ダイエットの停滞期脱出、有効なのはズル休み? 「チートデイ」について
2018-08-31 18:30:04
執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)
医療監修:株式会社とらうべ
ダイエットにつきものの「停滞期」は、いわば身体のセーフティー機能です。
ダイエットが順調であるからこその現象と言えるのですが、気持ちの面でダメージがあり「こんなに頑張っているのにどうして!?」と悲観してリバウンドにつながりやすい時期です。
この悩ましい「停滞期」を脱け出す方法として、最近注目され始めているのが「チートデイ」です。
今回は、停滞期のメカニズムやチートデイについてご説明します。
チートデイとは?
あまり聞き馴染みのないコトバかもしれません。
cheat(チート)は「ずるいこと」の意味で、日本語に訳すと「ズルをする日」になります。
チートデイは、食事制限や運動などでダイエットをしているときに訪れる停滞期を脱するために、1日だけ高カロリーの食事を摂る日のことです。
ダイエット中なのに高カロリーな食事をして、その上停滞期を抜け出せる…そんな嬉しいメリットがあるなら、ぜひ取り入れたいところです。
ただし、誤ったやり方をすると、かえってリバウンドの原因になることもあります。
まずは、チートデイと身体の仕組みを正しく理解してから、効果的に取り入れましょう。
停滞期が起こるメカニズム
停滞期が起こる理由は、おもに二つの要因があると考えられています。
ホメオスタシス(恒常性)
ホメオスタシスとは、生命を維持するため体内の環境を一定の状態に保とうとする人体の機能です。
ダイエットでは、食事制限や運動量の増加などによって、消費エネルギーが摂取エネルギーを上回るように調整して体重を落としていきます。
体重は日々減っていきますが、あるとき同じ生活を続けているのに体重が落ちにくくなる時期が訪れます。
摂取カロリーが不足すると、体内に貯蓄したエネルギーを燃やしてまかなう状態が続きます。
身体はこれを「飢餓状態」と認識し、これ以上貯蓄がなくなるのは「危機」と判断するのです。
そして、食事から摂取するエネルギーの吸収率を上げたり、消費エネルギーを抑えたりして、脂肪量や筋肉量を維持しようとする「省エネモード」に切り替えます。
これがホメオスタシスによる停滞期です。
レプチン
レプチンは、食事で体内にエネルギーが補給されると、脂肪細胞から分泌されるホルモンです。
レプチンの分泌によって、脳の視床下部にある「満腹中枢」が刺激されて満腹感を感じ、脂肪の分解を促進します。
つまり、レプチンはエネルギーの過剰摂取を抑制し、摂取したエネルギーの消費を促す、ダイエットには欠かせないホルモンなのです。
しかし、ダイエットなどの食事制限で摂取エネルギーが不足すると、レプチンの分泌量が減ります。
その結果、満腹感を感じにくくなり、食事量が増える、脂肪を蓄えやすくなるなど、体重が落ちにくい状態に陥るのです。
停滞期を乗り越える方法
停滞期は、体重が減少しているからこそ起こる、正しい生体反応とお伝えしました。
よって、さらに厳しい食事制限や運動を続けると、より拍車をかけることになり身体にも負担がかかります。
人間の身体には、ダイエット後の体重を1ヶ月ほどキープすると、それを自分の本来の状態と記憶する機能が備わっています。
つまり、体重が減りにくくなっても、同じ生活を続けていれば1ヶ月ほどで再び体重が減るようになります。
このようなメカニズムを知り、停滞期が訪れたら「体重を増やさない」という目標に切り替え、ダイエット中の生活を変えず継続することが重要なのです。
しかしながら、目に見える効果が感じられないままダイエット生活を続けるのはそう簡単ではありません。
そんな停滞期を乗り越える手段の一つとして話題になっているのがチートデイ。
1日だけ高カロリーな食事を摂取して「飢餓状態ではない」と身体に認識させます。
省エネモードを通常モードに戻し、レプチンの分泌量を正常化するなどの効果を狙って、体重が再び減り始めるようにしよう、という原理です。
チートデイの方法
自分の身体の状態に合っている方法かチェックする
重要なのは、チートデイはたくさん食べて痩せやすくなる…という意味ではなく、飢餓状態をリセットして、痩せやすいモードにするということです。
ですから、身体が飢餓状態と認識していないのにたくさん食べれば、リバウンドの原因につながります。
次の条件に該当する場合は、チートデイの効果が期待できるでしょう。
・食事制限によるダイエットをしている
・体重が減っていたが明らかに減らなくなった
・ダイエットをはじめて3週間~1ヶ月ほど経った
・もとの体重の5%前後体重が減っている
・体脂肪率が男性25%未満、女性30%未満である
実施のタイミング
停滞期は、ダイエットをはじめて3週間~1ヶ月ほどで訪れます。
ですから、そのタイミングで実施しましょう。
チートデイを取り入れるのは1日間です。
その後の頻度は、体重の停滞が起こるサイクルの3週間~1ヵ月おきを目安にしましょう。
短い間隔で繰り返すのは、単に摂取カロリーが増加するに過ぎず厳禁です。
実際に食べるものと食べる量
エネルギーに変わりやすい糖質や脂質を多く含む食事を、通常の食事量以上に摂ります。
明確な量が決められているわけではありませんが、チートデイには1日に体重1kgあたり45kcalを摂ることがひとつの目安とされています。
体重60kgの人であれば、食事全体で1日に2700kcalを摂取することになります。
食事量を中途半端に増やすのではなく、かなりガッツリとエネルギーを摂取することで身体に働きかけます。
翌日以降が重要
高カロリーを摂取した翌日、当然体重は増えますが、ここで燃えやすい身体にリセットされるとその後は体重が減っていきます。
ですから、翌日以降は再びダイエット生活に戻して、体重の減少を確認しましょう。
ただし、チートデイは誰でも成功する…という訳ではありません。
まずはご説明したメカニズムを理解し、チートデイを取り入れた際は、自分の身体の変化としっかり向き合い、場合によっては休止するようにしましょう。
<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku