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寒い冬にぎっくり腰が多い・子供は腰痛にならない…わけではなかった 医師が解説する、「レッドフラッグ」と予防法

国内
2025-02-03 07:00

寒さが厳しくなる冬、よく聞かれるのは「ぎっくり腰」。急激な痛みで動けず、大変な思いをしますが、実は寒さは関係ないそうで──。「ぎっくり腰」になりやすい人の特徴、日常生活での予防法などについて、北千葉整形外科の理事長の寺門淳さんに話を聞きました。


ぎっくり腰に寒さは関係ない? そもそもぎっくり腰とは

──「寒くなってきて腰が痛い」という人が増えた印象がありますが、寒くなるとぎっくり腰になりやすいのでしょうか?


寺門淳さん:
冬場にぎっくり腰になる患者さんが多いという医学的データはありません。同じ痛みの刺激でも、温度によってより刺激を感じやすくなるのかもしれません。


──ぎっくり腰とはどのような状態を指すのでしょうか?


例えば、夏から痛みが出て、3か月経って病院を受診されて「これはぎっくり腰ですか?」と聞かれたら、「いや、それはもうぎっくり腰とは呼ばないです」と説明します。3か月以上痛みが続くものは「慢性腰痛」と言うからです。


つまり、ぎっくり腰は急に痛みがでた「急性腰痛」を指す言葉であって、「病態」のことを意味します。「病名」ではないということですね。


──ぎっくり腰になりやすい人の特徴は?


運動をしていない人は腰痛になりやすいと言われています。あとは、腰に負担のかかるような職業の人。喫煙が腰痛との関連があるという報告もありますが、関係あるのかはまだはっきりしていません。


──肥満の人が腰痛になりやすい、逆に痩せた人はなりにくいといったことはあるのでしょうか。


肥満の人が腰痛になりやすいというよりも、日頃からあまり運動をしていない人がなりやすいと考えられます。したがって、痩せた人でも、運動をしておらず、筋力や体力がない人は腰痛になりやすいと考えられます。


肥満な人でも痩せている人でも、腰を支えている「体幹筋」が弱っている人は腰にかかる負担をサポートできなくなっている可能性があると思います。


「レッドフラッグ」の腰痛には“要注意” 場合によっては精密検査も…

──突然、ぎっくり腰になってしまった場合はどうしたら良いですか?


身動きができないぐらい痛い場合は、病院に行って痛み止め(消炎鎮痛剤)などを処方してもらうのが良いと思います。あとは楽な姿勢になって、強い痛みをやり過ごします。


ただ、急性腰痛の中には「レッドフラッグ」というものがあり、レッドフラッグに該当するような腰痛というのは、レントゲンを撮ったり、血液検査をしたり、場合によってはMRIなどの精密検査をしたりした方が良いです。


どういうものがレッドフラッグなのかというと、胸部の痛みを伴っていたり、発熱していたり、足がしびれたり、体重減少を伴ったりする腰痛などがあります。あとは、年齢が20歳未満だとか、逆に年齢が50歳以上だとかも当てはまります。色々なレッドフラッグの条件がありますが、患者さんがそれを覚える必要はありません。


──精密検査で他の病気が見つかることもあるんでしょうか?


身近な例でいうと、高齢者が急に腰が痛くなったりすると、「いつの間にか骨折」と言って、いつの間にか背骨が折れていることがあります。50歳以上の人の腰痛は基本的にレッドフラッグなので、50歳以上の人は腰が痛くなったら、基本的には整形外科でレントゲンを撮るべきです。


──もしぎっくり腰になった時は、冷やすのと温めるの、どちらが良いでしょうか?


大抵の場合は温めた方が和らぐ人が多いようですが、サウナに入って汗をかいたら腰痛が治るわけでもなく、冷やしたら腰痛が引くなどというエビデンスもないです。


腰を痛めた時、湿布などを貼って治療をしますが、湿布を貼る目的は冷やすことではありません。最近の湿布には消炎鎮痛薬が含まれており、それが局所の痛みを緩和するのです。


冷やすのと温めるのとどちらが良いのかの結論としては、本人の気持ちの良い方法で良いということになります。ただし、発熱を伴う腰痛の場合には、温めない方が良いですね。


──ぎっくり腰にならないようにするための予防法は?


同じ姿勢を長く続けないというのが一つです。腰に負担のかかるような姿勢を長時間維持していると、腰痛は出やすくなります。


例えば、中腰の姿勢や、ずっと座ったままの姿勢というのは腰に負担がかかります。そういう姿勢を長時間しなければならない時には、合間に椅子から立ち上がって腰を伸ばしてストレッチをするのが良いと思います。


──ぎっくり腰になりにくい座り方はあるのでしょうか?


やはり良い姿勢で座る方が腰にかかる負担は少ないです。前かがみになっているような座り方が一番腰に負担がかかると言われています。普通に座った姿勢よりも少し前傾の姿勢ですね。


逆に、後ろにふんぞり返ったような姿勢も腰には負担がかかるので、やっぱりニュートラルな背筋を伸ばした姿勢が腰にかかる負担は一番少ないと言われています。


ただ、良い姿勢であっても同じ姿勢を何時間も続けていると腰に負担がかかるので、合間に椅子から立って、少し背伸びをしたり、ストレッチをしたりするのが有効だと言われています。1〜2時間に1回はしたほうが良いと思います。少し歩くのも良いと思います。


──腰に良い寝方はありますか?


腰痛の時に、腰に負担の少ない寝方としては、自分が一番楽な寝方が良いと言われています。楽な寝方で多いのが、横になって少し丸くなる寝方が腰には負担が少ないようです。


「子どもは腰痛にはならない」という思い込みは大人の勘違い

──子どもでも腰痛になってしまう場合はあるのでしょうか?


特に運動している子どもが腰痛になった場合には、「腰椎分離症」という病気になっていることが多いです。これは腰の疲労骨折です。小学生の腰痛は、保護者や指導者が「子どもは腰が痛くなることはないだろう」と思ってしまうようです。


しかし、実は子どもでも腰痛はあるし、「腰椎分離症」という病気はほとんどが子どもの時に発症します。


ですから、子どもが1週間以上続くような腰痛を訴えている場合にはレッドフラッグに該当しますので、整形外科を受診していただきたいです。早期に発見して治療を開始すれば大抵は治りますが、発見が遅れると骨の癒合が難しくなります。


保護者や指導者の方は、是非ともこの病気のことを頭の片隅に覚えておいていただきたいです。


──子どもの時は運動のしすぎに注意しなければならないということですか?


腰椎分離症の予防としては、準備運動をしないでいきなり運動をやることに注意が必要で、運動自体が悪いわけではないです。


特に小さな子どもの場合は、準備運動の意味や大切さがよくわからなかったりするので、準備運動をいい加減にやって、急に運動することが多いと思うんですが、そういう子どもは怪我をすることが多いです。


大切なのは保護者、指導者がしっかりと準備運動を指導するということ。その上で、運動のやり過ぎに関しては保護者、指導者が管理していく必要性があると思います。


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