兵庫県・宝塚市に254億円の寄付がよせられました。「老朽化した病院の建て替えに使ってほしい」と寄付したのは70代の夫婦でした。どんな方なのでしょうか。
【写真を見る】夫婦が約254億円を寄付し、建て替えが必要な宝塚市立病院
70代夫婦が約254億円を寄付 いったいなぜ?
小林由未子キャスター:
兵庫県宝塚市の70代の夫婦が約254億円の寄付を行いましたが、なぜ寄付を行ったのでしょうか。
まず、寄付をした先は「宝塚市立病院」です。この病院は31の診療科、約400の病床を備え、地域医療の拠点を担ってきた病院ですが、老朽化で建て替えに約400億円必要となっていたそうです。
そこで夫婦は、建て替え費用の250億円。さらに手術支援ロボットの導入・運用費約4億円の合わせて約254億円の寄付を行ったということです。
なぜこの夫婦が病院に寄付を行ったのか。そして、我々個人が行う寄付も最近は多様化してきているということで、それも合わせて見ていきます。
まず、寄付をしたのは夫婦は70代で元会社役員の岡本さん夫婦です。阪神・淡路大震災でボランティアをしたことがきっかけで「福祉の大切さ」に気づき、2002年、数十億円かけ福祉やボランティアの支援施設整備財団を設立しました。
ただ、この財団が解散となり、運営を宝塚市などに移管させるために市と今後について相談を行っていました。そこで、病院の建て替えが必要ということを知り、「宝塚市民のためになるのでは」と思い、夫婦で話し合い、市に寄付を行ったということでした。
日比麻音子キャスター:
約254億円というお金は、宝塚市の未来に向けても大きな寄付なりましたね。
パナソニック社外取締役 ハロルド・ジョージ・メイさん:
心が温まりますね。こういうのがきっかけで他の方もこういうことをしていただけると本当にありがたいですよね。
今ちょうど日本の個人寄付額が約1兆2000億という数字が出ましたが、日本の人口の約44%が年間で何らかの金銭寄付をしているそうです。アメリカも約46%なので似たようなものですが、額が全然違います。総額で約1兆2000億円ですが、アメリカは約30倍の約34兆6000億円です。人口が2倍いるからということもありますが、約30倍はすごいですよね。
なぜこんなことになるのかというと、海外は寄付をすると所得税が減るとか、所得から引くことができるなど、税金の優遇が非常に多いからです。もちろん日本もできますが、海外と比べると限度額が非常に低いです。海外はインセンティブがあるということで多いようですね。
日比キャスター:
日本でも最近は「ふるさと納税」で少し近づいてきている感じもしますよね。
“返礼品はなし” 「ふるさと納税」のお得以外の魅力
小林キャスター:
日本でも最近は「個人による寄付」が増えているそうで、個人寄付額は1兆2126億円(2020年)で、10年間で2.5倍に増えています。その寄付のきっかけは「ふるさと納税」だそうです。(日本ファンドレイジング「寄付白書2021」より)
例えば、愛知県碧南市に100万円以上の寄付をすると、市が運営している「明石公園の遊園地一日貸し切りプラン」というものが過去にありました。(※現在は終了しています)
碧南市の担当者に話を聞くと、「寄付金の一部は市営の公園・遊園地などの遊具の修繕に使われる」ということでした。
ただ、100万円以上という決して安くない寄付額にもかかわらず、2014~2021年の間に7人が13回の寄付を行いました。そして、寄付者全員が「貸し切りの権利は子どもへプレゼントしてほしい」ということで、児童養護施設の子どもが休園日に貸し切りを楽しんだということです。
最近では「寄付の使い道」を選べる自治体も増えています。
例えば、宮崎県都城市は寄付額が全国1位ですが、使い道の1位は「子育て支援」だそうです。その結果、2023年4月からは保育料が完全無料になりました。
広島県神石高原町では「犬の殺処分ゼロの活動費」に充てられたり、鳥取県琴浦町では「桜の植樹費用」に充てられたりと、本当に幅広いものに寄付が行われています。
日比キャスター:
寄付というのは誰かのためでもありながらも、自分が社会や行政に参加する手段になることもあるわけですね。
「飲んで寄付」「歩いて寄付」 変わる“寄付のカタチ”
小林キャスター:
変わる寄付の仕方ということで、寄付の仕方も多様化しています。
「飲めば飲むほど寄付に」ということで、都内のバーなどで月1回程度「キフバー」というものが開催されています。参加費1000円で1ドリンク付きです。
ボランティアの支援者などが店内で活動内容を約5分間プレゼンし、参加者は賛同した団体を選んで寄付することができるというものです。ドリンク代などの一部が寄付に繋がるということで、累計参加者は2555人、寄付総額は約282万円となっています。
さらに、「歩いて寄付」という参加型のものもあります。
「WAFCAチャリティラン&ウォーク」というアプリをダウンロードして行います(参加費は1000円~)。歩いた歩数に応じてアジアの子どもたちに車いすを寄付することができるというものです。
全国から721人が参加し、3週間で合わせて約8300万歩集まり、車椅子75台、バリアフリー工事2件が寄付されたということでした。
日比キャスター:
寄付をするとなると、「自分の何かを削って、頑張って捻出する」というようなイメージがありますが、「WAFCAチャリティラン&ウォーク」というアプリのように、自分にも利益があり、相手にも利益があるということも関係性として築けるということですよね。
ハロルド・ジョージ・メイさん:
寄付の形が色々選べるだけではなく、ただ単にお金がどこかに役に立つだけではなく、その形にして寄付するというのもできますよね。
例えば、大谷翔平選手がグローブを6万個寄付しましたよね。もちろんお金はお金なんですが、物として寄付するというのも素敵なやり方なので、形も色々工夫ができますよね。
日比キャスター:
最近は「クラウドファンディング」という言葉もかなり身近になってきて、インターネットでも簡単にできますからね。
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<プロフィール>
ハロルド・ジョージ・メイさん
日本コカ・コーラ副社長やタカラトミー社長などを歴任
現在パナソニック社外取締役 アース製薬社外取締役など
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