エンタメ
2026-09-25 18:00
劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)が贈る舞台『愛と友情の大脱走~ラブ&ピースフォーエバー~』。1960年代のベトナム戦争を背景にした重厚なテーマを、ミュージカル・アクション・コメディーとして描き出した。
本作で、演出・出演を務める座長の三宅裕司、そしてオーディションで選ばれた米兵トミー役のブレント・オリアンが、お互いの印象や役どころ、結成から今年で47年、まもなく50年を迎える劇団への思いについて語った。(取材・文・撮影:磯部正和)
【動画】三宅裕司とブレント・オリアンが見どころを紹介
■重厚なテーマをコメディーで描く、1960年代の「愛と友情」
――本作は1960年代のベトナム戦争を背景に、ベ平連(ベトナムに平和を!市民連合)がアメリカの脱走兵を支援するという、一見シリアスなテーマです。これをミュージカル・アクション・コメディーとして描こうと考えたきっかけは何ですか。
三宅裕司(以下、三宅):毎年、劇団の新作のために面白い題材を探しているのですが、ずいぶん前にテレビで「ベ平連がアメリカの脱走兵を支援した」という史実を知り、メモしていました。アメリカの文化と日本の文化の違いでギャグが生まれますし、60年代当時のアメリカや日本の音楽も散りばめられます。脱走劇ですから、追手がいることでアクションシーンも作れる。これは面白いコメディーになると考えていました。戦争と平和を声高に主張するというよりは、エンターテインメントに昇華できる題材として惹かれたのがきっかけですね。
――1960年代を舞台にした作品を、今の時代に上演することへの意識はありますか。
三宅:1960年代の日本を振り返ると、全学連の若者たちが集団で抗議行動を起こしていました。現代の若者はSNSなどを通じて個人で意見を主張することが多く、集団で行動することは少ないですよね。その行動様式の違いを、今の若い人たちが見たらどう感じるのだろうという興味がありました。ただ、どの時代であっても「愛と平和」というテーマは普遍的です。当時の若者たちのエネルギーを体感することで、今の日本でどう生きるべきか、何か見えてくるものがあれば良いなと思います。
――本作のストーリーには、さまざまな「愛と友情」が散りばめられているそうですね。
三宅:脱走する米兵個人が母国に抱く愛や友情、彼をかくまう日本人の愛と友情、そして国境を越えた二人が行動を共にする中で生まれる異文化のギャップなど、さまざまな人間模様が描かれます。さらに、米兵と日本人歌手との恋愛や葛藤、逃亡先である田舎の人々の思いなども絡み合い、盛りだくさんな内容になっています。最終的に彼らの旅がどう着地するのか、ぜひ楽しみにしていただければと思います。
■オーディションで出会った二人の相性とキャラクターの魅力
――脱走兵のトミー役を演じるブレント・オリアンさんは、オーディションで選ばれたそうですね。どのような点が決め手になったのでしょうか。
三宅:トミー役には、日本語と英語の両方が話せること、日本人のキャストと並んだときにしっかりと身長差が出ること、そして女性が魅力を感じるような甘いマスクであることなど、いくつかの条件がありました。オーディションに来てくれたブレントはそれらの条件をすべて満たしていましたし、何よりも芝居に対する熱意を強く感じました。コメディーのセンスも備わっていて、彼なら大丈夫だと感じましたね。
――ブレントさんは、オーディションで三宅さんと初めてお会いしたときの印象はいかがでしたか。
ブレント・オリアン(以下、ブレント):実はオーディション当日、三宅さんが審査にいらっしゃるとは思っていませんでした。直前に「三宅さん待ちです」と言われて、とても緊張しましたね。でも、実際にお会いして顔を見た瞬間に、とても優しくて話しやすそうな方だなと感じました。この方となら一緒に仕事ができるのではないかと嬉しくなりました。
三宅:そんなふうに見られていたんですね(笑)。
――ブレントさんは、トミーという役についてどのように演じたいと考えていますか。
ブレント:アメリカにいた時期に、米軍の親友が多くいたので、脱走兵という役柄には共感できる部分がありました。トミーは単に強い軍人ではなく、少し優しそうな雰囲気を持ったキャラクターだと解釈しています。自分の素の部分をうまく引き出しながら演じたいですね。これまではCMなどでおふざけ役を演じることが多かったのですが、今回は最前線から逃げてきた心の傷やセンチメンタルな部分、恋愛の葛藤など、起伏のある複雑な人間性をしっかりと表現したいです。
――三宅さんから見て、ブレントさんのコメディーへの適性はいかがですか。
三宅:アメリカの方は元々笑ったり笑わせたりすることが好きですし、彼自身コメディーの経験も豊富です。日本人のなかにアメリカ人がポツンと一人混ざるだけで、文化の違いから自然と笑いが生まれやすい環境になります。本人の持つ熱意や人間性も素晴らしいので、何も心配はしていません。劇団SETはチームワークをとても大切にしていますが、彼は周囲とすぐに打ち解けて良いチームを作ってくれると期待しています。
■劇団結成からまもなく50年、三宅裕司が語る劇団SETへの思い
――劇団SETは結成から47年を迎え、まもなく50年という節目を迎えられます。立ち上げた当初、これほど長く続くという未来を想像していましたか。
三宅:最初は、自分がやりたい笑いを表現する場所が他になかったので、28歳のときに自分で作ったというのが始まりでした。劇団員たちがアルバイトをしながら活動していると、どうしてもダンスなどの技術レベルを上げる時間が限られてしまいます。そこで、みんなが芝居に専念できるようにと一時期は給料制を導入しました。ハングリー精神が薄れてしまうという別の問題が出て、のちにまた歩合制に変えましたが(笑)。劇団としてのクオリティを高めたいという一心で走ってきました。
――三宅さんご自身がテレビやラジオの司会などで多忙を極めるなかでも、劇団を辞めずに継続されたのはなぜですか。
三宅:本当に過酷なスケジュールで、一時は稽古場に行くことすら辛い時期もありました。自分のやりたいことが分からなくなるような葛藤もありましたね。しかし、(2011年に)脊柱管狭窄症を患って一時入院したときに、「自分は東京喜劇を作るために生きているんだ」と再認識しました。それからは舞台制作を中心にしたスケジュールを組むようになり、劇団が自分にとっての一番の帰る場所になりました。
――劇団では、プレイヤーとしての「役者」と、全体を統括する「演出家」という二つの視点を持たれていますね。
三宅:劇団を続けていくためには、お客さんに「来年もまた見に来たい」と思ってもらえる面白い作品を作り続けることがすべてです。もし自分が役者として目立ちたいだけなら、自分を主役にするような本を作ればいい。そうではなく、作品全体のクオリティを高めるために、常に客観的な演出家としての視点を優先しています。他の演出家の方の作品に出演するときは、完全に一人の役者に徹して、自分の劇団のときとは切り離すようにしています。
――劇団からは多くの俳優が巣立ち、また新しい世代も加入して循環しています。後進の育成において意識していることはありますか。
三宅:毎年面白い作品を作るために、目の前の役者に必要な指導を一生懸命やっているだけです。あえて「育てる」と意識しているわけではありません。ただ、アドバイスをどう受け止めて、どれだけ自分の力にして伸びていくかは役者本人の努力次第だと思います。SETでの経験をきっかけに、外の世界でも勝負できる役者が増えていくことは、私にとっても非常に嬉しいことです。
■舞台ならではの「生のエネルギー」をお客さんと共有したい
――お二人の舞台上での共演シーンは多いのでしょうか。
三宅:トミーが日本各地を移動しながらさまざまな人と出会い、事件が起きていくロードムービーのような構成なので、共演シーンがすごく多いわけではありません。私はベ平連のメンバーとして、要所要所で彼に関わる形になります。ブレントはヒロイン役の劇団員の女優とも逃避行を繰り広げますので、そこでどんなケミストリーが生まれるかも楽しみですね。
ブレント:三宅さんとの共演は本当に楽しみです。三宅さんの持つ素晴らしいコメディーセンスを、稽古場や舞台の上でできる限り吸収したいと思っています。
三宅:舞台の上でお客さんがドッと笑ってくれたときの快感は、一度味わったら忘れられません。アドリブは本番中にはほとんど入れず、稽古期間中に徹底して流れを固めていきます。コメディーを成功させるためには、稽古場自体が楽しく明るい雰囲気であることが不可欠です。稽古場が沈んでいると、舞台上で笑いを跳ね上がらせることはできません。だから、私たちはまず稽古場を全員で楽しく盛り上げることを大切にしています。
――ブレントさんは、演出の厳しさやこれからの稽古に対して、プレッシャーを感じていますか。
ブレント:プレッシャーというよりも、今はただ「やるしかない、うまくやってみせる」という気持ちです。厳しい状況に身を置くことで、より大きな力が発揮できるタイプなので、この挑戦を思い切り楽しみたいと思います。笑いだけでなく、観客の心に届く真剣な芝居を追求したいです。
――50周年に向けて、そして今回の舞台を心待ちにしているファンの皆様へメッセージをお願いします。
三宅:コロナ禍を経て、再び劇場に活気が戻ってきました。50周年に向けて、さらに多くの方に「SETの舞台は面白い」と思っていただけるよう、全力を尽くします。今回の公演は重いテーマを扱っていますが、予備知識がなくても存分に笑って、アクションや音楽を楽しめる娯楽作です。大いに笑ったあとで、今の平和や日本について少しだけ考えるきっかけになれば幸いです。
ブレント:舞台は映画やドラマと違い、客席とステージが一体となる生ものです。お客様のエネルギーを直に感じることで、私たちのお芝居も高まっていきます。感情を隠さず、たくさん笑って、たくさん泣いて、この『愛と友情の大脱走』という物語を一緒に楽しんでください。
三宅:そうですね。万が一、笑わせるつもりだったシーンで客席が静かになってしまったら困りますから、そのときは代わりに大泣きしてください(笑)。全力で良い作品に仕上げますので、劇場でお待ちしています。
【公演概要】
舞台『愛と友情の大脱走~ラブ&ピースフォーエバー~』
・期間:2026年10月29日(木)-11月8日(日)
・場所:サンシャイン劇場
・脚本:吉井三奈子 (※吉=つちよし)
・演出:三宅裕司
・出演:三宅裕司 小倉久寛 劇団スーパー・エキセントリック・シアター
・あらすじ:
1960年代、ベトナム戦争下の日本。脱走兵トミーが、恋人で人気歌手の桜木蘭子に手引きされ、べ平連の事務所に逃げ込んでくる。リーダー永井の指示で、智規と猛はトミーを連れて逃避行へ。潜伏生活の中で衝突を繰り返す2人に、米軍や警察、蘭子が所属する芸能事務所の追手が迫る。果たしてトミーと蘭子の恋の行方は――。60年代のヒット曲を散りばめた、SETならではのミュージカル・アクション・コメディー。
【写真】まもなく50年を迎える劇団SETの主宰を務める三宅裕司
【写真】ビシッと!スーツ姿で撮影に応じる三宅裕司
【写真】寄り添いグッドポーズをする三宅裕司&小倉久寛
【画像】鍛え抜かれた(?)上裸姿の三宅裕司&小倉久寛
【貴重写真】8歳の三宅裕司が使用されたメインビジュアル
本作で、演出・出演を務める座長の三宅裕司、そしてオーディションで選ばれた米兵トミー役のブレント・オリアンが、お互いの印象や役どころ、結成から今年で47年、まもなく50年を迎える劇団への思いについて語った。(取材・文・撮影:磯部正和)
【動画】三宅裕司とブレント・オリアンが見どころを紹介
■重厚なテーマをコメディーで描く、1960年代の「愛と友情」
――本作は1960年代のベトナム戦争を背景に、ベ平連(ベトナムに平和を!市民連合)がアメリカの脱走兵を支援するという、一見シリアスなテーマです。これをミュージカル・アクション・コメディーとして描こうと考えたきっかけは何ですか。
三宅裕司(以下、三宅):毎年、劇団の新作のために面白い題材を探しているのですが、ずいぶん前にテレビで「ベ平連がアメリカの脱走兵を支援した」という史実を知り、メモしていました。アメリカの文化と日本の文化の違いでギャグが生まれますし、60年代当時のアメリカや日本の音楽も散りばめられます。脱走劇ですから、追手がいることでアクションシーンも作れる。これは面白いコメディーになると考えていました。戦争と平和を声高に主張するというよりは、エンターテインメントに昇華できる題材として惹かれたのがきっかけですね。
――1960年代を舞台にした作品を、今の時代に上演することへの意識はありますか。
三宅:1960年代の日本を振り返ると、全学連の若者たちが集団で抗議行動を起こしていました。現代の若者はSNSなどを通じて個人で意見を主張することが多く、集団で行動することは少ないですよね。その行動様式の違いを、今の若い人たちが見たらどう感じるのだろうという興味がありました。ただ、どの時代であっても「愛と平和」というテーマは普遍的です。当時の若者たちのエネルギーを体感することで、今の日本でどう生きるべきか、何か見えてくるものがあれば良いなと思います。
――本作のストーリーには、さまざまな「愛と友情」が散りばめられているそうですね。
三宅:脱走する米兵個人が母国に抱く愛や友情、彼をかくまう日本人の愛と友情、そして国境を越えた二人が行動を共にする中で生まれる異文化のギャップなど、さまざまな人間模様が描かれます。さらに、米兵と日本人歌手との恋愛や葛藤、逃亡先である田舎の人々の思いなども絡み合い、盛りだくさんな内容になっています。最終的に彼らの旅がどう着地するのか、ぜひ楽しみにしていただければと思います。
■オーディションで出会った二人の相性とキャラクターの魅力
――脱走兵のトミー役を演じるブレント・オリアンさんは、オーディションで選ばれたそうですね。どのような点が決め手になったのでしょうか。
三宅:トミー役には、日本語と英語の両方が話せること、日本人のキャストと並んだときにしっかりと身長差が出ること、そして女性が魅力を感じるような甘いマスクであることなど、いくつかの条件がありました。オーディションに来てくれたブレントはそれらの条件をすべて満たしていましたし、何よりも芝居に対する熱意を強く感じました。コメディーのセンスも備わっていて、彼なら大丈夫だと感じましたね。
――ブレントさんは、オーディションで三宅さんと初めてお会いしたときの印象はいかがでしたか。
ブレント・オリアン(以下、ブレント):実はオーディション当日、三宅さんが審査にいらっしゃるとは思っていませんでした。直前に「三宅さん待ちです」と言われて、とても緊張しましたね。でも、実際にお会いして顔を見た瞬間に、とても優しくて話しやすそうな方だなと感じました。この方となら一緒に仕事ができるのではないかと嬉しくなりました。
三宅:そんなふうに見られていたんですね(笑)。
――ブレントさんは、トミーという役についてどのように演じたいと考えていますか。
ブレント:アメリカにいた時期に、米軍の親友が多くいたので、脱走兵という役柄には共感できる部分がありました。トミーは単に強い軍人ではなく、少し優しそうな雰囲気を持ったキャラクターだと解釈しています。自分の素の部分をうまく引き出しながら演じたいですね。これまではCMなどでおふざけ役を演じることが多かったのですが、今回は最前線から逃げてきた心の傷やセンチメンタルな部分、恋愛の葛藤など、起伏のある複雑な人間性をしっかりと表現したいです。
――三宅さんから見て、ブレントさんのコメディーへの適性はいかがですか。
三宅:アメリカの方は元々笑ったり笑わせたりすることが好きですし、彼自身コメディーの経験も豊富です。日本人のなかにアメリカ人がポツンと一人混ざるだけで、文化の違いから自然と笑いが生まれやすい環境になります。本人の持つ熱意や人間性も素晴らしいので、何も心配はしていません。劇団SETはチームワークをとても大切にしていますが、彼は周囲とすぐに打ち解けて良いチームを作ってくれると期待しています。
■劇団結成からまもなく50年、三宅裕司が語る劇団SETへの思い
――劇団SETは結成から47年を迎え、まもなく50年という節目を迎えられます。立ち上げた当初、これほど長く続くという未来を想像していましたか。
三宅:最初は、自分がやりたい笑いを表現する場所が他になかったので、28歳のときに自分で作ったというのが始まりでした。劇団員たちがアルバイトをしながら活動していると、どうしてもダンスなどの技術レベルを上げる時間が限られてしまいます。そこで、みんなが芝居に専念できるようにと一時期は給料制を導入しました。ハングリー精神が薄れてしまうという別の問題が出て、のちにまた歩合制に変えましたが(笑)。劇団としてのクオリティを高めたいという一心で走ってきました。
――三宅さんご自身がテレビやラジオの司会などで多忙を極めるなかでも、劇団を辞めずに継続されたのはなぜですか。
三宅:本当に過酷なスケジュールで、一時は稽古場に行くことすら辛い時期もありました。自分のやりたいことが分からなくなるような葛藤もありましたね。しかし、(2011年に)脊柱管狭窄症を患って一時入院したときに、「自分は東京喜劇を作るために生きているんだ」と再認識しました。それからは舞台制作を中心にしたスケジュールを組むようになり、劇団が自分にとっての一番の帰る場所になりました。
――劇団では、プレイヤーとしての「役者」と、全体を統括する「演出家」という二つの視点を持たれていますね。
三宅:劇団を続けていくためには、お客さんに「来年もまた見に来たい」と思ってもらえる面白い作品を作り続けることがすべてです。もし自分が役者として目立ちたいだけなら、自分を主役にするような本を作ればいい。そうではなく、作品全体のクオリティを高めるために、常に客観的な演出家としての視点を優先しています。他の演出家の方の作品に出演するときは、完全に一人の役者に徹して、自分の劇団のときとは切り離すようにしています。
――劇団からは多くの俳優が巣立ち、また新しい世代も加入して循環しています。後進の育成において意識していることはありますか。
三宅:毎年面白い作品を作るために、目の前の役者に必要な指導を一生懸命やっているだけです。あえて「育てる」と意識しているわけではありません。ただ、アドバイスをどう受け止めて、どれだけ自分の力にして伸びていくかは役者本人の努力次第だと思います。SETでの経験をきっかけに、外の世界でも勝負できる役者が増えていくことは、私にとっても非常に嬉しいことです。
■舞台ならではの「生のエネルギー」をお客さんと共有したい
――お二人の舞台上での共演シーンは多いのでしょうか。
三宅:トミーが日本各地を移動しながらさまざまな人と出会い、事件が起きていくロードムービーのような構成なので、共演シーンがすごく多いわけではありません。私はベ平連のメンバーとして、要所要所で彼に関わる形になります。ブレントはヒロイン役の劇団員の女優とも逃避行を繰り広げますので、そこでどんなケミストリーが生まれるかも楽しみですね。
ブレント:三宅さんとの共演は本当に楽しみです。三宅さんの持つ素晴らしいコメディーセンスを、稽古場や舞台の上でできる限り吸収したいと思っています。
三宅:舞台の上でお客さんがドッと笑ってくれたときの快感は、一度味わったら忘れられません。アドリブは本番中にはほとんど入れず、稽古期間中に徹底して流れを固めていきます。コメディーを成功させるためには、稽古場自体が楽しく明るい雰囲気であることが不可欠です。稽古場が沈んでいると、舞台上で笑いを跳ね上がらせることはできません。だから、私たちはまず稽古場を全員で楽しく盛り上げることを大切にしています。
――ブレントさんは、演出の厳しさやこれからの稽古に対して、プレッシャーを感じていますか。
ブレント:プレッシャーというよりも、今はただ「やるしかない、うまくやってみせる」という気持ちです。厳しい状況に身を置くことで、より大きな力が発揮できるタイプなので、この挑戦を思い切り楽しみたいと思います。笑いだけでなく、観客の心に届く真剣な芝居を追求したいです。
――50周年に向けて、そして今回の舞台を心待ちにしているファンの皆様へメッセージをお願いします。
三宅:コロナ禍を経て、再び劇場に活気が戻ってきました。50周年に向けて、さらに多くの方に「SETの舞台は面白い」と思っていただけるよう、全力を尽くします。今回の公演は重いテーマを扱っていますが、予備知識がなくても存分に笑って、アクションや音楽を楽しめる娯楽作です。大いに笑ったあとで、今の平和や日本について少しだけ考えるきっかけになれば幸いです。
ブレント:舞台は映画やドラマと違い、客席とステージが一体となる生ものです。お客様のエネルギーを直に感じることで、私たちのお芝居も高まっていきます。感情を隠さず、たくさん笑って、たくさん泣いて、この『愛と友情の大脱走』という物語を一緒に楽しんでください。
三宅:そうですね。万が一、笑わせるつもりだったシーンで客席が静かになってしまったら困りますから、そのときは代わりに大泣きしてください(笑)。全力で良い作品に仕上げますので、劇場でお待ちしています。
【公演概要】
舞台『愛と友情の大脱走~ラブ&ピースフォーエバー~』
・期間:2026年10月29日(木)-11月8日(日)
・場所:サンシャイン劇場
・脚本:吉井三奈子 (※吉=つちよし)
・演出:三宅裕司
・出演:三宅裕司 小倉久寛 劇団スーパー・エキセントリック・シアター
・あらすじ:
1960年代、ベトナム戦争下の日本。脱走兵トミーが、恋人で人気歌手の桜木蘭子に手引きされ、べ平連の事務所に逃げ込んでくる。リーダー永井の指示で、智規と猛はトミーを連れて逃避行へ。潜伏生活の中で衝突を繰り返す2人に、米軍や警察、蘭子が所属する芸能事務所の追手が迫る。果たしてトミーと蘭子の恋の行方は――。60年代のヒット曲を散りばめた、SETならではのミュージカル・アクション・コメディー。
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