「諦めなくていい世界」を創る──地方発ブランディング企業が描くAI時代の戦略
2026-04-14 12:00:45
島根県松江市を拠点とするWorld Utility株式会社は、あらゆる企業の価値向上を目指す総合ブランディング会社である。クリエイティブの力で企業の未来を切り拓く同社 代表取締役の柴山稔樹氏は、学歴や経歴に縛られず「本当に諦めていない者が諦めなくて良い世界を創る」 というビジョンを掲げる。その挑戦は、AI社会という新たな局面を迎え、さらなる進化を遂げようとしている。
音楽の世界から起業の道へ。 学歴や経歴に関係なく挑戦できる場を創る
柴山氏はかつて、プロのミュージシャンを目指し表現の世界に没頭していた。その後、音楽活動に区切りをつけた21歳のとき、新たな挑戦の舞台としてビジネスの世界へ飛び込み、起業を果たす。当時はまだ明確な事業モデルを持たない手探りのスタートだったが、「未知の領域に対する不安よりも、ゼロから新しい価値を生み出すことへの期待感が勝っていた」と、同氏は回顧する。
まずはWebマーケティングの領域で着実に実績を積むと、設立2年目には才能豊かなクリエイターたちとの出会いを機に、Web制作へと事業を展開。独学で培ってきた豊富な知見と情熱を武器に、大手企業とも対等に渡り合う確かな実力を築き上げてきたのである。
柴山氏の根底にあるのは、過去の経歴や環境に縛られず、誰もが思い切り挑戦できるプラットフォームを作りたいという強い使命感だ。「音楽からビジネスへとステージは変わりましたが、『思いを持った人が何度でも挑戦できる場』を創りたいという信念は、起業当初から一貫しています」と語る。
実際、World Utilityの役員やメンバーは、実に多様なバックグラウンドを持っている。学歴や経歴という既存の枠組みにとらわれず、個人の熱意と実力を正当に評価する環境を構築してきた。「表現を通じて人の心を動かすという点では、ミュージシャンも経営者も本質は共通している」と、柴山氏は自身の哲学を明かした。

「想像を超える価値」を生む完全分業制。 企業のブランドを次世代へつなぐ
同社は単なる制作会社ではない。創業から現在に至るまで、地方発のベンチャーならではの独自の視点を武器に、企業のビジョンやバリューを起点に設計する総合ブランディング会社へと進化している。「言われたものを作るだけではなく、目的達成のためにクライアントにとって何が必要かを常に提案しています」と柴山氏は話す。
制作現場では、クリエイターが能力を最大限に発揮できるよう「完全分業制」を導入。プロデューサーが顧客と対話し、クリエイティブディレクターが設計、デザイナーが形にする。「エンジニアやデザイナー、映像クリエイターに、見積もりやクレーム対応など精神的負荷の大きい業務を担わせるべきではない」というのが柴山氏の持論だ。結果として、同社ではクリエイター陣の離職率は低く、常に高品質な成果物を提供できる体制が整った。クライアントから届く、「想像以上のクオリティだ」という声が、その正しさを証明している。
また、後継者不足や変革の壁に悩む地方企業をはじめ、さまざまなクライアントに対して採用ブランディングなどの手法を用い、事業やブランドの存続支援に注力。創業者の想いを尊重しながら、現経営者が意思決定しやすい環境を整え、組織の再成長を促す。「廃業を考えている経営者にこそ、クリエイティブの力で『諦めない選択肢』を提示し、伴走していきたい」と、そのまなざしは真剣だ。

「第3のステークホルダー」となるAIとの共存
柴山氏は、急速に進むAI社会の到来をブランディングにおける新たな好機と捉えている。AIを単なる道具と見なすのではなく、顧客や株主に並ぶ「第3のステークホルダー」だと定義するのだ。膨大な情報を処理し、時に人間の知能を凌駕するAIは「ブランドを評価する“新しい世間”になりつつある」と柴山氏は主張する。これからのネット戦略において、「AIの目」を意識し、AIにブランド価値を正しく認識させるためのアプローチは、不可欠な戦略となるという。
今では生成AIを活用すれば、Webコンテンツや広告、ショート動画なども作成できる。同社では将来的な自社AIブランドの立ち上げを見据え、ツール開発や制作への活用を視野に入れている。「AIメイドで問題ないと判断したクリエイティブ領域に関しては、クライアントが内製化できるようにAIエージェントの導入を提案していく。そして私たちに残された領域をヒューマンメイドにて全力を注いでいきたい。」と展望を語る。
一方で、「AIにすべてを委ねた瞬間、その企業は淘汰される」と警鐘を鳴らすことも忘れない。AIが思考を代替する未来が来ようとも人間にしか到達できないクオリティを追い求めることこそが、企業が生き残る唯一の道だと確信しているからだ。「『World Utilityに任せれば間違いない』と言わしめる圧倒的なクオリティを追求し続ける」―。その言葉には、新時代を切り拓く経営者としての強い覚悟がにじんでいた。

World Utility 株式会社
代表取締役 柴山稔樹 https://worldutility.net
略歴
島根県出身、1992年生まれ。高校中退後、音楽活動を経て21歳で起業。Web制作会社を総合ブランディング企業「World Utility 株式会社」へと成長させる。現在は中小企業支援を行う傍ら、事業承継専門家としても活動。「諦めなくていい世界」の実現に向け、地方から変革を巻き起こしている。
情報提供元: マガジンサミット