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外国の食文化を知ろう。 ムスリムの「ハラールフード(=許された食べ物)」

2018-05-04 18:30:21


執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)
医療監修:株式会社とらうべ
日本の街や観光地、さまざまな場所で日常的に外国の方を見かけるようになりました。
多くの国の方が日本の自然や歴史、伝統文化や食文化などに関心を持って来日し、新たな交流が育まれていきます。
これはとてもありがたいことです。
さて、東京オリンピックもそう遠くはありません。
私たちも外国の習慣や文化を理解して「おもてなし」をする準備が必要になってきます。
そんな一つとして今回は「ハラールフード(食事)」を取り上げてみました。

ハラールとは?


イスラーム法では「合法的に許される物・行為」のことを「ハラール(ハラル)」と呼ぶそうです。
食べ物についてだけではなく、生活全般の物事にかかわるといいます。
反対に「禁じられている行為や物」という意味を持つ言葉が「ハラーム(ハラム)」です。
「ノンハラール(ノンハラル)」という人もいるようです。
日本ハラール協会(※)によると、ハラールにはもう一つ「健康的、清潔、安全、高品質、高栄養価」という意味があるとのこと。
とくに食品には細かくハラールが適用されています。
※NPO法人日本ハラール協会(https://jhalal.com/)

ハラールフード


現在全世界に16億人以上いるといわれるイスラーム教徒。
戒律に従って食べているものが「ハラールフード」です。
おもに次のような特徴(概要)があります。

豚肉はハラーム(厳禁)


豚肉は食べることを禁じられているだけでなく、豚由来の調味料やだしの入ったスープ、豚を調理した道具で調理された食材、豚を運んだトラックや冷蔵庫で保管された食材、豚が配合されたエサを食べた家畜、豚由来の医薬品や化粧品など派生物も含めNGです。

アルコールもハラーム(禁忌)


お酒はもちろんのこと、厳格な人たちは、たとえば醤油やみりん、味噌のような発酵過程でアルコールが自然産生される調味料もハラームと見なします。
一方で、濃度が規定値以下ならハラール(許容)という、緩やかに考える人もいるようです。
同じハラームなものでも、対象によって違いがあることを知っておくとよいでしょう。

「ハラール」と「ハラーム」あれこれ


食に関しては次のような掟が定められています。(※)

ハラーム(禁止)なもの


◆ハラールに屠殺されていない動物
◆不浄(清潔でない)なものを含んだもの(とくに犬と豚)
◆毒物、健康に害のあるもの、泥酔性のあるもの(とくにアルコール)
◆不浄に触れた器具を使用して製造されたもの
◆人体的なものが含まれたもの
◆牙をもち、その牙で獲物をとる動物(トラ、クマ、象、ネコ、サルなど)
◆捕食動物(鷹、フクロウなど)
◆害虫や毒性を持つ動物や昆虫(ネズミ、ゴキブリ、サソリ、蛇、蜂など)
◆イスラーム法で殺したり食べたりしてはいけない動物(ミツバチ、キツツキ、ロバ、ラバなど)
◆不快なもの(のみ、シラミなど)
◆ハラールな動物でも餌などで不浄なものを与えられたもの
◆水と陸の両方で生きられる動物(ワニ、カメ、カエルなど)

ハラール(許可)なもの


◆上記のハラームなもの以外
◆水の中以外で生きられない生物(魚類)
◆調理の際に毒性を取り除いた場合(フグなど)
◆植物、キノコ類や細菌類、ミネラルとケミカル、飲料。遺伝子組み換え食品については、毒性や泥酔性そして健康に害がなければハラール
なお、ハラールに処理された食品は、ムスリム(イスラム教徒)だけでなく誰でも食することができます。
※NPO法人日本ハラール協会(https://jhalal.com/)

「ハラール認証」


ハラールフードには、このほかにも食材、調理方法、流通過程などについて、細かく厳格なルールが定められています。
故に、イスラーム教徒の人たちにとって外国の飲食店で食事するのは難しいといわれています。
そこで、1970年ころから「ハラール認証」という、専門家がハラールと認証する制度ができました。
取得には次のような厳しい基準をクリアしなければなりません。

ムスリムのオーナーまたはシェフが在籍している


アルコールを販売しない


提供しているすべての食材や調味料がハラールフード

 など
ハラール認証を取得するとアラビア語で作られた独特のロゴマーク(※)を使用することが許可されます。
※一般社団法人ハラル・ジャパン協会(http://www.halal.or.jp/halal/)

相手の文化・習慣を尊重する


食生活はもっとも身近で重要な習慣です。
その民族の特徴や価値観、地域性が色濃く反映される文化といえます。
「豚とアルコールはNG」という戒律は、一般的な日本人の食習慣からすると「ありえない」と感じるかもしれません。
しかし、ムスリムを「可哀そう」「不幸」などと思うのは、自分の価値観で物事を見ているだけです。
こうした「エスノセントリズム:自文化中心主義」に固執していると異文化間の絆は結べません。
相手の文化や習慣を尊重、尊敬するところから「おもてなし」は始まります。
ハラールは安全性や品質、健康に配慮したヘルシーフードともいえます。
国際交流に健康を絡めて、ハラールフードを食してみてはいかがでしょうか。
<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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