしれません。岐阜県美濃市の小学校で「通知表」を今年度からなくすという決断が下されました。一体、なぜなのでしょうか?
【写真でみる】理解するのが難しい? 実際の通知表はどう書かれているの?
いる?いらない? 低学年の通知表 美濃市で廃止に
ーー通知表ってどんな気持ち?
小学4年生
「う~んドキドキ」
ーーどういうドキドキ?
小学4年生
「帰ったら怒られるかなって…」
学期末に担任の先生から受け取る通知表。この通知表を巡り、岐阜県美濃市で驚きの決断がありました。
美濃市 教育委員会 島田昌紀教育長
「(小学校)1年生と2年生の通知表を今年度から作成しない」
事の始まりは2024年11月。教育委員職員のあるつぶやきでした。
「低学年の通知表、なくてもいいんじゃないですか?」
島田昌紀教育長
「ダメだダメだと言われるより、よく頑張ったね、よかったねって言われた方が、色んなことに取り組んでいけるんじゃないか」
市内5つの小学校の校長先生が集まり、1年生と2年生の通知表をなくすことが決まったのです。
廃止の理由は、児童たちに通知表を見せ合うなどして、いらぬ劣等感を抱かせないことと、もう一つあります。
島田昌紀教育長
「(通知表は)教育用語が多くて、小学校低学年の子どもが理解するのは非常に難しい」
具体的にどう書かれているのでしょうか?
【国語】
言葉を通じて積極的に人と関わったり、思いや考えをもったりしながら、言葉がもつよさを感じようとしているとともに、楽しんで読書をし、言葉をよりよく使おうとしている。
【音楽】
音楽の要素を聴き取り、それが生むよさや面白さ、美しさを感じ取り、それらと聴き取ったこととの関わりについて考え、表現について思いをもち、曲や演奏の楽しさを見いだし、音楽を味わって聴いている。
子供が小学3年
「どうして、これが〇だったのか。子供が見て捉えるには難しいのかなっていうふうに思いました」
評価は、「◎」「〇」「△」の3段階ですが、結果的に児童も保護者も“◎”の数に注目してしまっているといいます。美濃市民の受け止めは?
子供が小学3年
「1、2年生のうちは評価されてる意味もよくわからないっていうところもあったし、〇△◎とつけなくてもいい」
子供が小学4年
「そこを見てやっぱり頑張ろうっていう気持ちになる子もゼロではないと思うので、どうなるか様子を見ていきたい」
「成績示して」廃止→復活の学校も
藤森祥平キャスター:
自分が小学生の頃に通知表がなくなるなんてことを考えたこともありませんでしたけど、いろんな意見ありそうですね。
小川彩佳キャスター:
1、2年生ですから、通知表がなくても先生とコミュニケーションをとる中で学校内での子供の様子がわかれば保護者としては安心できるのかもしれない。
要らぬ劣等感を抱くのは良くないという理由で、美濃市では小学1、2年生の通知表の廃止に至ったということですが、日本の若者の自己肯定感の低さは他国との調査の中でも問題となっていますから、大きな挑戦だと思います。
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
子供が2年生でドイツの現地の学校に行っているので、全然勉強できなかったらどうしようとか、通信簿で見ないといけないので心配でした。
ドイツは、先生と子供が面談をしながら、子供が自分の点数を自己評価でつけて、それに対して先生が「そうかな」「確かにそれよくできてたね」みたいな感じでコメント、誘導しながら、納得いく点数をつけていくシステムでした。そういうのもいいなと思いました。
藤森キャスター:
日本でもいろんな取り組みがあります。神奈川県茅ケ崎市の小学校では、2020年度に全学年で“通知表”を廃止しました。ただ、児童保護者教員から賛否の声があって、昨年度末に“通知表”を復活させました。現場も試行錯誤です。
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
こういうのに対して、「ゆとり教育の復活ではないか」みたいな意見もあると思いますが、低学年なので、のびのびやればいいと思います。
日本は小学校3年生になると受験戦争が非常に強いので、それも含めて考えていかなきゃいけないと親としては思います。
小川キャスター:
あと通知表の中身ですよね。通知表の文言の難しさなどがVTRにもありましたが、そうしたところも改革していく必要もあると思います。
藤森キャスター:
実際に本人が通知表をもらって、次の通知表をもらったときに、それが伸びているなって成長を感じて自信に繋がるといいですよね。通知表はもらいっぱなしで終わることが多いので、先生とやり取りするというコミュニケーションが一つのヒントになると思いました。
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
〇とかをつけているだけだと、音楽など〇でも◎でもなぜそうなのかがよくわからないと伸ばしようがない。先生が勝手に好き嫌いでつけているのではないので、もらいっぱなしはよくないと思います。話し合いが一番大事だと思います。
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<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学准教授 専門は経済・ 社会思想
ドイツ在住 著書『人新世の「資本論」』
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