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「がんの三大治療法」 なにをどう選んだらよいのか

2017-08-13 18:30:54


執筆:吉村 佑奈(助産師・保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
がんの治療法の大きな柱は、手術治療、薬物療法(抗がん剤治療)、放射線治療の3つです。
がんの治療法を選択するためには、がんの状態やそれぞれの治療法の良い面・悪い面などを知る必要があります。
そこで今回は、がんの三大治療に焦点を当てながら、どのように治療法を選択するべきか、解説します。

治療の方針を決めるために


がんの治療を考えるときに大切なことはがんの状態を知ることです。
検査や診断についての説明をしっかり担当医から聞き、よく理解することが治療を決める最初のステップです。
「病期(ステージ)」とは、がんの進行状態を表す言葉です。病期によって、がんの部位や年齢、全身の状態によって、最もよい効果が期待される治療を選択することが一般的です。
それだけでなく、担当医に気になっていることや自覚症状を伝えることは、がんの状態を知る助けになります。
自分の状態をしっかりと把握したのち、治療法を選択していきます。

それぞれの治療法の良い面と悪い面を確認する


治療法を決めるに当たって担当医に、あなたが選択した治療を受けるとき「期待できる効果」「副作用や後遺症がおこる可能性」「再発の可能性」などを確認します。

手術


一般的に「手術」は、外科的に腫瘍とその周囲の組織を切除することによって、がん細胞を取り除くと同時に、それ以上の進行を食い止めるというものです。
がん細胞を取り残すことなく切除できれば、短期間での完治が可能です。
ただし、手術そのものに体力が必要になります。
また、がん組織だけを取り除くということは難しく、どうしても臓器の一部を切除するため、その後の機能に影響を与えることもあります。

薬物療法


薬の効果でがん細胞の増殖を抑えたり、攻撃したりしてがんを小さくするものです。効果の出方は千差万別で、ある人に出た効果が別の人に同じく効果が出るとも限りません。
また、正常な細胞にまで影響してしまうために副作用がおこりやすく、また、単独で完治させることの難しい治療法で、ほかの治療法と併用されることが多いです。

放射線療法


患部に放射線を照射することによってがん細胞が増加できないようにしたり、死なせたりしてがんを治療する方法です。がんの種類によって局所的に照射したり全身に照射したり、手術で切開して患部に直接放射線を当てることもあります。
時代とともに放射線治療の技術も進歩していて、治療効果は向上しています。進行の度合いによっては手術と同じくらいの治療効果が得られることもあり、臓器の一部を切除する必要もないのがメリットです。
一方で、食欲不振や疲れやすさ、皮膚への影響などの副作用もあります。
効果と副作用については薬物療法と同様に個人差があるため、医師と綿密に話し合い、経過を見ながら治療を行うことが大切です。
複数の選択肢があるときには、それぞれの治療法の良い面と悪い面を、自分なりに整理することが大切です。
実際に書き出してみると、よりわかりやすいでしょう。

担当医や家族と相談しながら治療法を選択する


たとえば、手術をすることで身体の一部分を機能的に損なう可能性がある場合、放射線治療や薬物療法(抗がん剤治療)の選択も考えると思います。
また、がんの種類や病期、治療が初回か2回目以降かなどによっては、選択肢が複数示されます。
治療後に必要な療養期間や通院のことなど、担当医や医療者から情報を集め、また、仕事や家族などの人生設計も視野に入れ、納得した上で自身にとって最適な治療法を選ぶことが大切です。

専門的な言葉の意味を正しく理解することも大切


治療法の説明を受けたり、検討するときに使われる言葉を正しく理解することも重要です。
とくに、以下は治療の説明や情報収集のさいによく見かける言葉です。

標準治療


標準治療とは、科学的根拠(エビデンス)に基づいて、現在利用できる最良の治療であることが示されている治療のことをいいます。
ある状態の一般的な患者さんに行われることがすすめられている治療のことです。多くの医師は、この標準治療に基づいて提案します。推奨される治療という意味ではありません。
また、情報収集の際にも「標準治療」という言葉に出会うことがあると思いますが、一般的に広く行われている治療という意味で使っている場合もあるため、発信元やいつの情報かを確認するようにしてください。

最先端の治療


よく耳にする言葉ですが、間違ってほしくないことは、最も優れているとは限らないということです。
最先端の治療は、その効果や副作用などを調べる臨床試験を経て、それまでの標準治療より優れていることが証明され推奨されてはじめて新たな「標準治療」となります。
治療法を最後に決めるのは自分ですが、わからないことがあれば理解できるまで担当医に質問したり、自分で調べたりしましょう。
別の医師へ意見を聞きたいときには、セカンドオピニオンを参考にすることもできます。
また、がん相談支援センターを利用することも可能です。情報を得ることで、知らなかったことに対する漠然とした不安を軽減する助けになります。
そのさいも、その情報は「今、自分にとって必要か」を考え、「いつ、だれが発信しているか」「何が根拠となっているのか」を確かめるようにしてください。

<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
助産師・保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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