34年ぶりに東京で開催される「東京2025世界陸上」。今年9月の開幕を前に、これまで歴史に名を刻んだ伝説のアスリートたちを紹介する。
【一覧】9月13日開幕『東京2025世界陸上』日程&出場選手
2023年ブダペスト大会の女子400mハードルと女子4×400mリレーで、金メダルを獲得したオランダのフェムケ・ボル(25)。同大会のひとつの名場面となったのがボルの“ラスト5m”だ。初日の混合4×400mリレーで転倒するアクシデントからの2冠。悲劇と歓喜が交錯する、激動の9日間となった。
世界陸上、開幕早々の悲劇
2023年、ハンガリーの首都ブダペストは世界陸上の熱気に包まれていた。その開幕早々、世界中の陸上ファンを騒然とさせたのは、オランダの注目選手、ボルのまさかの途中棄権だった。400mハードルの選手であり、リレーでも活躍しているボルにとっての大会最初の種目は、初日に行われた混合4×400mリレーだった。
オランダチームのアンカーを託されたボルの走りは誰もが金メダルを確信する世界記録ペースだった。しかし最後の直線で、先頭を走るボルをとらえるべくアメリカが熾烈な追い上げを見せ、ボルはゴールまで残り5mのところでまさかの転倒。さらに倒れた衝撃で手から離れたバトンは無情にも転がり、オランダチームは途中棄権となってしまったのだ。ボルの茫然自失の表情が印象的な結末となった。
400mハードル、悲劇を力に変えて掴んだ金メダル
転倒から5日後、ボルは再びトラックに立った。今度はメイン種目の400mハードルだ。予選、準決勝と順調に勝ち進み、決勝の舞台へと駒を進めた。
実況:このボルの速さ、そして強さ。
スタートの号砲が鳴ると同時に、ボルは積極的なレースを展開した。長身を活かしたダイナミックなハードリング技術と見る者を惹きつける爆発的なラストスパートが武器のボル。5台目のハードルを越えた辺りからライバルたちを突き放すと、最後までスピードを緩めることなく51秒70という圧巻の走り。初日の転倒をものともせず、見事、金メダルを獲得した。
「困難にぶつかる時もあるわ。でも私は強い気持ちで臨むの」
表彰台では満面の笑みを浮かべ、金メダルを誇らしげに掲げるボルの姿があった。
最後の5mで劇的な勝利
ボルの快進撃は止まらない。大会9日目、全日程のフィナーレを飾る女子4×400mリレーに出場したボルは、混合リレーと同じアンカーを務めた。3位でバトンを受け取ったボルの視線の先にはイギリスとジャマイカの背中があった。
実況:ボルが来た!ボルが来た!
最後の直線でスパートをかけたボルはまず2位のイギリスを抜き去った。ドラマはラスト5mにあった。ゴール目前でジャマイカを捕らえ、大逆転での金メダル。初日は転倒し涙をのんだ“ラスト5m”での逆転劇に、スタジアムは興奮に包まれた。
翌年のパリ五輪の4×400m混合リレーでもアンカーを務めたボルは、4番手から激走を見せ、オランダが大逆転での金メダルを獲得した。タイムも世界記録に迫る3分07秒43で、世界陸上のリベンジを果たした。
東京2025世界陸上でも圧倒的な実力と不屈の精神を兼ね備えるボルの活躍が期待される。
東京2025世界陸上 女子400mハードル「この選手に注目!」
◆フェムケ・ボル(25、オランダ)50秒95
■2024年パリ五輪
混合4×400mリレー 金、女子4×400mリレー銀、400mH銅
■2023世界陸上
女子4×400mリレー・400mH 金
■2022世界陸上
400mH・混合4×400mリレー 銀
■2021東京五輪
400m 銅
◆シドニー・マクローフリン レブロン(25、アメリカ)50秒37※世界記録
■2024年パリ五輪
女子4×400mリレー・400mH金
■2022世界陸上
女子4×400mリレー・400mH金
■2021東京五輪
女子4×400mリレー・400mH金
■2019世界陸上
女子4×400mリレー金、400mH銀
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