「耳ツボ」はダイエットに効く? どうしていいの?
2017-10-10 18:30:47
執筆:青井 梨花(助産師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
食欲の秋、ダイエットする人にとっては誘惑が多く、「ついつい間食しちゃった」「食べすぎた!」などということもあるのではないでしょうか?
今回は、そんな食欲をコントロールするという「耳ツボダイエット法」について、お伝えします。
耳ツボを刺激するダイエット法、その歴史とは
鍼灸(しんきゅう)の世界には、カラダとココロの不調は、全身をめぐるエネルギー(気血:きけつ)が滞ることで起こる、という考え方があります。
この考え方から、エネルギーの通る道(経絡:けいらく)の上に点在するツボを押したり温めたりなど刺激し、エネルギーの流れをととのえることで、不調の改善にアプローチしていきます。
痩身を目的としたいわゆる耳ツボを刺激する治療も、古来、東洋医学で用いられてきたもので、日本でも鍼灸師を中心に、20年以上行われています。
ダイエットになぜ「耳ツボ」が良い?
肥満は、生活習慣病をはじめとするさまざまな健康障害を引き起こす原因となります。
肥満を解消するためには、肥満や減量について正しい知識を持ち、運動療法や食事療法を行うことが基本的かつスタンダードな方法です。
とはいえ、つい間食をしてしまう、食べたいものをガマンしすぎてストレスが溜まり、かえって暴飲暴食をしてしまうなど、自身で食欲をコントロールするのは難しいもの。そこで、耳にあるツボを刺激することで、ダイエットの挫折の原因となりやすい食欲や、ストレスなどをコントロールするのが「耳ツボダイエット」です。
ポピュラーな方法としては、食欲などに関連した耳ツボ(神門・食道・噴門・胃・肺・内分泌)に金属の粒を貼りつけ、その上から随時自分で押して刺激するというものです。
その際、食事量をいつもの半分程度にして、バランス良く食べることなどもポイントになります。
耳ツボダイエット、その効果は?
2016年、日本肥満学会で、東洋医学由来の耳ツボにアプローチする方法でダイエットを行った女性1000名(10~70代)のデータを解析・検証した論文が発表されました(出典:http://holonic-diet.com/2017/07/post-d7d3.html)。
この研究では、痩身にかかわる前述の耳ツボ6か所に、金属またはセラミックの粒を貼りつけ、3か月間にわたって体重や体脂肪率などを計測しました。
その結果、平均体重が約63kgから約57kgに減少し、体脂肪も減少したことが報告されました。また、耳ツボ刺激により、食欲がおさえられ、間食も減少したという結果を得られています。
ではなぜ、耳ツボを刺激すると、食欲をおさえることができるのでしょうか?
耳ツボ刺激でやせるメカニズム~レプチンがカギ~
学会で発表した藤本幸弘医師は、西洋医学的な側面から、耳ツボ刺激による痩身の効果を以下のように論じています。
迷走神経が支配する領域の耳ツボを刺激することで、その刺激が脳の視床下部にある「空腹」「満腹」を調整する摂食中枢と満腹中枢に伝達され、食欲がおさえられる
耳ツボの刺激により、食欲をおさえるはたらきのある「レプチン」というホルモンが体内の脂肪組織から生成され、視床下部へ「満腹」を伝達することで、摂食を抑制する。
レプチンは、胃から分泌される食欲増進ホルモン(グレリン)を出にくくするはたらきをしたり、交感神経にはたらきかけて、エネルギー消費を上げるなど、肥満を抑制するような役割もある。
塩分に対しての味覚を敏感にする耳ツボ(噴門・肺)が刺激されることにより、塩分摂取量が減少する。これによって、体内に余分な水分が溜まらず、むくみが改善され、サイズダウンにつながる。
減量の補助的方法のひとつとして考える
昨今、東洋医学を含む伝統医学や代替療法などのさまざまな療法と、西洋医学とを組み合わせる「統合医療」という考え方が、診療の場でも広まってきています。
肥満に関しても、予防という観点もふくめ、ヒトが健康的に生活を送る上で、それぞれの良い面を組み合わせてさまざまな方法を取り入れていくことは、より高い効果を得ることにつながるかもしれません。
ただ、ダイエットを行う上では以下の3つのことが基本となります。
1.適度な運動をする
2.摂取カロリーを控え、バランス良く食事を摂ること、
3.肥満やダイエットに関して正しい知識を持つこと
耳ツボは、好きなものを好きなだけ食べながら、だれでも簡単にやせられるという魔法のスイッチではありません。
耳ツボダイエットを行う場合でも、「あくまでもダイエットの補助的方法のひとつ」として考えることが、ダイエット成功のカギといえるでしょう。
<執筆者プロフィール>
青井 梨花(あおい・りか)
助産師・看護師・タッチケアトレーナー
株式会社 とらうべ 社員。病院や地域の保健センターなど、さまざまな機関での勤務経験があるベテラン助産師。
現在は、育児やカラダの悩みを抱える女性たちの相談に応じている。プライベートでは一児の母。
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku