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「髪をはやく伸ばす方法」はありますか?

2017-09-18 18:30:40


執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
美容院で切りすぎてしまったり、パーティーが急に決まって「髪をはやく伸ばしたい!」と思ったことのある人は多いかもしれません。
ただ実際、髪をはやく伸ばすことはできるのでしょうか?
今回は、髪をはやく伸ばす方法に迫ってみたいと思います。

髪が伸びるしくみ


私たちの髪は、頭皮から上の「毛幹部」と、頭皮から下の「毛根部」に分けられます。毛根部の根本には「毛母細胞(もうぼさいぼう)」を有する「毛球(もうきゅう)」があります。
毛母細胞は毛細血管から栄養分を受け取っていて、細胞分裂をくりかえすことで髪は伸びています。
また髪は、一度生えたらずっと生え続けるわけではありません。
一定の期間が経つと自然に抜け落ち、ふたたび新しい髪が生えるという「ヘアサイクル」をくりかえしています。
ヘアサイクルは、次の3つの時期に分けられます。

成長期


毛母細胞が細胞分裂をくりかえしながら、髪を太く、長く成長させる時期。成長期が長いほど、髪も長く、太くなります。
ヘアサイクルの中で最も長いのが成長期で、その期間は平均2~6年ほどです。男性よりも女性の方が長く続きます。

退行期


退行期になると、髪の色を作る色素細胞がメラニン色素を作るのをやめ、また、毛母細胞が増えるスピードが急速に遅くなります。
さらに、毛球が頭皮の表面に向かって動き始めます。退行期の長さは2~3週間ほどです。

休止期


休止期になると髪の成長は止まります。また、毛球が頭皮の浅いところまで移動していて、その下ではすでに新しい髪が生え始めています。
休止期の髪は、かき上げる、洗う、乾かすなどのちょっとした動作でも抜けやすくなります。
休止期の期間は数カ月で、この期間が長くなると、新しい髪が成長できない原因になります。

髪が伸びるスピード


髪は、1日あたり平均約0.4mm(1カ月で約1.2cm)伸びるといわれています。このスピードには個人差があります。その要因はいくつかありますが、加齢も髪のスピードが遅くなる原因のひとつです。
ある調査(※)で20~60代の女性を対象に髪の伸びるスピードを調べたところ、20~40代女性の平均が1日0.4mm(1カ月で1.2cm)だったのに対し、60代女性の平均は1日0.3mm(1カ月で0.9cm)という結果になりました。
このように、加齢によって髪の伸びるスピードが遅くなるのは、成長期の期間が短くなるためだと考えられています。
つまり、加齢によって成長期にあたる髪の割合が減り、退行期や休止期の髪の割合が増えることで、髪が伸びるスピードも遅くなるのです。
また、それだけでなく、髪が細くなる、ハリやコシがなくなるなどにも、加齢によって成長期の髪が少なくなることが関係していると考えられています。
このほかには、性別や季節(温かい時季の方が伸びるスピードが速い)、体調、ストレス、食事などの生活習慣も成長期の髪の割合や髪の伸びるスピードに影響を与えています。

髪をはやく伸ばす、食事のポイント


髪をはやく伸ばすためには、成長期の髪を増やす必要があります。
成長期の髪の割合には、加齢や性別、季節など、自分の力では変えられない要因も関係していますが、その一方で、ストレスや食事などふだんの生活で取り組めることもあります。
そこでここでは、髪の成長に欠かせない食事や栄養素について紹介します。
まずは、食事におけるポイントから見ていきましょう。
1.バランスのとれた食事をする
髪に良いとされる栄養素はいくつもあります。けれども、食事から摂取した栄養素は、生命を維持するために必要な器官に優先的に使われ、髪に栄養素が回ってくるのはその後になります。
食事から十分な栄養素が摂れていないと、髪にまで栄養素が回らなくなり、髪の成長も遅くなりますから、まずは栄養バランスのとれた食事を摂ることを心がけましょう。
2.髪の成長を促す栄養素を摂る
バランスのとれた食事をとった上で、とくに次の栄養素を積極的に摂りましょう。

髪をはやく伸ばすのに必要な栄養素とは


たんぱく質


髪は「ケラチン」というたんぱく質で構成されています。しかし、ケラチンを構成しているアミノ酸は体内では作ることができないため、食事からたんぱく質を摂取するようにしましょう。
・多く含む食品
肉類、魚類、卵、大豆製品、乳製品など

ビタミン、ミネラル


身体でたんぱく質を合成するためには、ビタミンやミネラルが必要です。中でもビタミンB群は毛母細胞の細胞分裂を促すため、髪を成長させるためには欠かせない栄養素です。
さらに、亜鉛には頭皮の再生や髪の成長をサポートする働きがあるため、積極的に摂るようにしましょう。
・ビタミンB群を多く含む食品
肉類、魚介類、納豆など
・亜鉛を多く含む食品
貝類、いわし、うなぎ、肉類など

大豆イソフラボン(女性の場合)


大豆イソフラボンには女性ホルモンと似た作用があります。とくに女性ホルモンのひとつである「エストロゲン」は髪に関係していて、不足すると髪の寿命が短くなるといわれています。
そのため、女性のみなさんは大豆イソフラボンも摂るようにしましょう。
・多く含む食品
大豆製品など

今回は、髪を伸ばす方法として食事のポイントを中心にお伝えしましたが、身体が健康でいてはじめて髪も健康になり、成長も促されます。
ですから、生活習慣を整え、免疫力を高めることも忘れないようにしましょう。
【参考】
(※)花王株式会社『女性の毛髪を年代別に定量調査加齢に伴う毛髪の密度、太さ、成長速度、毛周期ステージの変化を測定』(http://www.kao.com/jp/corp_news/2009/20091130_001.html)

<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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