
72年ぶりの開催となるアメリカ女子プロ野球リーグ「WPBL(Women’s Professional Baseball League)」が日本時間2日に開幕した。ニューヨーク・ハイツからドラフト7位指名を受けた米谷奈月(24、埼玉西武ライオンズ・レディース)は「先駆者として挑むわけなので、夢を持ってくれる女の子たちが増えてくれればいいなと思うし、女子野球の選択肢を広げてあげられるような人になりたい」と決意を語った。
群馬県出身の米谷は神戸弘陵学園高(兵庫)から尚美学園大(埼玉)に進学。その後は埼玉西武ライオンズ・レディースに入団した。高校時代には侍ジャパン女子代表(U-18マドンナジャパン)に選出され、第2回BFA女子野球アジアカップでは日本の連覇に貢献。攻守に高い能力を誇る外野手として、昨年8月のトライアウトを突破し、アメリカ挑戦への道を切り開いた。
「ベースボール」を学び成長へ
今回のアメリカ挑戦は約2か月間。同リーグはボストン、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコの4球団で構成される。2日の開幕戦ではロサンゼルス・クイーンズからドラフト1位指名(全体2位)を受けた里綾実投手(36、埼玉西武ライオンズ・レディース)を擁するロサンゼルス・クイーンズとの対戦となった。2番・ライトで先発出場した米谷は、4打数2安打をマーク。チームは10ー8で敗れたものの、米谷にとって新たな挑戦の幕開けとなった。
「楽しんで、自分のできることはやろう」と意気込んでいた米谷。一方で日本との野球文化の違いを肌で感じ、自身の成長に繋げたい考えも示した。「パワーの違いとか、『野球』と『ベースボール』って違うと思うので『ベースボール』のいい部分を日本に持ち帰りたい。例えばバットを振る力とか、速い球を投げる方法とか何かアメリカで学んで、ライオンズに還元できたらなっていう思いはあります」。
具体的な目標にはOPS(打撃指標)の重視を挙げる。「1.0いけばスーパースターだけど、1.0に届くぐらいの数値は残していきたい」。さらに現地では「日本人でもボール飛ばすぞって思われたいし、走攻守の部分でもレベルが高いと思われたいです」と日本人選手の存在感を示すことも目標に掲げた。
また、初の海外生活となる米谷は自身の成長にも期待を寄せる。「周りと一緒は駄目だっていう世界だから、何か一つでも自分の強みっていうのを自分自身がわかって、周りから見ても何か変わったなって。自分も何か変わったって思えるような2か月間にしたい」。
“いつかイチローさんとプレーを”未来に繋ぐアメリカ挑戦
今回の挑戦には、自らのキャリアだけでなく、女子野球界全体への思いも込めた。女子高校野球の夏の選手権は史上最多70チームが出場。1日に阪神甲子園球場で決勝を迎え、米谷の母校である神戸弘陵が2年ぶり5度目の優勝を果たした。米谷は「最高の仲間と最高な球場で一生の思い出が作れたと思います。私も後輩たちに負けないように頑張ります」と母校の活躍に刺激を受けるとともに、自身も新天地での活躍を誓った。
女子野球への注目は着実に高まっている。9月には6年目を迎える「高校野球女子選抜 vs イチロー選抜 KOBE CHIBEN」が東京ドームで開催予定。女子野球の普及に尽力するイチロー氏の取り組みについて、米谷は「ありがたいという言葉しかない」と感謝を口にした。「日本で女子野球を広めるって、誰がやっていいかもわからないし、どうやっていいかもわからない状態。プロ野球やメジャーリーグですごく活躍された方が、女子野球の世界に来てくださるっていうのは恵まれた環境になっていると思います」。そして「いつかイチローさんたちと一緒にプレーがしたい」と憧れも明かした。
多くの人の支えを胸に、新天地へ飛び込む。「いろんな人が関わってくれて、アメリカまで行ける。1人では何にもできなかったから感謝の気持ちを持って、応援してくれる方々の期待に沿えるように。結果で恩返しできるように頑張りたい」。夢を追い、自らの成長と女子野球の未来を切り開くための2か月。米谷の挑戦が、新たな可能性を広げる第一歩となる。
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