和やかな雰囲気で行われた日米首脳会談。国内では「成功だった」との声もあがっていますが、アメリカメディアからは「関税回避のためトランプに媚びた」と厳しい意見も。皆さんは、どう評価しましたか?
【写真で見る】日米首脳会談は“成功”か アメリカメディアの評価
日米首脳会談 アメリカメディア「トランプに媚びた」
9日、現職の大統領として初めてアメリカンフットボールの頂点を決める「スーパーボウル」を観戦したトランプ大統領。
そのトランプ氏が10日に発表する見通しなのが、世界中に影響を与える工業製品への新たな関税です。
トランプ大統領
「アメリカが輸入するすべての鉄鋼製品に25%の関税を課す。アルミニウム製品にもだ」
さらに、トランプ大統領は「おそらく火曜日か水曜日に『相互関税』について記者会見する」とも発言しました。
「相互関税」とは、貿易相手国がアメリカの輸入品に課しているのと同じ関税をアメリカ側も課すこと。11日か12日に導入を発表すると明言しました。
日本にとっても影響は免れない”トランプ関税”。7日、石破総理はトランプ大統領と初めて首脳会談に臨みましたが、アメリカメディアは…
ワシントン・ポスト
「日本のリーダー、関税回避のためトランプに媚びる」
ニューヨーク・タイムズ
「トランプを口説き落とすため、ごますりを駆使する」
一方で、評価する声もあった会談。冒頭、石破総理はトランプ大統領をいきなり絶賛します。
石破総理
「狙撃をされたときにひるむことなく立ち上がられ、拳を天に突き上げて。あの写真はおそらく歴史に残る1枚だったと思います」
その上で、アメリカへの投資額を1兆ドル(約150兆円)の規模まで引き上げたいと伝えたということです。
今回の会談、政府関係者は「周到に対策を練ってきた」と話します。
訪米前には各省庁の幹部らと連日勉強会をおこない、「トランプ氏を否定しない」「結論は先に言う」などを確認。
さらにトランプ大統領へのお土産として、石破総理の地元・鳥取の「金の兜飾り」を贈ったということです。
人形のはなふさ 英智哉 社長
「外務省の方からも海外の方にお土産を持っていきたいので、兜が欲しい言う要望でしたので、特にどなたにと言うのはお聞かせいただいていなかったので、本当に聞いたときはビックリでした」
また周到な対策の成果なのか、こんなジョークも。
石破総理
「(トランプ氏は)テレビで見ると声高でかなり個性強烈で、恐ろしい方だという印象がなかったわけではありませんが。強い使命感を持たれた方だということを、お世辞全く抜きでそのように感じた」
一方のトランプ大統領は、和やかな雰囲気の中でも日本へのプレッシャーを忘れません。
トランプ大統領
「日本との貿易赤字は1000億ドルを超えているが、直ちに解消するつもりだ」
貿易赤字の解消に向け、日本にも関税をかけるのか問われたトランプ氏は…
トランプ大統領
「請求されれば、こちらも請求する。決まった関税額にはしないつもりだ」
どの国に対しても相互関税を課す考えを示しました。対する日本は…
記者
「もし日本の輸入品にアメリカが関税をかけたら、日本は報復しますか?」
石破総理
「『仮定のご質問にはお答えいたしかねます』というのが、日本のだいたい定番の国会答弁でございます」
トランプ大統領
「いい答えだ。いいね」
日米首脳会談…政府関係者「全部よかった」 USスチール問題、日本にメリットは?
小川彩佳キャスター:
記者団が沸くような瞬間もあったようですね。経済面で動きがみられましたが、この首脳会談をどう評価しますか。
23ジャーナリスト 片山薫さん:
政府関係者は、基本的には「全部よかった」と言っていました。
私としては、対米投資「150兆円」〇、液化天然ガスを買う△、USスチールに「投資」△、相互関税?と評価します。
その中では、対米投資「150兆円」という数字は、はっきり成果が出たように思います。実は2023年時点で120兆円ほどしているので、そこに少しプラスすれば届く数字です。150兆円は、ドルになおすと1兆ドルにあたるので、大台を超える分かりやすい数字がトランプ大統領に響いたのではないかといわれています。
一方で、USスチールへの投資という点は不透明です。買収したい日本製鉄が、トランプ大統領の「買収ではなく投資」という言葉をどう受け取れば良いのか。日本製鉄の橋本会長が今週訪米し、トランプ大統領と会うということなので交渉の余地が出てきているところです。林官房長官が「これまでとは全く異なる大胆な提案を検討する」と発言しているので、期待できる部分があるのかもしれません。
10日夜、日本製鉄の幹部は取材に「大胆な提案をしたわけではない」「トランプ大統領の話を聞いてみないとわからない」と答えているので、政府から企業にボールが投げられた状態です。
小川キャスター:
「頼むよ」ということなのでしょうか。
23ジャーナリスト 片山さん:
ある意味「日本製鉄がんばれ」という応援かもしれませんが、実際にそれができるのか、アメリカの世論がどうなるか…まだ見えない状況かと思います。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
林官房長官のもとに外務省や経産省のチームがあり、トランプ大統領の「買収はさせない」という面子を立てる代わりに、投資という形で“実質は取る”作戦で臨んでいます。
例えば、今まで株をすべて買うと言っていたのを4割ほどに抑えて、じわじわと日本製鉄の影響力を高めていくなどでしょう。資金力・技術力は圧倒的に日本製鉄が強いので、それをしばらくやれば、いずれ事実上の買収のような形にできるというのが政府側の作戦です。
トランプ大統領にその作戦は伝わりましたが、日本製鉄側がすべてを理解しているとは限りませんから、今週以降、日本製鉄とトランプ大統領の話し合いになると思います。ただ、日本製鉄もゼロになるよりは“マシ”ですから、考えていくでしょう。
トランプ氏「相互関税」 日本に影響は?
小川キャスター:
相互関税の評価はなぜ「ハテナ」なのですか?
23ジャーナリスト 片山さん:
そもそも相互関税というのは新しい概念です。
例えば、自動車が日本とアメリカを行き来する場合、日本の車をアメリカに輸出する際は2.5%の関税がかかりますが、アメリカの車が日本に輸入される際は0%で関税がかかりません。国の得意分野によって変わる関税を、うまく合わせるのが相互関税だとトランプ大統領は言っています。
EU・アメリカ間の関税については、アメリカの車をEUに輸出する際は10%の関税、EUの車をアメリカに輸入する際は2.5%の関税とずれていますが、これを一緒にすべきというのがトランプ大統領の考え方です。
今までの2.5%から10%に引き上げるという脅しで、引き上げられるとEU側も困りますから、このように関税率を合わせていくというのが「相互関税」といわれています。
小川キャスター:
日本への影響はどうみていますか。
23ジャーナリスト 片山さん:
そもそも日本の工業製品には関税があまり多くかけられていないので、それほど影響がないのではないかといわれています。
ただ、唯一、心配されているのがお米です。お米については、日本からアメリカへ輸出する場合は約20円/kg、日本がアメリカから輸入する場合は341円/kgとなっているので、もしかしたらトランプ大統領は「一緒にする」と言ってくるかもしれません。
アメリカに日本のお米を輸出する場合に関税がかけられることになり、「それが嫌なら自分たちも関税を下げて」という交渉をされる可能性はあります。
相互関税の狙いの多くは日本に対してというより、中国やインド、EU、ブラジルなどといった国への打撃を狙ったものではないかとみられているので、日本への影響は少ないのではないでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
相互関税といいながら、日本はお米や肉に関税をかけているので、そこに対して「関税を下げろ」と言ってくるでしょう。アメリカがその分を上げるというのは、次のステップになると思います。
藤森キャスター:
今回の会談についてアメリカメディアは、「トランプを口説き落とすためのごますりを駆使する」という見出しで伝えています。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
石破総理は、今回がトランプ大統領と初めての会談なので、ある程度ご機嫌をうかがう必要はあったと思いますが、釘をさすべき点が二つあったと思います。
▼一つは関税です。関税を恣意的にやっていくことは世界の自由貿易のためにならないし、アメリカの物価が上がるのでアメリカにとっても良くないということを、石破総理は言うべきでした。
▼もう一つは法の支配です。日本とアメリカが共同して、中国に対して「法の支配を守れ」とずっと言ってきましたが、今回は共同声明でも記者会見でも「法の支配」という言葉は一言も出ていません。トランプ大統領はガザから追い出したり、国際法に反するようなことをやっていますから、どうやらあまり法の支配という言葉が好きではないようです。
日本が忖度して「法の支配」という言葉を使うのはやめようということだったみたいですが、ヨーロッパの首脳は「石破総理は大事なことを言わないで、トランプ大統領に取り入ろうとした」と感じるでしょう。石破総理は世界的な信用度を落としたかなという、マイナス面はあると思います。
『日米首脳会談』について「みんなの声」は
NEWS DIGアプリでは『日米首脳会談』について「みんなの声」を募集しました。
Q.今回の日米首脳会談 どう評価する?
「大いに評価する」…16.6%
「どちらかといえば評価する」…45.8%
「どちらかといえば評価しない」…14.0%
「ほとんど評価しない」…18.9%
「その他・わからない」…4.7%
※2月10日午後11時09分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは11日午前8時で終了しました。
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